【書籍紹介】『夏井いつき、俳句を旅する』

【はじめに】
この記事では、俳人・夏井いつき先生の2022年4月1日発売の新書『夏井いつき、俳句を旅する』を、簡単にご紹介していきます。

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夏井先生が新著で、どういう「旅」(旅行記ではないです)をしたのか早速、見ていきましょう!

【参考動画】夏井いつき俳句チャンネル

発売の5日前に当たる2022年3月27日、YouTubeの「夏井いつき俳句チャンネル」で(↓)のような紹介動画がアップされていました。こちらもぜひご覧ください~

web連載を書籍化:俳句の時空を超える鑑賞文集

今回の本は、悟空出版から刊行された書籍です。この「悟空出版」というのは、皆さんも『乗換案内』などを利用したことがあるかも知れない、『ジョルダン』グループの出版社だそうです。

☆俳人 夏井いつきの最新刊『夏井いつき、俳句を旅する』4月1日発売|ごくうweb | 2022.3.30
https://web.goku-books.jp/archives/1032

そして、ジョルダン『乗換案内』ともコラボして、「悟空出版」が立ち上げたWebメディア「ごくうweb」で、夏井先生が寄稿していた『夏井いつき 17音の旅』というweb連載を書籍化したものなんだそうです。

そんな風に『ジョルダン(乗換案内)』とコラボした「旅する」本なんて勘違いを私は最初していたのですが、実際に手によって読んでみると、『旅する』のが物理的な旅行のことでない事が分かります。

明治以前から連綿と続く俳句の歴史と名句を、縦横無尽に旅する……いわば過去の名句を「タイムトラベル」する鑑賞文集

といった方がイメージは近いかと思います。例えば百年以上も前の俳句を現代に寄せて夏井先生が案内(鑑賞)してくれるそんなツアーコンダクター的な印象の方がまだ近いかも知れません。ただ念押ししておきますが、内容は「旅」要素は殆どなく、オーソドックスな俳句鑑賞本です。

(出典)株式会社夏井&カンパニー ホームページ「書籍」紹介より画像引用

この紹介文にある通り、江戸・明治の有名俳人から、【3歳の子を含む“いつき組”のメンバー】の作品も紹介されるというのが、この本の特徴になろうかと思います。

俳句に興味がある人にプレゼントするような本

動画では、この本の装丁から話しが始まります。表紙カバーにある「花」は、何と「木彫り」なんだそうです。確かによく見ると、ドライフラワーでも無いことが分かります。カバーの手触りからして良いのですが(^^ なんか持っているだけでオシャレな感じがしてきます。

動画内でも紹介されていましたが、この「木彫りの花」を手掛けられたのは、造形作家・立体イラストレーターの和田治男さんで、装丁デザインは坂川朱音さんだそうです。(ツイートを貼っておきます)

夏井先生は「俳句に興味を持ち始めた人にプレゼントできるような本」という依頼をしたんだそうで、家藤正人さんもそのコンセプトに強く共鳴していました。正人さんも言っていたとおり、最近は『書店にカフェなどが併設』されている店舗も多く、そこに置いておいて欲しいという要望、まさにピッタリだと思いますね。

全国のカフェ併設の書店の皆さん、装丁的にピッタリですから、ぜひ置くに値すると思いますよー(^^

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俳句は「人でなく作品」:人で選ばずの百数句

この本は俳句鑑賞文集に分類されそうな訳ですが、どんな俳句を鑑賞・紹介するかで大きく変わってきます。紹介文を要約すると、『江戸時代の有名俳人から明治の文豪、そして巷(市井)の俳人まで』となり、その最年少は3歳の男の子となります。

まるで「幅広く選んだ」ことがコンセプトであるかのようですが、夏井先生の思いは少し違うようで、

『俳句っていう作品においては、(俳句を詠んだ人の)名前じゃなくて作品だ!って思いで、色んなの(作者の作品)を取り混ぜています。』 by 夏井いつき

上記動画の4分30秒あたりから ※括弧内は筆者の補記

本でも曲でも何でもその傾向が誰しもありますが、「人名(著者、作詞家、発言者)」などの印象や格などに潜在的にどうしても引っ張られがちです。でも、正岡子規だって凡句をたくさん残しているし、お笑い芸人だって名句をたくさん生み出している事、皆さんならご存知頂けるのではないでしょうか。

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動画の中で、夏井先生は、俳句の鑑賞には2種類あって、

  1. 「作家論」的に読む(作者の生涯や時代背景などを調べ理解した上で鑑賞する)
  2. 「字面」を重視して読む( ← 本著ではこちらを採用)

と分類していました。多くの俳句鑑賞本は「1.」のスタイルを自然と取っていますが、きっと夏井先生は多くの俳句企画で素性を知らない投句の山から「字面」で評をしてきた経験が長いため、そういうフェアな思いで俳句を紹介しようと考えたのだと思います

ある意味、国語の授業などと異なり、本当の意味で「字面勝負」で鑑賞している点でも、この著書は、初心者にオススメしやすいコンセプトとなっていると思います。

【おわりに】

本紹介の末尾の一文が、この本を良く言い表していると思いました。こちらです。

『俳句を読み解くという楽しみを手に入れて、新しい俳句の扉を開いてみませんか。』

同書の紹介文より引用

夏井先生は、常々、「作句するのと鑑賞するのが、俳句上達に向けての『両輪』だ」と語っています。

『世界一わかりやすい俳句鑑賞の授業』もこの思考に基づいて書かれた初級者向けの本です。ただ俳句の楽しみ方は、「作ること」だけにあるのではないです。鑑賞も大きな楽しみ方の一つとなります。(小説の楽しみ方は、小説を書くよりも、読む方が間口が広いのと本来同じことだと思います。)

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(↓)リンクを再掲しておきますが、『新しい俳句の扉』を開くキッカケに、『俳句を旅する』、お手にとってみて下さい。オススメです。

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