【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返りながら季節の移ろいを感じる「競馬歳時記」。今回は「ファルコンステークス」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。
ファルコンステークスは、日本中央競馬会 (JRA) が中京競馬場で施行する中央競馬の重賞競走(GIII)である。……競走名の「ファルコン(Falcon)」は、ハヤブサを意味する英語。
概要 [編集]
1987年に「中日スポーツ賞4歳ステークス」の名称で創設された、4歳(現3歳)馬による重賞競走。2001年より現名称となった。創設時は中京競馬場の芝1800mで夏季(6月 – 7月)に行われていたが、1996年に4歳(現3歳)短距離路線の充実を図ることを目的として距離を芝1200mに短縮。2006年には開催時期を3月に繰り上げ、2012年からは距離が芝1400mに変更され現在に至る。
ファルコンステークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
20世紀:
1987~1995年:1800m時代【サッカーボーイ】
第1回「中日スポーツ賞4歳S」が開催されたのは、グレード制が導入された3年後の1987年でした。それから1995年までは「中京芝1800m」、7月第1週に開催されており、同時期に行われる「ラジオたんぱ賞(現・ラジオNIKKEI賞)」と“キャラ被り”をしていました。
第1回は、オープン戦を2戦連続着外だった「ヒデリュウオー」が8番人気で制し、日本ダービー2着のサニースワローが1番人気で6着と大敗する厳しい出だしとなりました。
一転して、第2回は注目のレースとなりました。3歳馬にして「58kg」を背負って1番人気だったのは皐月賞馬の「ヤエノムテキ」。それを半馬身差制したのは、56kgとはいえ前年の阪神3歳Sの覇者でもあった「サッカーボーイ」でした。
本レース → 函館記念 → マイルCS と3連勝で秋に飛躍を果たしたことは伝説となっています。
その後も、どちらかというと中距離を得意とする馬が多く挑戦し、1989年のオサイチジョージ、1992年のキョウエイボーガン。1993年(京都開催)のネーハイシーザーは天皇賞(秋)を制していました。
1996~2005年:1200m/6月時代【サニングデール】
1996年、大幅な番組表変更のあった時期に、「芝1200m」に距離短縮され、時期も6月に変更となりました。これによって「NHKマイルC」よりも更に短距離に適正のある馬がこぞって出走するようになりました。
年 | 優勝馬 | 重賞 | GI最高 |
---|---|---|---|
1996 | スギノハヤカゼ | 4勝 | 2着 |
1998 | トキオパーフェクト | 2勝 | 5着 |
2002 | サニングデール | 5勝 | 1着 |
2003 | ギャラントアロー | 2勝 | 3着 |
この時代の優勝馬からのG1馬は「サニングデール」の1頭ですが、注目度の高い馬(外国産馬を含む)が名を連ねていますし、その後「短距離~マイル路線」を賑わせた馬が多く出走しているレースです。
ちなみに、2001年から「中日スポーツ賞 ファルコンステークス」と現名称に変わっています。こちらも馬齢変更など大きな番組変更のあった時期でしたね。
21世紀:
2006~2011年:1200m/3月時代【ジョーカプチーノ】
そして、2006年には3月と開催時期が大きく繰り上がります。この時期の代表的な活躍馬が、2009年の「NHKマイルC」を制したジョーカプチーノでしょう。
その前年に、アメリカ産馬のダノンゴーゴーが「NHKマイルC」3着に入っていますが、この1200mの時代の同レースを勝ってから「NHKマイルC」を制したのはこの馬が唯一です。
同馬としても、芝転戦緒戦のクロッカスS(OP)を7着と大敗し、条件戦(小倉・萌黄賞)を制したばかりで、単勝オッズも4番人気でした。この成績でも、後にG1に繋がる可能性はあるのですね。
2012年~:1400m時代【ミスターメロディ】
そして2012年からは「1400m」に距離が伸び、2ヶ月の間隔は空きますが、NHKマイルCへの登竜門としての役割が(見た目上は)強化された印象です。
年 | 優勝馬 | 重賞 | GI最高 |
---|---|---|---|
2013 | インパルスヒーロー | 1勝 | 2着 |
2016 | トウショウドラフタ | 1勝 | 5着 |
2018 | ミスターメロディ | 2勝 | 1着 |
しかし現状では、なかなか活躍馬を輩出できていない状況となっています。距離延長からの10年間で、「NHKマイルC」を制したのは2018年のミスターメロディ1頭であり、重賞を複数勝つ馬もほとんど出なくなりました。
古馬とは違って、まだ3歳ですから「1400m」に適正があるとも確証が持てませんから、1400mのスペシャリストが目標とするとも考えづらいですし、仮に、牝馬であれば「フィリーズレビュー」などに挑戦するでしょう。(但し、2020・2021年は牝馬が連続して勝っている事実も書き添えておきます)
また、マイラーの牡馬だったとしても、レース形態的に「1400m」よりも「1800m」のトライアルに挑む方がトータルで見たらプラスと考える陣営も多いかも知れません。
第30回 | 2016年3月19日 | 103.75 | トウショウドラフタ | 牡3 | 1:25.0 |
第31回 | 2017年3月18日 | 105.50 | コウソクストレート | 牡3 | 1:21.1 |
第32回 | 2018年3月17日 | 106.75 | ミスターメロディ | 牡3 | 1:22.1 |
第33回 | 2019年3月16日 | 102.75 | ハッピーアワー | 牡3 | 1:20.9 |
第34回 | 2020年3月14日 | 106.75 | シャインガーネット | 牝3 | 1:21.3 |
第35回 | 2021年3月20日 | 109.25 | ルークズネスト | 牡3 | 1:20.1 |
第36回 | 2022年3月19日 | 106.00 | プルパレイ | 牡3 | 1:20.9 |
公式のレーティングを2017年以降でみると6年間の平均は「106.17」となります。何とか「G3の基準105」を上回っている状態です。
2018年にはミスターメロディ、2020年には2着にラウダシオン、2021年も2着にグレナディアガーズと「G1級(後を含む)」の馬が連対していることからも、核になる馬がいるかいないかでレースレベルが大きく左右される傾向が強いレースと言えるでしょう。
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