競馬歳時記【11月1週】「みやこS」

【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返りながら季節の移ろいを感じる「競馬歳時記」。今回は「みやこS」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。

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みやこステークスは、日本中央競馬会(JRA)が京都競馬場で施行する中央競馬重賞競走GIII)である。競走名の「みやこ」は、その国の中央政府の所在地。日本においては京都が長くその地であったため、京都を指して呼ばれることが多い。正賞は地方競馬全国協会理事長賞。JRA重賞競走における平仮名の競走名は当競走ときさらぎ賞の2つのみである。

みやこステークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

前身競走:「トパーズS」(前々身の条件時代を含む)

  • 2010年 – 前年まで行われていた「トパーズステークス」を重賞(GIII)に昇格、名称を「みやこステークス」に変更。

日本語版ウィキペディアには、前身となる「トパーズS」についても触れられていますが、その項の最後に『なお、同名の条件級競走が過去に東京競馬場などで行われたことがある』と記載されていたので、そちらも補足していこうと思います。

前々身:関東の「トパーズS」(条件戦)

「トパーズ」は11月の誕生石とされ、そうした経緯から少なくとも昭和40年代から開催場や条件を変えて「トパーズS」というレースが中央でも開催されてきました。

1965年に中京競馬場の芝2000mで開催されると、1966・67年に中山競馬、1968年からは毎年、東京競馬場で開催されてきました。比較的著名な好走馬としては、

  • 1968/11/24:2300m・2着【ヤマニンカツプ】(ダービー2着馬)
  • 1973/11/10:2400m・2着【イナボレス】
  • 1975/11/15:1800m・3着【アイフル】(翌年の天皇賞秋を優勝)

などがおり、距離は抜きにして、東京競馬場との関係性が高かったと見られます。そして、条件戦としての「トパーズS」は東京競馬場で1985年まで続きました。

前身:関西の「トパーズS」(オープン特別)

厳密には連続性はないものの「トパーズS」という名称のレースが東西で開催されていた時期もありました。1979年(東京・阪神)にどちらも1200万下条件戦で開催された事例です。そして、1983年には、関西(京都競馬場)でオープン特別の「トパーズS」が創設され、毎年開催されるようになります。

JRAの公式見解としてもこの「トパーズS」を、「みやこS」は前身としており、そこを加えれば(条件こそ違うものの)40年近い歴史があることになります。

初回(1983年)のみ京都1400mの短距離で行われ、ここを58kgを背負い4馬身差で連勝したのが、【ニホンピロウイナー】でした。この次にCBC賞を制して「最優秀スプリンター」に輝いています。

その翌年からは芝の中距離(2000m)として1996年まで開催されることとなり、ジャパンCの裏で行われる西のメイン格となっていきます。もちろんジャパンC当日開催であることを思えばやはりオープン特別級の馬が中心となる訳ですが、

例外的にオープン戦での初勝利となった【ダイユウサク】は、このトパーズSから翌年の金杯まで3連勝を遂げ、更に年末にはオープン特別「阪神競馬場新装記念」を叩いて、14番人気からの有馬記念制覇を達成しています。

そして、1997年にダート1800mに変更され、ジャパンCダートの創設までは一つの目標となるレースとなりました。実際、1998年にはエムアイブランが58kgで2着、1999年にはウイングアローが58.5kgで3着など、ハンデ戦ながら一線級が積極的に挑戦していました。

1997年11月15日プレミアムサンダー牡3
1998年11月21日オースミジェット牡4
1999年11月20日ワールドクリーク牡4
2000年11月18日ホクセツキング騸4
2001年11月17日タマモルビーキング牡3
2002年11月16日エアピエール牡6
2003年11月22日タイムパラドックス牡5
2004年11月20日エンシェントヒル牝3
2005年11月19日ベラージオ牡6
2006年11月18日カフェオリンポス牡5
2007年11月17日ロングプライド牡3
2008年11月24日エスポワールシチー牡3
2009年11月21日シルクメビウス牡3

2000年代に入って、ジャパンCダートや交流重賞が充実していく中で、11月はダートの一線級が出走するレースが多いため、ここを選ぶ馬は結構ニッチなところを突いてくる感じでした。ただ2003年のタイムパラドックスや2008年のエスポワールシチーは翌年に重賞そしてG1馬に駆け上がっていきました。

G3「みやこS」(ダート重賞)時代

そうした「トパーズS」を重賞に昇格させる形で、2010年に「みやこS」が創設されます。回次は過去を踏襲せず、2010年を第1回としていますが、これまで見てきたとおり、条件戦時代を含めれば半世紀近く、ダートオープン特別時代に限っても15年の歴史を有していました。

第1回は、グレード競走を勝ちきれていなかった4歳馬【トランセンド】が優勝。次走のジャパンCダートも勝ち、まさにステップレースとしての役目を初回から果たすと共に、翌年にはあのドバイワールドCでヴィクトワールピサとワンツーを達成しています。初回からして「出世レース」となりました。

そして、第2回には、「トパーズS」を3歳時に制していた【エスポワールシチー】が58kgを背負って3馬身半の圧勝。G1/Jpn1を5連勝した同馬の凱旋に相応しい舞台となりました。

その後も、JBCクラシックでなく中央路線を戦う一線級が軒並み出走。第3回はローマンレジェンドが1着、2着にニホンピロアワーズが入り、3着に入った【ホッコータルマエ】は後にG1/Jpn1を10勝もしています。

開催日レースR勝ち馬馬齢
2016年11月6日京都111.50アポロケンタッキー牡4
2017年11月5日京都108.25テイエムジンソク牡5
2019年11月3日京都108.25ヴェンジェンス牡6
2020年11月8日阪神108.00クリンチャー牡6
2021年11月7日阪神106.75メイショウハリオ牡4

2018年は「JBC競走」を京都競馬場で開催した関係で「みやこS」が開催休止となりました。そのため2016年以降の表は他より1回分少なくなるのですが、「GIIIの目安:105ポンド」を何とか超えている状況が続いています。

2016年こそ国内のダート重賞としては優秀に「111.5ポンド」とGIIの目安も超えていましたが、ここ最近はすっかりGIIIの水準に落ち着いてしまっています。そんな中、2022年は久々に59kgで出走するような一流馬【オメガパフューム】が人気を集め、斤量差が3~5kgある他馬にも逆転の可能性があるという見立てから面白いレースとなりそうです。

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