【プレバト!! 俳人列伝】本上まなみ(特待生)

【はじめに】
この記事では、「プレバト!!」の俳句査定で特待生昇格前に冬麗戦2位となった『雪虫』の作品を詠んでいる女流プレバト俳人【本上まなみ】さんの俳句を振り返っていきます。

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本上 まなみ(ほんじょう まなみ、1975年5月1日 – )は、日本タレント女優声優ナレーターエッセイストである。本名、沢田 まなみ(さわだ まなみ)。旧姓、本上。公式ニックネームはほんじょ東京都生まれ、大阪府茨木市出身。所属芸能事務所は、株式会社アクラ。身長168cm。

本上まなみ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

一般参加者時代(2021~2023年)

2002年12月、18歳年上のマガジンハウス編集者(当時)である沢田康彦と結婚した。沢田は、メール短歌グループ「猫又」を主宰しており、本上も「鶯まなみ」というペンネームで「猫又」の雑誌に投稿していたことがある。

2006年8月、自身のホームページ上で第1子妊娠を公表。同年12月29日、長女を出産。妊娠当時は、NHK教育テレビトップランナー』・フジテレビ『ザ・ベストハウス123』の司会や、BS日テレトラベリックス 〜世界体感旅行〜』のナレーターをレギュラーで担当しており、産休中には各番組で代役が立てられた。

2012年9月、自身のホームページ上で第2子妊娠を公表。2013年3月8日、男児を出産。

本上まなみ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

1990年代から2000年代にかけて、非常に多くの作品やテレビ番組などに出演していた【本上まなみ】さんでしたが、2度の出産を経てここ最近は徐々に活動が増えていきます。そうした中で読書への造形も深い本上さんが、短歌ではなく俳句のコーナーがある『プレバト!!』に出演します。

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2021年:ちびリュックの句で初挑戦=才能アリ

初挑戦となったのは2021年4月15日の放送回。稲田直樹さんの5点を始め、5名中3人が才能ナシという波乱の回で、唯一の才能アリとなった【本上まなみ】さん。その句は、まさに娘さんとの思い出を詠んだという作品でした。

1位・70点:『ちびリュック中身はおむつ山笑う』

2歳の娘さんが親を真似したがって、『ちびリュック』を背負しょっての一緒に山登り。それを素直に詠んだ姿勢が「才能アリ」に繋がりました。「山笑う」という季語をチョイスする語彙力も流石ですよね。

細かく見れば『三段切れ』っぽさがありますが、ややレベルの低い当回にあっては文句なしの才能アリだったに違いありません。

2022年:「サイダー」の句でタイトル戦出場決定

それから1年4ヶ月ぶり2回目の出演となった2022年8月25日の放送回は、まさに本上まなみさんの本領を遺憾なく発揮する場となりました。その時に詠んだ句がこちらです(↓)

1位72点『もの言わぬ従弟にサイダー渡す駅』

この作品が個人的には、2022年の平場の句としてはトップクラスだと感じていて、私の「1日1句」という記事にも採用するほどに大好きです。

上五が「もの言わぬ」から始まって、そこから漢字表記での『従弟(いとこ)』が登場をしてきます。これが仮に社会人同士ならば親族間のトラブルとなりますが、子ども同士(それこそ本上さんの幼少期のエピソード)だと知ると微笑ましく感じられます。

季語は「プレバト!!」で何度か登場している『サイダー』ですが、この句の場合、より『青春』の様なものとリンクしていて、微妙な距離感を演出するに相応しいアクセントとしての季語となっています。

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(置いてあるのような形だと静の句となりますが、)下五に「渡す」とあることで、2人の間に動作が生まれることとなり、最後に場所の設定としての『駅』という名詞が出てくることでこの17音の作品は漏れなく無駄なく完成されるのです。

高得点の少なかった2022年において、72点というのはトップクラスであり、翌年初のタイトル戦「冬麗戦」において、一般出場者5名のうちの1人として招待されることとなりました。

2023年:冬麗戦『雪虫』の句でいきなりの2位!

そして、2023年1月の年始のタイトル戦「冬麗戦」には、ダークホース枠・5人の一角として初参戦。名だたる名人・特待生も参加する中、浜田さんが発表した最初の順位がまさかの「2位」。そして、いきなり顔がモニターに映し出されたのが自分(本上さん)だと気づくと、驚きを隠せない表情に変わりました。

冬麗戦2位『雪虫の第一発見者は次男』

この句を上のウィキペディアの略歴に合わせると、おそらくこの次男というのは2人目の男のお子さんのことを指しているのでしょう。いわゆる“兄がいる2人目の男の子”という意味ではなくて、1人目の女の子に次ぐといった意味での『次男』だったのかも知れません。

そんな細かいことはさておき、用例として音数的にも、そしてエピソード的にもぴったりと着地した印象を受けるこの作品、簡単なものばかりとはいえ助詞の2文字以外全て「漢字」という硬派な作りからは想像もできないほど微笑ましく、自然の季語を家族で楽しんでいる様がとても理想的です。

「雪虫」という季語については(↑)で詳しく触れていますのでそちらに譲りますが、どう考えても、『次男』の誇らしい様子と、少し大人な上の兄・姉との対比がこの少ない文字数に描かれていました。

本当に17音の器を(短歌との違いを含めて)理解している一方で、短歌などを詠んできて「自分史」的な要素をしっかりと入れていける力量があることに脱帽します。私まで語彙力を失ってしまいそうです(^^

短歌を始めやっていて、「プレバト!!」で本格的に俳句を披露するようになったという経緯でいくと、ちょうど「村上健志」永世名人と通ずる部分もあります。村上さんも2回で特待生に昇格をし、すぐに2ランクアップを果たす『スーパールーキー』ぶりを発揮しましたが、それと本上さんは似ています。小説家などと比べて、『短歌』と『俳句』の器の違いを、文字数以外の部分でも感じ取っているからこそ、音数が変わっても、季語を大切にしつつこれだけハイレベルな作品たちを生み出せるのでしょう。

そして、タイトル戦の翌月(2023年2月16日)、特待生候補4人を揃えた回に登場した本上さんは、【こがけん】さんや夏井先生の門下生に認め直された【勝村政信】さんらと共に特待生を目指します。その時に詠んだ句がこちらでした(↓)。

1位72点『あの崖の上がわらびの萌える野と』

3回連続ノーミスでの「才能アリ」に加えて、タイトル戦2位という実績もあって、まさに文句なしでの特待生昇格を決め、更にその後に行われる春のタイトル戦「春光戦」の予選への出場も滑り込みで決めることとなったのです。

句の内容としては、わらびという春の季語が眼前に広がっている訳ではない中でありながら本来の季語『わらび』の存在感を強く打ち出すことに成功しています。個人的にこの句は『春の野』や『春の山』といった地理の季語を大きく詠んだ作品なのかなとも思っていました。『わらび』の句であると共に、さらに大きな題材を詠んだ句でもあると感じました。

夏井先生も絶賛するとおり、俳筋力もさることながら根底にある『詩心』に目覚ましいものがあって、これがある限り、俳句の技法を覚えれば『名人』もすぐそこであるように感じてしまう逸材でしょう。

To Be Continued…

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