【はじめに】
この記事では、実は夏の季語である「噴水」について、ウィキペディアの記載なども参考にしつつ纏めていきたいと思います。最後には「噴水」を詠んだ俳句もご紹介していきますのでぜひ最後までお楽しみ下さい!
噴水(ふんすい)とは、池や湖などに設けられる水を噴出する装置、またはその噴出される水そのもののことである。広場や庭園、公園の装飾的設備として設けられることが多い。
噴水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』( 以下省略 )
ウィキペディアにみる「噴水」について
概要
字義通りならば「水を噴出するもの」ということになるのだが、日本語における「噴水」は上方向への噴出という意味合いが強い。その一方で英語における“fountain”は、例えば公園などに置かれている水飲み場の蛇口や地表に自然に現れる湧水といった、人工的あるいは天然の泉の意味も含んでおり、噴出方向も必ずしも上方向となっている必要はないとされている。その意味では、ブリュッセルの小便小僧やシンガポールのマーライオンも噴水ということになる。
噴き上げる仕組みとしては、伝統的なものでは落差を利用し水を噴き上げる構造となっているが、現在稼働しているものではモーターなどの動力とポンプで構成されるものが目立つ。
形態としては、ただ上方に水を噴き上げるだけの単純なものもあれば、噴き上げる強さを変えられるもの、ノズルが可動式になっておりさまざまな噴水形状を作れるものも存在する。また噴水の階層を複数にしたもの(二段噴水・三段噴水)や、噴水の周囲をプールとして使用できるように造られたもの(噴水プール)も存在する。
噴水あれこれ
日本の噴水
奈良県にある飛鳥時代の石神遺跡では、水位差を利用して水を噴出させていたと推測される須弥山像と見られる石造物と、石人像が発掘されている。石人像は異国人の風貌を持つ男女の老人が杯を持つ姿をした像であり、百済からの渡来人の技術によって制作されたものと考えられる。
日本で最古とされる噴水は兼六園の噴水で、1861年に前田斉泰が金沢城内に作らせたものである。当然、動力は使われておらず、高低差を利用した位置エネルギーのみで動いている。その他、長崎公園の噴水も装飾噴水としては古いとされる。
現在噴水の高さ日本一は、寒河江ダムにより形成された人造湖「月山湖」に於いて稼働している「月山大噴水」で、112mの高さまで噴き上げることが出来、世界でも第4位の高さを誇っている。
世界の噴水
高く噴き上げられる噴水で有名なものとして、アメリカ合衆国のファウンテン・ヒルズ(約170m)、スイス・ジュネーヴの「ジェドー」(140m)が挙げられる。
西ヨーロッパでは、バロック期に幾何学式庭園の隆盛と平行して、噴水が庭園を構成する主要な要素として盛んに設置されていく一方、いくつかの街には市内の飾りとして彫刻を付した噴水が設けられた。噴水に好んで用いられるモチーフには、ギリシア神話の海神やニンフを模したもののほか、各大陸の河をさまざまな民族衣装をまとった擬人像で表す、いわゆる「四大陸の泉」がある。
噴水がある箇所
以下、「噴水」で単独の記事がある項のみをピックアップしました。
- ドバイ・ファウンテン (アラブ首長国連邦・ドバイ)
- 舟の噴水(イタリア=ローマ)
- 亀の噴水(イタリア=ローマ)
- トレヴィの泉(イタリア=ローマ)
- スペイン広場「舟の噴水(バルカッチャの噴水)」〔イタリア=ローマ〕
- 小便少女(ベルギー=ブリュッセル)
- 大噴水(スイス=ジュネーヴ)
- エクス=アン=プロヴァンスの噴水群(フランス)
- ヴェルサイユ宮殿の噴水庭園(フランス=ヴェルサイユ)
- ベラージオ(カジノホテル;アメリカ=ラスベガス)
- 富の泉(シンガポール)
科学実験における噴水
ヘロンの噴水
動力を使わず噴水を実現する方法として、ヘロンの噴水というものがある。古代ギリシャのヘロンという学者が考えたものであるが、原理が簡単で自作も可能であるために、現代において理科教育用として使われることがある。
アンモニアの噴水
理科実験の一つのアンモニアの水への溶解度の高さを利用してフェノールフタレイン溶液を噴出させる実験は、アンモニアの噴水と呼ばれている。
関連項目
- 通潤橋 – 1854年完成。噴水管(逆サイフォン)の原理を応用して水を通す構造になっている
- ユートゥルナ – ローマ神話に登場する噴水や泉の女神
- カンザスシティ – 市内に噴水が200か所以上存在する
- チョコレートファウンテン
- マルリーの機械
- クジラの潮吹き
- ハワイ式噴火
- デパ地下 – 食料品売場となっていることが多いデパート地階に集結した客が上層階に誘導される現象を「噴水効果」と呼称
俳句歳時記にみる夏の季語としての「噴水」
今や屋内を含めて大規模な「噴水」も増え、一年中稼働している「噴水」も増えてきています。しかし俳句歳時記においては季感を覚えるものとして夏の季語とされています。
「噴水」のほか、「噴上げ」や「噴泉」も傍題として季語となっていますが、広い捉え方をすれば、「滝」を始めとして、滴り、清水、泉、吹井(ふけい)などと似て、水によって涼を求めるものはおおよそ夏の季語と捉えていた延長線上にあるのかも知れません。「作り滝」という季語すらありました。
例句にみる「噴水」のイメージ
そして、俳句歳時記の例句で詠まれている「噴水」は、典型的に『屋外』にある『公園などの中央』に設置されているようなものでした。
現代でこそ大規模ショッピングモールや観光施設の中(=屋内)に噴水を設置することも可能となっていますが、やはりかつては屋外に人工的に設計されるのが当たり前だったことを思えば、『噴水』が夏の季語となっていることともイメージが連動してくると思います。
俳句歳時記にみる「噴水」の例句3句
日本における「噴水」は、おおよそ19世紀の後半からですから、俳句歳時記の例句として載ってくるのも、芭蕉や一茶ではなく明治期以降となります。手元の「角川俳句大歳時記」で最も古い例句でも、20世紀生まれの【山口誓子】でした。
そんな「街の中」にある公園の中央にありそうな「噴水」の例句を厳選3句取り上げました。こちら(↓)です。
3句とも、「噴水」の最広義での一物仕立てかも知れませんが、やはり注目するべきは「風」だったり「光」だったり「街」だったりといった『噴水』の脇役となる存在たちです。意識して選句していますが
『噴水』がただ存在するだけ、或いは水を噴き上げているだけの情景を詠むのもアリなのかも知れませんが、やはり必要になってくるのは『噴水』に夏の季感を覚える仕掛けです。これらの句はいずれも、キラキラとまばゆいような情景が脳内に想起されます。絵画にもなりそうな平和な世界ですよね。
「プレバト!!」でいえば、水彩画の査定などで頻繁に『噴水』や『公園』が描かれますが、その時と注意すべき点は似ていて、一つは『噴水の水しぶき』を躍動的に感じさせることであり、もう一つは『噴水の周りの人であったり情景』を蔑ろにしないことが挙げられるでしょう。そのための装置として風や光(もちろん他のものでもOK)が効果的に配置できると、より作品の魅力が増してくると思います。
皆さんも最近・子供の頃に通った「噴水」のある場所を思い出して、1句作ってみては如何ですか? それも夏から秋にかけてのこの時期の楽しい俳句への関わり方だと思います。ぜひどうぞ!
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