【はじめに】
この記事では、日本語版ウィキペディアで「世界遺産」の概要について学んでいきたいと思います。
「世界遺産」のことなんて全然知らないよ。どんなものか何となく知りたい!
という私の学びを兼ねた記事となりますので、ぜひ「世界遺産」について知るキッカケとして頂ければと思います。(興味を持ったら更に深掘りしていただければ幸いですね)
世界遺産(せかいいさん、英語: World Heritage Site)は、1972年のユネスコ総会で、採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて世界遺産リスト(世界遺産一覧表)に登録された、文化財、景観、自然など、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つ物件のことで、移動が不可能な不動産が対象となっている。慣例的な用法として、その中の文化遺産を世界文化遺産、自然遺産を世界自然遺産と呼ぶことがある。
世界遺産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(以下略)
概要
世界遺産は、「顕著な普遍的価値」を有する文化遺産や自然遺産などであり、1972年に成立した世界遺産条約に基づき、世界遺産リストに登録された物件を指す。
世界遺産条約はユネスコ成立以前、20世紀初頭から段階的に形成されてきた国際的な文化財保護の流れと、国立公園制度を最初に確立したアメリカ合衆国などが主導してきた自然保護のための構想が一本化される形で成立したものである。
世界遺産は、政府間委員会である世界遺産委員会の審議を経て決定される。その際、諮問機関として、文化遺産については国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が、自然遺産については国際自然保護連合(IUCN)がそれぞれ勧告を出し、両方の要素を備えた複合遺産の場合には、双方がそれぞれ勧告する。
潜在的ないし顕在的に保存することが脅威にさらされている遺産は、危機遺産リストに登録され、国際的な協力を仰ぐことになる。それ以外の世界遺産も、定期報告を含む保全状況の確認が登録後にも行われる。適切な保護活動が行われていないなど、世界遺産としての「顕著な普遍的価値」が失われたと判断された場合には、世界遺産リストから抹消されることもありうる。
歴史
前史
国際的に文化遺産を保護しようという動きは、戦時における記念建造物などの毀損を禁じた1907年ハーグ条約から始まったとされる。その後、レーリッヒ条約、アテネ憲章なども整備されたが、第一次世界大戦、第二次世界大戦では文化財にも多大な損害がもたらされた。
世界遺産の成立
1976年11月には第1回世界遺産条約締約国会議が開かれた。締約国会議はユネスコ総会に合わせる形で(つまり2年に1回)開催され、世界遺産委員会の委員国選出や世界遺産基金への各国の分担金額の決定が行われる。その第1回会議で最初の世界遺産委員会の委員国が選出され、翌年には第1回世界遺産委員会が開催された。
そして、1978年の第2回世界遺産委員会で、エクアドルのガラパゴス諸島や西ドイツのアーヘン大聖堂など12件(自然遺産4、文化遺産8)が、最初の世界遺産リスト登録を果たした。
登録対象の拡大
世界遺産に関する業務の増大を踏まえ、1992年には、世界遺産の事務局にあたる世界遺産センターがユネスコ本部内に設置された。
1992年は日本が世界遺産条約を批准した年でもあり、先進国では最後にあたる125番目の締約国となった。国内では紆余曲折あった日本の参加だが、参加してすぐに重要な議論を本格化させることになる。それは「木の文化をどう評価するか」ということである。日本の世界遺産のうち、最初の文化遺産は姫路城と法隆寺地域の仏教建造物である(いずれも1993年登録)。
抹消される事例の出現
世界遺産は毎年その件数が増えていく中で、上限に関する議論なども見られ始める。その一方で、登録物件から「顕著な普遍的価値」が失われた場合などには、その物件は世界遺産リストから抹消される規定が存在していたが、そのような事例は長らく存在していなかった。
しかし、2007年の第31回世界遺産委員会でアラビアオリックスの保護区が初めて抹消され、続いて2009年の第33回世界遺産委員会ではドレスデン・エルベ渓谷が、さらに2021年の第44回世界遺産委員会で海商都市リヴァプールが抹消された。松浦晃一郎は、最初の抹消事例が出た2007年以降を、保全や保護に対する重要性がいっそう増した時期と見なしている。
さまざまな課題を抱える一方で、世界遺産の数は増加し続けている。
産業遺産や文化の道など、比較的新しい文化遺産のカテゴリーも取り込みつつ、2010年にはハノイのタンロン皇城の中心区域(ベトナムの世界遺産)をもって世界遺産登録件数が900件を突破、2014年にはオカバンゴ・デルタ(ボツワナの世界遺産)の登録をもって1,000件を突破した。
2021年の第44回世界遺産委員会(拡大会合)終了時点での条約締約国は194か国、世界遺産の登録数は1,154件(167か国)となっている。その締約国数、人気、知名度などから、しばしば国際条約の中でもっとも成功した部類に数えられている。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受けて
世界遺産への新規登録や登録抹消を協議する会合は毎年世界各地で開かれ、2022年はロシアのカザンで予定されていたが、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシアでの開催は無期限の延期となる。ユネスコの世界遺産委員会によると、2022年4月現在少なくとも53のウクライナの貴重な文化遺産がロシア軍によって破壊されたとみられている。
登録対象
登録される物件は不動産、つまり移動が不可能な土地や建造物に限られる。そのため、たとえば寺院が世界遺産になっている場合でも、中に安置されている仏像などの美術品(動産・可動文化財)は、通常は世界遺産登録対象とはならない。ただし、東大寺大仏のように移動が困難と認められる場合には、世界遺産登録対象となっている場合がある。
分類
世界遺産はその内容によって文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類に分けられている。なお、日本語文献ではしばしば無形文化遺産も単に「世界遺産」と呼ばれることがあるが、後述するように、そちらは世界遺産条約の対象ではなく、世界遺産委員会で扱われる「文化遺産」には含まれない。
また、内容的な区分以外にも、国際的な対応の優先度の高い「危機にさらされている世界遺産」(危機遺産)、2か国以上で保有する「国境を越える資産」、非公式な分類だが日本語圏では広く用いられる「負の世界遺産」などがある。
文化遺産 (世界遺産)
文化遺産(cultural heritage)は世界遺産条約第1条に規定されており、記念工作物、建造物群、遺跡のうち、歴史上、芸術上あるいは学術上顕著な普遍的価値を持つものを対象としている。
基本的なカテゴリーは上記の3種のままだが、それらに内包されるカテゴリーとして、上述のように1992年に文化的景観の概念が追加され、以降、産業遺産、文化の道など多様なカテゴリーが加わった。
自然遺産 (世界遺産)
自然遺産(natural heritage)は世界遺産条約第2条に規定されている。
複合遺産 (世界遺産)
複合遺産(mixed heritage)は文化と自然の両方について、顕著な普遍的価値を兼ね備えるものを対象としている。1979年には最初の複合遺産が登録されていたものの、世界遺産条約に直接的な規定はなく、作業指針でも長らく明記されてこなかった。しかし、2005年の改訂の際に「作業指針」第46段落で定義付けられた。
複合遺産には最初からそのように登録されたものだけでなく、自然遺産として登録されたものの文化的側面が追認されて複合遺産になったり、逆に文化遺産の自然的側面が追認されて複合遺産になったりする場合もある。
危機遺産(危機にさらされている世界遺産)
内容上の分類ではないが、後世に残すことが難しくなっているか、その強い懸念が存在する登録物件は、危機にさらされている世界遺産リスト(危機遺産リスト、List of World Heritage in Danger)に加えられ、別途保存や修復のための配慮がなされることになっている。
2021年の第44回世界遺産委員会終了時点での危機遺産登録物件は52件となっている。しかし、保有国の中には、危機遺産登録を不名誉なものと捉えて強い抵抗を示す国もあり、危機遺産リストに登録されるべき場合であってさえも、容易に登録が実現しない現実がある。リストに正式登録された危機遺産以外に、そのような「隠れた危機遺産」の増加を懸念する意見もある。
国境を越える資産
世界遺産の中には、複数国にまたがる「国境を越える資産」(Transboundary properties)も存在する。
負の世界遺産
戦争、奴隷貿易、人種差別、文化浄化など、人類の歴史において繰り返してはならない出来事をとどめた遺跡なども、世界遺産リストに登録されている。これらは別名「負の世界遺産」(負の遺産)と呼ばれている。
ただし、世界遺産センターやICOMOSによって公式に認められた分類ではない。そのため、何を負の遺産と見なすのかは論者によって異なるが、(後略)
顕著な普遍的価値とその評価基準
すでに述べたように、世界遺産となるためには「顕著な普遍的価値」(Outstanding Universal Value、略号は OUV)を有している必要がある。しかし、世界遺産条約では「顕著な普遍的価値」自体を定義していない。
世界遺産登録基準
- 人類の創造的才能を表現する傑作
- ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの
- 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠
- 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例
- ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例
- 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの
- ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの
- 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる
- 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの
- 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる
以上の基準の少なくとも1つ以上を満たしていると世界遺産委員会で認定されれば、世界遺産リストに登録される。多くの世界遺産では、複数の基準が適用されている。最多は泰山とタスマニア原生地域の7項目である。
完全性と真正性
前述の通り、世界遺産の「顕著な普遍的価値」には、完全性と真正性を満たしていることも必要となる。
コメント