お天気歳時記 ~初めて最高気温20℃を超えた日~

【はじめに】
この記事では、春を迎えて最初に「最高気温20℃」を上回った日について、気象庁の観測データなどを見ながら、俳句の春の季語とも関連付けてお話ししていきたいと思います。

1.「最高気温20℃」は“春”本番の兆し

《 お天気歳時記 》
俳句歳時記には、何千もの季語が載っていて、「時候」や「天文」の季語は“お天気”の分野と密接に関わってくるものが多くあります。その一方で、その解説や概念のほとんどは近代で止まっていることが多く、現代のデータと齟齬が生じているものも中には含まれています。

今回も、実際の気象データなどと俳句歳時記/季語を比較して理解を深めていきましょう!

日本列島も長いので一概には言えない(特に北日本や南西諸島の体感は大きく異なると想定)かも知れませんが、春シーズンに「最高気温20℃」に達すると、『寒さ』を完全に忘れ、「春本番」と感じる方も多いのではないでしょうか?

皆さんの地域ではいつ頃、「最高気温20℃」を迎えるでしょうか? 流石に全国津々浦々を作ることは出来ないので(苦笑) 全国を代表して首都「東京」を簡単にですが調べてみました。それがこちら↓

「東京」の気象データ:2・3月でほぼ半々

年次日付最高
気温



20112/2520.8℃
20124/0520.8℃
20132/0220.9℃
20143/1820.3℃
20153/1721.2℃
20162/1321.8℃
20172/1720.6℃
20183/0120.3℃
20193/2021.5℃
20203/1121.1℃
20212/2120.9℃
20223/1221.8℃
出典:気象庁|過去の気象データ検索

2010年代以降をピックアップしてみました。年別に「初めて最高気温20℃を上回った日」とその日の最高気温、また月別に丸表示も加えてみました。この表からの第一印象はこんな感じですかね。

  • 2月2日(2013年)は「立春」より前に20℃を超えた
    (1月中に20℃を超えた例はここ半世紀なく、最速クラス)
  • 3月まで「20℃超え」のない“寒い春”の直近は2012年
    (昭和から比べると、その頻度は下がりつつある印象)
  • 2010年代以降は「2・3月」がほぼ半々。何月とは言い辛い
    (俳句歳時記を考える上で一番悩ましいところww)

皆さんの地域で調べてみたければ、表の出典に書いています「気象庁」の検索ページなどからどうぞ!

ちなみに、俳都・松山(愛媛県松山市)では、2月に20℃を上回ることは東京よりもかなり少なくて、多くが3月中という結果になりました。細かくみると地域差があるかも知れませんね~

2.意外と手薄(?) な仲春の体感の季語

俳句歳時記では春を3つに分け、啓蟄(3月上旬)からの約1ヶ月を「仲春」とすることがあります。上の表をはじめとする気象データによれば、「最高気温20℃」の日は初春から仲春にあたる時期かと思います。

ではこの頃の体感を表す季語にどんなものがあるのか、手元の歳時記を数冊調べてみたのですが……なんかピンと来るものが正直ありませんでした。具体的に見ていきましょう。

《 初春 》
・早春、春浅し      …… (×)寒い印象
・春めく、春動く、春兆す …… (△)まずまず

《 仲春 》
・春半ば
 (△)仲春の傍題であり使い方が違うが体感とは近い

《 晩春 》
・春深し、春闌、春深む
・春惜しむ、夏近し、春暑し
 (△)4月頃の季語なので時期が合わない。
    その上、20℃としてはやや大げさな表現か。

《 三春 》
・春昼
 (△)『角川俳句大歳時記』には“晩春の気分が強い”
・暖か、ぬくし、春暖
 (△)『角川俳句大歳時記』には“およそ15度ぐらい”
うららか、長閑(のどか)
 (◯)季節は限定していないが、一番体感に近い印象

消去法的にあげるとしたら、三春の季語で「うららか」「長閑」といった範疇なのかなと思いました。また、発想を変えて、体感の要素は薄いですが、「天文」の季語でいうと、「春の日」や「春日」とか「春日和」などが近いのかなと思いました。

いずれにしても、「春の序盤でまだ寒い」季語や「春の終盤で夏みたい」という季語は時候にバリエーション豊かに掲載されているのですが、「春の真ん中の春本番」を指す季語は時候には案外少なくて、なんとなく「手薄」な印象を受けましたね。

ちなみに、気象庁の定義では、

  • 最高気温35℃以上 : 猛暑日
  • 最高気温30℃以上 : 真夏日
  • 最高気温25℃以上 : 夏 日

となっていますが、この1つ下にあたる「最高気温20℃以上」の日を私が敢えて定義すれば、春日はるびかも知れません。すっかり春めいて、もこもこした服を着なくても薄手の長袖(あるいは羽織って調節できる上着)があれば十分。日中はのどかで麗かで穏やかな一日を過ごせる感じは、ポジティブな意味での「春の代表的な一日」だと思うからです。

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ではこの記事の最後に、今回取り上げた季語を使った俳句を幾つかご紹介しましょう。最後までお付き合い頂きありがとうございました。

・麗らかや大地も空も吾のもの/川崎俊子
長閑のどかにもあしたの見ゆれ万華鏡/千代田葛彦

(参考)『角川俳句大歳時記』

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