【はじめに】
この記事では、気象官署「静岡地方気象台(静岡市曲金)」で観測された過去の強烈な揺れをまとめていきます。
震度1以上(有感地震)は10年で100回程度
気象庁の「気象庁震度観測点一覧表」によれば、1940年から観測が始まったとなっているので、まずはそれに従って、1940年代から10年刻みでの震度の分布を、気象庁の「震度データベース検索」から表にしてみました。(↓)
期間 | 震度1 | 震度2 | 震度3 | 震度4 | 5弱 | 5強 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1940年代 | 58 | 31 | 7 | 2 | 98 | ||
1950年代 | 38 | 25 | 4 | 67 | |||
1960年代 | 52 | 15 | 6 | 1 | 74 | ||
1970年代 | 31 | 14 | 11 | 2 | 58 | ||
1980年代 | 44 | 17 | 8 | 69 | |||
1990年代 | 58 | 23 | 8 | 3 | 92 | ||
2000年代 | 107 | 32 | 3 | 0 | 0 | 2 | 144 |
2010年代 | 87 | 28 | 3 | 2 | 1 | 121 | |
合計 | 475 | 185 | 50 | 10 | 1 | 2 | 723 |
・地震の発生日時 : 1940/01/01 00:00 ~ 2019/12/31 23:59
・観測された震度 : 静岡駿河区曲金(旧) もしくは 静岡駿河区曲金 で 震度1以上 を観測
・地震回数の集計 : 年代別回数
この表の外(1935年)に「震度6」があるため、震度4以上に関しては改めて書きますが、過去の実績からすると、体感での観測時代では2桁の後半、2000年代以降では100回超を観測しています。ざっと10年で100回程度というのが平均値のように見えます。
震度4以上:14回(うち静岡県周辺が12回)
次に、範囲を昭和以降に広げてみると、震度4以上は全部で14回となりました。こちらです(↓)
地震の発生日時 | 震央地名 | 深さ | M | 最大震度 | 「静岡」 |
---|---|---|---|---|---|
1935/07/11 17:24:48.3 | 静岡県中部 | 10 km | 6.4 | 震度6 | 震度6 |
1944/12/07 13:35:40.0 | 三重県南東沖 | 40 km | 7.9 | 震度6 | 震度4 |
1947/03/11 14:16:18.3 | 静岡県中部 | 32 km | 5.8 | 震度4 | 震度4 |
1965/04/20 08:41:59.4 | 静岡県中部 | 26 km | 6.1 | 震度4 | 震度4 |
1974/05/09 08:33:27.7 | 駿河湾 | 9 km | 6.9 | 震度5 | 震度4 |
1978/01/14 12:24:38.6 | 伊豆大島近海 | 0 km | 7.0 | 震度5 | 震度4 |
1993/08/07 15:01:19.6 | 静岡県中部 | 4 km | 4.1 | 震度4 | 震度4 |
1993/08/08 00:18:39.6 | 静岡県中部 | 4 km | 4.6 | 震度4 | 震度4 |
1995/04/18 20:26:25.2 | 駿河湾 | 24 km | 4.9 | 震度4 | 震度4 |
2001/04/03 23:57:12.4 | 静岡県中部 | 30 km | 5.3 | 震度5強 | 震度5強 |
2009/08/11 05:07:05.7 | 駿河湾 | 23 km | 6.5 | 震度6弱 | 震度5強 |
2011/03/11 14:46:18.1 | 三陸沖 | 24 km | 9.0 | 震度7 | 震度4 |
2011/03/15 22:31:46.3 | 静岡県東部 | 14 km | 6.4 | 震度6強 | 震度4 |
2011/08/01 23:58:11.0 | 駿河湾 | 23 km | 6.2 | 震度5弱 | 震度5弱 |
・地震の発生日時 : 1919/01/01 00:00 ~ 2022/07/10 23:59
・観測された震度 : 静岡駿河区曲金(旧) もしくは 静岡駿河区曲金 で 震度4以上 を観測
・検索結果地震数 : 14 地震 (「地震の発生日時の新しい順」で検索)
2011年の東北地方太平洋沖地震(右端)と1944年の昭和東南海地震(左端)を除くと、その他はいずれも静岡県周辺(1978年の伊豆大島近海地震を除く11例は静岡県の領域)で発生した地震による揺れとなっています。
1965年4月20午前8時41分、静岡県中部を震源とするMj6.1の地震が発生。最大震度は4であった。清水市(清水平野)で大きな被害が生じ、梅ヶ谷・押切・下野・原等では、壁や瓦などに被害が出た。小学校や病院、市庁舎などでも同様の被害が見られた。清水港では天盤が大きく27cmも沈下。鉄筋コンクリート造の建物で窓ガラスが割れるなどした。焼津市や藤枝市、静岡市でも被害。この地震により、死者2人・負傷者4人の人的被害となった。
静岡地震 (1965年)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
県内の内陸地震でも、例えば1965年の「静岡地震」は、(当時の)清水市あたりで大きな被害が出て、静岡地方気象台をはじめ隣県を含む広い範囲で震度4(当時の表現で中震)を観測しました。
震度5弱以上:21世紀に入って3回
上の表を見てオレンジ色で示されているとおり、「震度5弱」以上の強い揺れを、21世紀に入ってから3度観測しています。ピックアップしてみますと、
2000年代に震度5強が2回、2011年8月に震度5弱を1回観測しています。いずれも震源が近かったこともあり、静岡市内でも稀な強い揺れとなりました。
例えば、2009年の駿河湾の地震では、静岡市内の「駿府城址」の石垣が一部崩壊したり、積まれた書籍が崩れて埋もれた方が亡くなるといった被害が出ています。
震度6(烈震):1935年「静岡地震」
静岡地方気象台での観測で最も強い揺れと思われるのが、1935年7月11日に起きた最大震度6(当時の最大震度)の「静岡地震(大谷地震)」です。
被害は有度山の北側と西側の地域に集中し、静岡市と清水市を中心に死者9名、全壊家屋360戸余りの被害を出した。
震央よりもやや離れた場所で被害が大きくなる傾向にあり、日本平の南西側の高松地区、大谷地区と北西側の国吉田地区や栗原地区などで家屋倒壊率10%程度以上の多くの被害を出し、その中間の堀ノ内地区などではあまり被害は出なかった。また、日本平の北東側の有東坂地区や渋川地区でも被害があり、その更に東の清水港でも岩壁の大破があった。
静岡地震 (1935年)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
横浜や甲府でも震度4を観測していますが、当時の静岡市内では家屋の被害を中心に大きな被害が出ました。静岡市周辺だけでもこうした地震が過去に起きていることを知り、南海トラフ巨大地震以外にも備えるべき災害があることを把握していただければ幸いです。
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