「競馬の歴史」を学ぶ ~交流G1級着差編~【レモンポップの南部杯マイルCSを追記】

競馬の歴史を学ぶ

【はじめに】
「交流元年」とされた1995年から四半世紀が過ぎ、21世紀に入って大きな差のつくG1レースが目立つようになりました。特に、2023年の南部杯でレモンポップが見せた「大差勝ち(2.0秒差)」があまりにも衝撃的だったため、過去のデータを知りたい方も多かったようです。

そこで、実質的には21世紀に入ってからの国内ダートの「G1/Jpn1」において7馬身差以上の大きな差をつけた事例を列挙していきます。中央競馬に比べて対象期間は短いはずですが、大差のレースが案外複数回にわたって誕生していることを思うと、次にどの馬がどんな差をつけて勝つのか楽しみになってきます。早速みていきましょう!(↓ 芝を中心に中央G1級 編はこちらからどうぞ)

7馬身差:“芦毛の怪物”の圧勝劇に並ぶのは……?

  • 2001年・ジャパンCダート  クロフネ
  • 2002年・ジャパンDダービー ゴールドアリュール
  • 2002年・JBCクラシック   アドマイヤドン
  • 2010年・JBCクラシック   スマートファルコン
  • 2013年・ジャパンDダービー クリソライト

交流重賞に限定せず、ダートG1/Jpn1としたのは、このレースを入れたかったがためですね(^^ 2001年の「ジャパンカップダート」で7馬身差をつけた【クロフネ】の圧勝劇です。

11月24日、ダートの国際招待競走・ジャパンカップダートへ出走。当年はアメリカから一線級の実績馬であるリドパレスが出走したが、クロフネは同馬を抑えオッズ1.7倍の1番人気に支持された。スタート直後クロフネは隣のゲートのジェネラスロッシと接触、やや出負けした感じで後方からの競馬となったが、2コーナーで外に出すと馬なりのまま徐々に順位を上げていく。3コーナーを前にしてリドパレスもかわして3番手まで上がると、4コーナーで持ったままで単独の先頭に躍り出た。直線に入ると独走態勢となって前年度優勝馬ウイングアローに7馬身差をつけての優勝を果たした。走破タイム2分5秒9は同馬が前年度に記録した2分7秒2を1秒3更新する、2戦連続のJRAレコードであった。

クロフネ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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その後ジャパンダートダービーとJBCクラシックで2例ずつ7馬身差での圧勝が誕生しています。
平成で最後となったのがクリソライトのジャパンダートダービー。京都・昇竜Sでは接戦だったエーシンゴールドを本番では1.3秒差突き放しての9戦連続連対でのJpn1制覇でした。

9馬身差:人気薄でのダービーグランプリ制覇ほか

8馬身差というと、ロジータの川崎記念を思い浮かべる方がいらっしゃるかも知れませんが、まだ開放元年を迎える前の「重賞」時代であるため、本記事では紹介しません。8馬身差は手元で調べた限りでは、開放後には該当がなかったので飛ばして9馬身差に参ります。以下の3例です。

  • 2001年・ダービーGP ムガムチュウ
  • 2004年・ダービーGP パーソナルラッシュ
  • 2011年・帝王賞    スマートファルコン

平成10年代まで交流G1として秋の3歳ダート路線の目標となってきた「ダービーグランプリ」は、開放以来JRA勢が圧倒的に強く、2度の9馬身差が誕生しています。

ムガムチュウは北海道3歳優駿を勝って以来連対できていなかったため9番人気まで人気を落としていましたがカチドキリュウ以下に1.4秒差。パーソナルラッシュは人気薄でエルムSを制すると、ユニコーSで敗れていたトップオブワールドに1.4秒差の圧勝でG1初制覇。続いてアメリカのブリーダーズCクラシックに出走し6着と善戦しています。

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そして、2011年:東日本大震災の年であり、ヴィクトワールピサがドバイワールドCを制した年の「帝王賞」は、ダート競馬史に残る同期の2頭が充実の6歳で対戦。結果は、スマートファルコンがエスポワールシチーを1.8秒差突き放しての完勝としました。
これが平成における交流G1/Jpn1での古馬の最大着差として燦然と輝いていた記録でした。

10馬身差:日本ダービー5着のSS産駒の圧勝劇

  • 2002年・ダービーGP ゴールドアリュール

21世紀での3歳戦における交流G1最大着差は、2002年のダービーグランプリ。上に登場したジャパンダートダービーでは1.3秒差の7馬身をつけて勝ったサンデーサイレンス産駒は、秋にさらなる充実をみせます。スターキングマンやクーリンガーといったダート路線の馬を相手に、1.6秒差(10馬身差)をつける大勝でG1連勝を成し遂げます。

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日本ダービー5着馬がG1を連勝したということで評価は分かれたと記憶していますが、サンデーサイレンス系では稀有なダート種牡馬として産駒や孫世代が活躍していることを見れば、その実力を遺憾なく発揮した結果の着差だったという風にも捉えられそうです。

大差勝ち:レモンポップを上回る2.1秒差は?

ウシュバテソーロがヴィクトワールピサ以来、ミックファイアがオリオンザサンクス以来など、平成の歴史的な偉業に令和で並ぶというダート路線の快挙が続く2023年。往年の名馬の名前をみかける記事も多くありました。その着差に驚かされたのが【レモンポップ】が秋の復帰戦として選んだ南部杯でしょう。

  • 2023年・南部杯マイルCS  レモンポップ(2.0秒差)
  • 2000年・ダービーGP レギュラーメンバー(2.1秒差)

初の海外、初の1200m戦で10着と大敗したレモンポップでしたが、ファブラリーSも制した同馬の強さは、1.5倍という単勝オッズが美味しく見えてしまうほど。実に2.0秒差は21世紀の交流G1/Jpn1での最大着差となりました。

しかし、これを上回ったとして令和に再度注目されたのが「レギュラーメンバー」です。端午Sを勝った後は人気に応えられないレースが続いた中、4番人気で挑んだダービーグランプリは圧巻の2.1秒差

アグネスデジタルこそ不在だったとはいえ、ミツアキサイレンスやマイネルブライアンらが出走した同レースで大差勝ちを収めたことは大きなインパクトをもって語り継がれています……いやレモンポップの2.0秒を上回る着差として令和に再評価されたと言っても良いかも知れません。

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