中央競馬の古馬G1の「ステップレース」のレース間隔がいつから見直されてないか調べてみた

【はじめに】
この記事では、中央競馬の古馬G1の「ステップレース」のレース間隔が、いつから見直されてないか調べて纏めてみています。令和の時代に今一度、振り返ってみる価値のある記事になったかと思いますので、競馬ファン歴の長い方も短い方も改めて学び直してみて下さい!

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現・古馬G1の「ステップレース」の間隔

ではここで、中央競馬(JRA)の古馬・平地G1の「ステップレース」について、本番G1とのレース間隔を表にして纏めてみましたので、早速ご覧ください。(↓)

G1レース中2週中3週中4週中5週
フェブラリーS根岸S東海S
高松宮記念オーシャンS阪急杯
大阪杯金鯱賞中山記念
天皇賞(春)(大阪杯)日経賞阪神大賞典
ヴィクトリアマイル福島牝馬S阪神牝馬S
安田記念京王杯SCマイラーズC
宝塚記念(鳴尾記念)(目黒記念)
スプリンターズSセントウルSキーンランドC
天皇賞(秋)毎日王冠
京都大賞典
オールカマー
エリザベス女王杯府中牝馬S
(秋華賞)
(京都大賞典)
マイルCSスワンS富士S
ジャパンC(アル共杯)(天皇賞秋)
チャンピオンズC武蔵野SみやこS
(JBCクラシック)
有馬記念(ステイヤーズS)(ジャパンC)
(※)カッコ書きは「優先出走権」なしで、実質的にステップレースとして使われているケースの多い重賞。

改めてこうしてみると、ステップレースとして設定されているレースが、「中2~3週」にかなり偏っていることが分かります。◯月下旬の開催ならば、前月末か当月の第1週に開催されるイメージです。

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ただ、令和を生きる皆さんは既に思う所があると思います。『ステップレース』、機能して無くね? と。ではここから上の表に一つ工夫をしてみようと思います。(↓)

何年ぐらい間隔が見直されていないか

上の表を、3色で塗り分けてみました。着眼点は、『何年間ぐらいレース間隔が見直されていない(≒放置されているか)』です。【凡例:2010年代以降2000年代1990年代以前

G1レース中2週中3週中4週中5週
フェブラリーS根岸S東海S
高松宮記念オーシャンS阪急杯
大阪杯金鯱賞中山記念
天皇賞(春)(大阪杯)日経賞阪神大賞典
ヴィクトリアマイル福島牝馬S阪神牝馬S
安田記念京王杯SCマイラーズC
宝塚記念(鳴尾記念)(目黒記念)
スプリンターズSセントウルSキーンランドC
天皇賞(秋)毎日王冠
京都大賞典
オールカマー
エリザベス女王杯府中牝馬S
(秋華賞)
(京都大賞典)
マイルCSスワンS富士S
ジャパンC(アル共杯)(天皇賞秋)
チャンピオンズC武蔵野SみやこS
(JBCクラシック)
有馬記念(ステイヤーズS)(ジャパンC)
(再掲)凡例:2010年代以降2000年代1990年代以前

要するに、十数年前に設定されて以来変わっていないのが黄色20世紀から変わっていないのが赤色となる訳で、20年ぐらい前の大改革を令和の今まで踏襲し続けているのです。

上の記事で、G1レースの内、かなりのものが平成の前半以降見直されていないことを明らかにしましたが、それに連れられる「ステップレース」も思った以上に変わっていないのです。

もちろん闇雲に変えれば良いとは言いませんが、少なくとも【テイエムオペラオー】のような古馬王道路線の完全制覇を達成する馬(どころか全てのレースに出走する馬すら)も皆無となってきている昨今を思えば、ここ数年ならまだしも、十数年で変わっていないことはもっと危惧すべき事態と思います。

少なくとも「天皇賞(秋) → ジャパンC → 有馬記念」と3連戦する馬は殆どいなくなり、加えてその前に「毎日王冠」や「京都大賞典」を叩きに使うという秋4戦の一流馬は見かけなくなりました。でもその当時のレーシングカレンダーをほぼ踏襲する形で、馬が20年あまりで何世代も進歩(華奢)になっているのに人間の側は数倍遅くしか番組表を変えられていないのです。

古馬G1の「優先出走権」の有名無実化

2014年あたりから、古馬G1のステップレースの1着馬に「優先出走権」(地方所属馬には更に門戸を広げて2着までなど)が与えられるようになりました。しかし、です。クラシック路線と比べて、全く話題になりません。それは競馬ファンが良く語る通り「有名無実化」しているからでしょう。

例外がゼロではないのでしょうが、少なくとも、『ステップレースである重賞』で1着となると本賞金を数千万円加算でき、レーティングも基本的には上がります。それによって1着馬の『優先出走権』があってもなくても多くのケースでG1に出走することが可能となるのです。

踏み込んで言ってしまえば、1着になって『優先出走権』を得たとしても、その権利を行使することなく、もう少し間隔のあいた別のG1に出走する陣営もここ数年は増えてきている印象です。この時点で、本来期待されていたであろう『優先出走権』が、十分に機能していないといえるのではないかと思うのです。

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私と世間一般の大衆が想定する『優先出走権』の一つの好例が、クラシック路線の『優先出走権』だと思います。2歳から活躍してきた馬も3歳になっての上がり馬も、◯着以内に入れば本番に出走できるという権利です。これを行使して本番の出走に漕ぎ着け、ドラマを作った例は数多あります。加えて、そういったドラマは『優先出走権』がなければ果たされなかったケースも多いように感じます。

これは詰まるところ、名目と実態が噛み合っていないという根本に関わる問題だと思うのです。

現行の仕組みの中での改善提案

ではどういった案が考えられるでしょうか。競馬素人の私(Rx)なりに幾つかパターンを考えました。

  1. 『レース間隔』を思い切って広げる
  2. 「優先出走権」の枠を2着までなどと広げる
  3. 負担斤量を変えて、優先出走権がなければG1に出れない馬に希望を

(1)『レース間隔』を思い切って広げる

1つ目は『レース間隔』に関する素朴な変更です。今や、G2級以上の馬が同じ月(中2週以内)に2度出走することは珍しくなってきています。事実、中2~3週といった前哨戦が設定されたのは今から20年ぐらい前のことが多いのにも関わらず、2000年代当時とローテーションが大きく変わっていることにJRA側が対応できていません。

例えば、中2週のレースでいくと、『オーシャンS』や『スワンS』、競馬場の開催時期の制約を考えなければ、『金鯱賞』や『福島牝馬S』、『京王杯スプリングC』、『セントウルS』などはある程度後ろ倒しした方がレース間隔が空くのではないかと考えます。

極端なことを言えば、『中3週』と『中6週』……例えば◯月下旬に開催されるG1ならば、◯月上旬と【前の月の下旬ではなく】前の月の前半みたいな感じで、レース間隔を広げてローテーションの選択肢を広げてしまうのです。

積極的な発案として例えば『京都大賞典』を取り上げましょう。2014年に3週間後の『天皇賞(秋)』の優先出走権が付与され、2015年ラブリーデイ、2016年キタサンブラックはこのレースを叩いて天皇賞馬に輝いています。しかし、2018年以降の5年間で天皇賞に出走したのは1頭のみ(2019年のドレッドノータス)で、その他は寧ろ距離が同じで中6週の『ジャパンC』に出走しています。

京都大賞典勝ち馬次走
2014ラストインパクト(×)金鯱賞1着
2015ラブリーデイ(◯)天皇賞1着
2016キタサンブラック(◯)天皇賞1着
2017スマートレイアー(×)エリ女6着
2018サトノダイヤモンド(×)ジャパンC6着
2019ドレッドノータス(◯)天皇賞16着
2020グローリーヴェイズ(×)ジャパンC5着
2021マカヒキ(×)ジャパンC14着
2022ヴェラアズール(×)ジャパンC1着

なので例えば1週間ほど繰り下げて、正式に『ジャパンC』への優先出走権【JCに今、優先出走権のあるレースが存在していない事実は今回は度外視】を設けるというのを提案できるかと思います。こういったレースは『京都大賞典』に限らず、幾つかあるのではないかと思いますね。

(2)「優先出走権」の枠を2着までなどと広げる

少なくとも今言えるものとして、「優先出走権」が1着までというのが実効性を下げているのではないかという説です。それは本番で活躍できるか別にして、出走できる馬の可能性を高めるという点です。

例えば、「富士S」で2着になった馬の中には、2014年ジャスパープリンス(→キャピタルS)、2018年ワントゥワン(→阪神C)、2021年サトノウィザード(→引退)のように重賞未勝利馬の連対が過去10年で3例ほどあります。次走の結果を見る限り、マイルCSで好走できたかと言われれば微妙ですが、仮に陣営が出走したいと考えていた場合、こういう馬達にこそ『優先出走権』を与えると夢が広がるのではないかと考えるのです。

もし2着まで「優先出走権」を広げるならば、ハンデG3よりも別定G2の方が宜しいかとは思います。流石にハンデG3だと1着でも通用するか微妙ですが、別定G2ならばまだ本番で通用する可能性が多少は出てきます。そうした意図も踏まえつつ、「優先出走権」枠の拡大を検討してみてほしいです。おそらく思ったほどに枠を圧迫することは無いかと思います。

(3)負担斤量を変えて、優先出走権がなければG1に出れない馬に希望を

現行、2つ前哨戦のあるG1では、例えば『距離が200mずつ違う』とか『関東と関西で1つずつ』など多少の工夫をしているパターンが目立ちます。

一方で、「どちらも別定G2で、距離も時期も大差ない」というパターンとしては、『富士S』と『スワンS』だったり、『武蔵野S』と『みやこS』だったりが挙げられます。

門戸を広げる(出場企画を増やす)という文脈での「優先出走権」であるならば、例えば『中山記念』と『金鯱賞』や、『阪神牝馬S』と『福島牝馬S』の様に個性の異なる負担斤量のレースを揃えるというのは如何でしょうか。

そうでもしないと、「優先出走権」が有名無実化してしまいかねない状況にあるのだと思うのです。

【以上をまとめると……】

以上3つをまとめると、こんな感じのステップレース案の組み合わせになろうかと思います。(↓)

項目レース案①レース案②
格付けG2G2~G3
間隔中5~6週中3~4週
斤量別定戦ハンデ戦
場・距離微妙に違う本番と同じ
着順2着まで1(~2)着

これぐらいメリハリを付ければ、ステップレースとしての目的もはっきりしてくるんじゃないでしょうか。言い方を変えれば、これぐらいしなければ、もう『優先出走権』制度がなくても、前哨戦を勝ったという本賞金の加算やレーティングの向上で本番(以外を含めた)G1に出走可能となるのです。

緩衝材ではないですが、別定G2の方は開催競馬場や距離を微妙に変える一方、ハンデG3系のレースは本番と距離を全く同じにして適性を問うというのも選択肢かと思います。そうすることで馬券上の妙味も少し増すのではないかと期待しているものです。

皆さんも改革案があればぜひコメント欄にお寄せ下さい。当然こういうアイディアがJRAさんに届くとは思いませんが、色んな思いつきを残しておくことで、20年以上殆ど手つかずだった古馬G1戦線およびそのステップレースを全面的に改革する際に日の目を見るかも知れませんからね!

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