【はじめに】
この記事では、二十四節気「小雪」についての気になるポイントを纏め、俳句歳時記に載っている名句を鑑賞して、「小雪(しょうせつ)」の頃の魅力について一緒に学んでいきたいと思います。
ウィキペディアにみる「小雪」について
小雪(しょうせつ)は、二十四節気の第20。十月中(通常旧暦10月内)。
現在広まっている定気法では太陽黄経が240度のとき(黄道十二宮では人馬宮の原点に相当)で11月22日ごろ。暦ではそれが起こる日だが、天文学ではその瞬間とする。平気法では冬至から11/12年(約334.81日)後で11月21日ごろ。期間としての意味もあり、この日から、次の節気の大雪前日までである。
小雪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』( 以下省略 )
季節
わずかながら雪が降り始めるころ。『暦便覧』では「冷ゆるが故に雨も雪と也てくだるが故也」と説明している。
日付
本来、「小雪日」は年によって変わるのですが、日本標準時基準では基本的にここから21世紀前半の間は日付が固定されています。2020年代から2051年までは「11月22日」です。
2052年になって初めて閏年のみが「11月21日」となっていきますが、向こう30年は「11月22日」で固定されていると考えて結構かと思います。
七十二候
- 初候
- 虹蔵不見(にじ かくれて みえず) : 虹を見かけなくなる(日本・中国)
- 次候
- 朔風払葉(きたかぜ このはを はらう) : 北風が木の葉を払い除ける(日本)
- 天気上騰地気下降(てんき じょうしょうし ちき かこうす) : 天地の寒暖が逆になる(中国)
- 末候
- 橘始黄(たちばな はじめて きばむ) : 橘の実が黄色くなり始める(日本)
- 閉塞而成冬(へいそくして ふゆをなす) : 天地の気が塞がって冬となる(中国)
俳句歳時記にみる「小雪」の例句3句
では、そうした11月から12月にかけての初冬を呼んだ「小雪」の俳句を厳選3句、俳句歳時記から引用します。(↓)
4音で勢いのある響きの節気なので、上五に「小雪」と始める句が多い印象です。そして地域にもよりますが、まだ初冬で外出も考えられる季節なこともあってか「寒さの始めのウキウキ感」が少し窺える気がします。
1句目は、大正・昭和に活躍された女流俳人・長谷川かな女の作品。今と品目も作り方も違った時代の初冬の食卓を想像すると少し趣きも違ってきそうです。
そして2句目は、一転して自然の描写です。『小雪や』とするのではなく『小雪といふ』とすることで少しニュアンスが柔らかくなり後半への繋がりもマイルドになっています。対句的に「野」と「田」、「かげり」と「ひかり」という象徴的なコントラストが作品を独自なものとしていますね。
3句目は、私が「寒さの始めのウキウキ感」と書いたものに現実を突きつけるかのような作品ですww 確かに「気負うと詩心が空回りする」というのは作句したことのある人なら経験があるのではないでしょうか。自然体が一番だというのは、寒い季節ならではの先人の知恵でもあるかも知れませんね。
(参考)ウィキペディアに学ぶ各地の「初雪」について
最後に、時候の季語「小雪」とは別物ですが、天文の季語である「初雪」にも軽く触れておきたいとは思います。
初雪(はつゆき)は、その冬初めて降る雪、または新年になってから初めて降る雪のこと。あるいは、その雪が降った日(雪の初日)のこと。反意語は終雪(しゅうせつ)である。
初雪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』( 以下省略 )
定義
気象庁及び各地の気象台が発表する「初雪」の定義では、その冬の最初に雪か霙(みぞれ、雨交じりの雪、または融けかかった雪)による降水があった場合を初雪とする。
高山では夏に雪が降ることもあるため、「高山では、その年の日平均気温が最も高い日以降、初めて降った雪」を初雪とする定義があるが、富士山などで観測が廃止された現在は終雪から初雪まで長い期間のある観測地点しか存在せず、統計上は考慮の必要がなくなった。
観測地点は、日本国内各地の有人気象観測所58か所(5管区気象台、50地方気象台、2測候所、沖縄気象台)のうち、沖縄県の4か所と鹿児島県名瀬を除く53か所、および自動観測数か所である。1997 – 2010年にかけて行われた測候所の廃止により、大幅に減少した。北海道の特別地域気象観測所数か所など、一部では計器による自動観測に切り替えて初雪の観測が続けられている所もある。
時期
初雪が観測される時期は、毎年ばらつきが激しい。各地の初雪が観測される平年の時期は、北海道・東北山間部では9月後半から10月中旬にかけて、同じく内陸や平野部では10月中旬から11月上旬頃である。信越地方・北陸地方は11月中旬から12月上旬、北関東・山梨県・岐阜県・滋賀県・北近畿・山陰は11月下旬から12月中旬にかけて、関東平野部・東海・京阪神・南紀、山陽、四国、北部九州の平野部では12月中旬から1月上旬にかけて観測される。
東京など関東南部から九州南部にかけての太平洋沿岸部は初雪の観測が遅く、年明けの1月以降の地域が多い。これらの地域では南岸低気圧によりもたらされる雪が初雪となる場合がほとんどで、年によっては、静岡や宮崎などで初雪そのものが観測されなかった年もある。
また、冬でも温暖な小笠原諸島や南西諸島では基本的に雪は観測されない。
各地の平年値を表にして纏め直してみた
ウィキペディアに「日本国内主要都市における初雪および終雪の平年値(1991 – 2020年、気象庁、観測地点は2021年時点)」が地域ごとに示されていたのですが、縦長になってしまっているので、少しそれを時期ごとに纏めてみました。こちらです。(↓)
節気 | 都市名 |
---|---|
寒露 | 稚内、旭川 |
霜降 | 網走、帯広、札幌、室蘭、函館 |
立冬 | 釧路、青森、盛岡、秋田、山形 長野 |
小雪 | 仙台、福島、新潟、富山、金沢 福井、鳥取、松江、下関、福岡 佐賀、長崎、大分、熊本 |
大雪 | 水戸、宇都宮、前橋、熊谷、横浜 甲府、岐阜、彦根、京都、奈良 神戸、和歌山、岡山、広島、徳島 松山(12/19)、高知 |
冬至 | 東京(1/3)、名古屋、津 大阪(12/26)、高松 |
小寒 | 銚子、静岡、宮崎、鹿児島 |
10月中旬に「上川地方」あたりから平年値が現れ始め、霜降の時期に北海道の広域、そして立冬を迎えると北海道の太平洋に面した地域から東北地方にかけて到来。そして小雪・大雪の時期に日本列島の非常に広い範囲で「初雪」の平年値を迎えます。こうしてみると大都市でも中国の二十四節気が当てはまる部分もあるように思えますね。
三大都市圏は「冬至」を迎えてからの年末年始が平年値となりますが、年によっては早い段階で初雪を観測することも無くはないですし、近年は2月近くになって初雪ということもあります。あくまで単純な平年値なので参考程度ですが、季節感の移ろいを感じるには十分かと思います。
但し、「小雪」はあくまでも11月下旬から12月上旬の「一定期間」を示す意味の言葉です。そこは「初雪」という自然現象(天文の季語)とは区別する必要があります。つまり、「初雪が降る」という言葉遣いはしても、「小雪が降る」という使い方はNGだという“まとめ”になります。
そこのあたりは是非、他の『二十四節気』の記事なども参考にしていただきながら、作句する際のヒントにして下さい!
皆さんの最寄りの都市の「初雪」は何時ですか? この二十四節気「小雪」の時期には既に雪が降っていてもおかしくないですか? 小雪の季節感に沿った1句、コメント欄でお待ちしております! それではまた次の記事でお会いしましょう、Rxでした~
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