ストリーミング再生「シルバー認定」の廃止と過去のシルバー認定ヒット曲まとめ

皆さんこんばんは、Rxです。今日は、J-POPのチャート好きなどの間で少々話題になった「RIAJ・ストリーミングでの『シルバー認定』廃止」というニュースについて、私なりの意見を交えながら説明していきます。

難しそうに書きましたが、後半では、「ストリーミング(定額制音楽配信)」でかなり再生されている過去(1980年代~2015年まで)のヒット曲のうち、3,000万回再生以上と認定されている楽曲を一覧にしてご紹介していきますので、ぜひお楽しみください!

「日本レコード協会(RIAJ)」の認定についてざっくり解説

日本レコード協会(RIAJ)は、平成以降、世界各国に準じて、「ゴールドディスク」などに代表される認定をスタートさせました。今でいうなら「正味売上枚数10万枚以上」のCDなら「ゴールド認定」となるといった具合です。

そして、音楽媒体の多様化・変遷につれて、RIAJの認定基準やメディアも変化してきました。主に追加されたものとしては、「音楽ビデオ(VHS/DVD)」や「有料音楽配信」、そして今回取り上げる「定額制音楽配信(ストリーミング認定)」などです。

音楽ソフトの変遷を分かりやすく把握できるグラフとして、ウィキペディア「音楽配信」の項にこんな画像がありましたので、引用させていただきます。

File:JA music prod share RIJ.png
出典:ウィキメディア・コモンズ「File:JA music prod share RIJ.png」 作者:Masaqui

細かい話は置いておいて、年々、音楽ソフトの市場は趨衰を繰り返していることが分かります。そしてCDなどフィジカル(物理的)なウェイトが再び減少に転じ、「緑色:ストリーミング」が伸びつつあることがこの表からも読み取れます。(若干古いグラフですが、この傾向は加速していますよね。)

ストリーミング認定の変遷について

(2020年)認定スタート

こうした「ストリーミング」について、RIAJのプレスリリースでは以下のとおり説明しています。

出典:RIAJ「ホーム > プレスリリース > 2020.05.27

認定を始めた理由については、『昨今の音楽ストリーミング市場拡大に鑑み、業界としてのヒットの指標を示し、さらなる市場活性化を図るべく、』と書かれているとおりです。市場拡大は上のグラフからも明らかですし、半オフィシャルな形で「ヒットの指標」が示させることは大きな意味があります。

発足当初の具体的な指標は、

認定ランクストリーム数
(2020/04)
参考/CD売上
(2003/07)
シルバー3,000万回- 
ゴールド5,000万回10万枚
プラチナ1億回25万枚
ダイヤモンド5億回100万枚
参考:同上

となっていまして、単純比較はできませんが、「1億回再生」などと報道で良く耳にするものは、RIAJの基準でいくと「プラチナ認定」となります。ヒットの一つの目安として、キリが良いこともあり令和の時代に重宝されている印象です。

☆「ダイヤモンド認定」から考えるヒット曲の指標について
 https://note.com/yequalrx/n/nf1c8c353069c

これについては上の記事でも解説している(古いですが)ので、合わせてご参照ください。

(2022年)「シルバー認定」廃止

ストリーミング認定が始まって2年足らず。2022年1月度より、以下の変更がなされました。

出典:RIAJ「ホーム > プレスリリース > 2022.02.24

要点は主に2つで、

  1. 集計対象に「Amazon Music Prime」、「YouTube Music(Premium)」が追加
  2. 認定ランク「シルバー」が廃止

1個目については全面的に賛同。AMPやYouTube Musicを追加することで、より良くなるでしょう。

対して2つ目については理解は出来るものの、少し思うところがあったので、そこを次の項で見ます。

「シルバー」廃止について思うところ2点

「シルバー」廃止に関して強く思うところは以下の2点です。

  1. 「ストリーミング市場が順調に成長」はしているが、ヒット下限が1.6倍(3,000万→5,000万)するほどのインフレ率とも思えない。発足当初と「シルバー」以外の認定が変わっていないことからも、“当初の見立て”が低かったのではないか?
  2. 最新曲(令和リリース楽曲等)は確かに大きな問題がないかも知れないが、「以下に示す様な過去のヒット曲」や「なんとか3,000万回に到達できた」クラスの楽曲/歌手については、リスナーが知る機会を失ってしまう点で損

(1)最新ヒット曲に対する「シルバー認定」は致し方ないところ

1点目については、先ほどの「note」の記事(リンク再掲)に書いていることとも重複するのですが、

「ダイヤモンド認定」から考えるヒット曲の指標について
 https://note.com/yequalrx/n/nf1c8c353069c

そもそも最新ヒット指標として「シルバー認定」を設けた点、他の指標(CD、ダウンロード)と比べてアンバランスさを感じていました。これに付随して、

上の「note」でも引用させていただいた「あさ」さんがツイートされている通り、オフィシャルな発表への対応としてはこれが順当かと思います。 ※ただ、「下限」とは別の所に基準を置いていた私からすると、今回の認定基準の見直しは、「調整」の部類であって、ヒットの下限が1.6倍厳しくなったとも言い切れないのかなとも感じました。(そのため、幸い、私は基本的に更新の必要なく済みました)

(誤解なきよう補足しておきますと、「あさ」さんとは着眼点が違うだけで「あさ」さんの「ヒットの定義・一覧早見表」は正しいと思います。一ファンの体感とのズレが若干あるという程度。)そして、「『ヒット曲』の定義」の記事が更新されておりますので、そちらをぜひお読みくださいませ。(↓)

(2)最新ヒット曲以外にとっては若干の「損失」

確かに、発売初週から数百万単位を稼ぎ、発売数ヶ月後には「ゴールド認定」される様な「最新ヒット曲」にとっては「シルバー認定」が無くなっても無関係かと思います。

ただ、RIAJの対象期間も最近始まったばかりであり、2010年代以前に配信スタートした楽曲たちは、「オリコン集計前のヒット曲」を正しく把握できないのと似ています。

  • もし仮に、遥か昔から「ストリーミング」の集計が確立されていたら、「ストリーミング」が存在していたらもっと上に認定されていても全くおかしくない過去の楽曲たちが多数あることも忘れてはなりません。
  • また、RIAJの基準には全く無縁といったレベルのアーティストが、話題になったりして、初めて1,000万回再生を突破し、長いスパンをかけて3,000万再生に突破することも令和の時代には珍しくないことかも知れません。

こういった楽曲たちに関しては、「シルバー認定」を残しておいてあげて欲しかったなぁ、というのがファースト・インプレッションでした。

※かつて「CDセールス」認定の基準が「洋楽・邦楽」で異なり、基準が相違していることが判断なため基準を統一したこととは全く逆行することになります。故に、RIAJの業務的に難しいかとは思いますので、「残念」という表現に留めたいと思います。

肌感覚を重視する私としては、基準を時代などで複数設けても良いのではないかとも感じますが、流石に難しいだろうと思いますし、時代に逆行もできないと思うので、ようやくここから本題に入ります。

シルバー認定された過去のヒット曲たち

RIAJの「ストリーミング認定」をおさらいすると、2020年4月度から2021年12月度までは、「3,000万回再生」されれば「シルバー認定」されていました。これは、発売年次などにかかわらず一律の基準です。

リリース直後であるならば「目新しさ」もあるでしょうが、発売から数年を経た楽曲たちは違います。発売当初、CDがミリオンセラーになった楽曲も、ほとんどは令和のこの時代、話題にのぼることは無く忘却の彼方です。むしろ発売当初の売上は振るわなかったものの、長い年月を経て「スタンダード」となった楽曲も多くあります。

ここから私が独断でピックアップした楽曲たちは、「ストリーミング認定」開始から5年以上前に発表された楽曲にもかかわらず(配信スタート時点ではなく発表年次基準であることには注意)、それだけの時代の淘汰を経てもなお、月に百万単位の再生回数を稼いでいる楽曲たちということになります。

  • 対象期間は、2015年以前にリリースされた邦楽が原則
  • 一部、海外アーティストや「曲よりもアーティスト」で再生数が伸び、シルバー認定されたと(個人的に)感じた楽曲はリストから除外
  • 太字が発売年、曲の左の「yy/mm(年次)」は「シルバー認定」の時期を表しています
  • シルバー認定後、ゴールド認定されている楽曲もありますが、今回は考慮しません

今回は、RIAJの「ストリーミング認定」という指標を知らなかった方に向けての紹介のニュアンスが強いとお考え頂ければ幸いです。こんな曲たちが今でも毎月数百万ストリーミング再生されているんだ、という気づきになれば幸いです。

1980~90年代

1987年
21/11 Get Wild/TM NETWORK

昭和リリースで「シルバー認定」されている『Get Wild』は、アニメソングとしてもJ-POPとしても画期的。

1990年
21/10 真夏の果実/サザンオールスターズ

1994年
21/06 innocent world/Mr.Children
21/08 空も飛べるはず/スピッツ

ミスチルも徐々にデジタル移行を進めている。一方で、「Tomorrow never knows」などが達していないなど、「認定」のみで評価するにはまだ時期尚早な感じがあることも忘れてはならない。

1996年
21/07 チェリー/スピッツ
21/09 そばかす/JUDY AND MARY
21/09 名もなき詩/Mr.Children

1997年
21/08 今宵の月のように/エレファントカシマシ
21/10 シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~/Mr.Children

2014年にYouTubeにアップされたMVは3,000万再生を突破。エレカシの代表曲として世間的に名高い1曲。

1998年
21/09 夏色/ゆず

1999年
20/04 丸の内サディスティック/椎名林檎
21/08 Automatic/宇多田ヒカル

YouTubeのプロモーション・ビデオの再生数は軒並み「認定」基準に達しているが、RIAJでは過去曲ではこの「Automatic」が最速。

2000年代前半

2000年
21/02 カブトムシ/aiko
21/05 Everything/MISIA
21/07 TSUNAMI/サザンオールスターズ
21/09 サウダージ/ポルノグラフィティ

他に比べると、CD売上では劣ったものの、「aiko」の時代を超えたヒット曲『カブトムシ』が認定開始1年未満で「シルバー」到達。

2001年
21/04 天体観測/BUMP OF CHICKEN
21/12 secret base ~君がくれたもの~(Album Version)/ZONE

「シルバー認定」の最終月にギリギリ間に合ったのが「secret base」。もし1か月遅ければ、「ゴールド」まで待たねばならなかった。ひょっとすると「進捗状況」を把握できずに終わっていた可能性すら感じてしまう。

2003年
21/04 雪の華/中島美嘉

YouTubeのMV公開から10年で7,000万回再生を突破している、平成の冬のスタンダード・ナンバー

2004年
20/04 奏(かなで)/スキマスイッチ
20/12 花/ORANGE RANGE
21/07 Sign/Mr.Children
21/08 メリクリ/BoA
21/09 リライト/ASIAN KUNG-FU GENERATION
21/12 栄光の架橋/ゆず

YouTubeでは1.5億回に迫る勢いの「奏(かなで)」。動画フル公開が2008年と早かったことも影響しているが、『全力少年』とはまた違った形での代表曲としてすっかり定着している印象。

2000年代後半

2005年
20/12 Story/AI
21/04 全力少年/スキマスイッチ
21/06 プラネタリウム/大塚愛
21/10 何度でも/DREAMS COME TRUE

2006年
20/08 ふたりごと ~一生に一度のワープver.~/RADWIMPS
21/02 いいんですか?/RADWIMPS
21/04 有心論/RADWIMPS
21/05 セプテンバーさん/RADWIMPS(AL曲)
21/09 三日月/絢香
21/10 トレモロ/RADWIMPS(AL曲)

『RADWIMPS3』→『ふたりごと』→『有心論』→『セツナレンサ』→『RADWIMPS4』と大躍進した2006年のRADWIMPS。15年を経た現代でも根強い人気があることが窺える。アルバム曲も軽々と認定を受けている。

2007年
20/04 愛唄/GReeeeN
20/11 CHE.R.RY/YUI
21/04 大阪LOVER/DREAMS COME TRUE
21/07 鱗(うろこ)/秦基博
21/09 イケナイ太陽/ORANGE RANGE
21/11 蕾/コブクロ

「シンクロ」が全国ラジオ局でパワープレイになった直後に出した2ndシングルの『鱗(うろこ)』。秦基博さんの歌声が輝く一曲。

2008年
20/04 キセキ/GReeeeN
20/04 愛をこめて花束を/Superfly
20/04 HANABI/Mr.Children
21/02 HOME/清水翔太
21/07 そばにいるね (feat. SoulJa)/青山テルマ
21/12 韻波句徒インパクト/CHEHON

※発売当時から「着うた(フル)」を賑わせていたヒット曲が名を連ねる中、最後に滑り込んだのが、CHEHONの「韻波句徒」。こういうのが漏れてしまうことが惜しくて堪りません。

2009年
20/04 君が好き/清水翔太
20/06 君の知らない物語/supercell
21/04 やさしさで溢れるように/JUJU
21/05 逢いたくていま/MISIA
21/10 Aitai/加藤ミリヤ
21/10 Love Forever/加藤ミリヤ×清水翔太

清水翔太、加藤ミリヤ、JUJUといった「着うた(フル)」に強かったアーティストがストリーミングでも強さ。また、「君の知らない物語」のように一般アーティストではない歌手のアニソンも名を連ねるように。

2010年代前半

2011年
20/04 花束/back number
20/09 君と羊と青/RADWIMPS
20/10 100万回の「I love you」/Rake
21/11 幸せ/back number(c/w曲)

時代はいよいよ「back number」など平成後半の時代に。例えば、『花束』のMVは、2020年7月公開にもかかわらず、1年半で1,000万再生を突破する層の厚さを見せている。

2012年
21/02 わたがし/back number
21/05 恋/back number
21/08 眠り姫/SEKAI NO OWARI
21/12 花火/三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE

2013年
20/04 恋音と雨空/AAA
21/04 会心の一撃/RADWIMPS
21/06 RPG/SEKAI NO OWARI

2014年
20/04 R.Y.U.S.E.I./三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE
20/06 さよならの前に/AAA
20/08 I LOVE YOU/クリス・ハート
20/11 ひまわりの約束/秦基博
21/01 DREAM/清水翔太
21/01 シルエット/KANA-BOON
21/02 にじいろ/絢香
21/07 Dragon Night/SEKAI NO OWARI
21/11 Beautiful/平井大(AL曲)
21/12 繋いだ手から/back number

YouTubeを公式に活用して、(特別なEditとして)プロモーション・ビデオを公開することも珍しくなくなってきていた2010年代中盤。このあたりから、シルバー認定される楽曲が急増するので、本記事に掲載する基準も厳し目にとってあります。

2015年
20/04 トリセツ/西野カナ
20/04 新宝島/サカナクション
20/04 ヒロイン/back number
20/04 クリスマスソング/back number
20/07 花束のかわりにメロディーを/清水翔太
21/03 君がくれた夏/家入レオ
21/04 シュガーソングとビターステップ/UNISON SQUARE GARDEN
21/09 SUN/星野源
21/10 海の声/浦島太郎 (桐谷健太)
21/10 愛してるのに、愛せない/AAA

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