競馬歳時記【9月2週】「紫苑S」

【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返りながら季節の移ろいを感じる「競馬歳時記」。今回は「紫苑ステークス」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。

紫苑ステークス(しおんステークス)は、日本中央競馬会(JRA)が中山競馬場で施行する中央競馬重賞競走GIII)である。

競走名の「紫苑」は日本・朝鮮・中国・シベリアなどに分布するキク科の多年草。秋には茎頂が分枝し、淡紫色の頭花をつける。花言葉は「思い出」「追憶」。

紫苑ステークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』( 以下省略 )

2000年代:創設2年目でオークス馬が秋緒戦

2000年に入って、「菊花賞」が1ヶ月程度、「秋華賞」も若干開催が早まった関係で、秋のトライアル路線も大幅に見直されました。重賞での正式なトライアルは『ローズS』のみでしたが、オープン特別でのトライアルとして関東(中山)に設けられたのが『紫苑S』でした。

初回(2000年)は、1・2・3着がハナ・ハナ、4着までタイム差なしの大接戦でしたが、勝った【メジロマリー】はレース後に2年半の休養に入ってしまい秋華賞への出走は叶わず。

続いて、2年目にこのレースを制したのは、当年のオークス馬「レディパステル」でした。5番人気で大接戦のオークスを制した同馬が、秋緒戦に選んだのがオープン特別だった『紫苑S』だったのです。(結局、秋華賞は3着で2冠とはなりませんでしたが、トライアルとしての認知度を高めることに繋がったレースでした)

そして、2007年からは距離が1800mから2000mに延長し、その年に勝ったのは【アルコセニョーラ】でした。秋華賞はダイワスカーレットの11着と大敗しますが、その次の「福島記念」を制して重賞初制覇を果たすと、翌年には新潟記念を優勝した後は7歳まで現役を続けました。

2010~20年代:2つ目の重賞トライアルとして昇格

2014年には、紫苑S2着だった【ショウナンパンドラ】が本番・秋華賞で優勝を果たし、初めて紫苑Sから秋華賞の勝ち馬を輩出することに成功。

2016年には重賞路線の充実などを目的に、GIIIへと昇格。2016年を第1回と数えることとなります。

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重賞昇格の年、いきなり秋華賞を輩出しました。紫苑S2着だった【ヴィブロス】です。
紫苑Sを優勝し、秋華賞でも1番人気に支持されていた【ビッシュ】が2桁着順に大敗する中、紫苑Sで不利を受けながらも優先出走権の確保に成功した【ヴィブロス】は、上がり3F33.4秒の豪脚をみせ、500万下条件戦以来の優勝をG1の舞台で果たしました。

さらに第2回(2017年)は、レース史上初めて『紫苑S』の勝ち馬から『秋華賞』馬を輩出しました。世界で活躍することとなる【ディアドラ】です。こちらも条件戦が主な勝鞍という状態で秋競馬を迎え、HTB賞(1000万下)から数えて3連勝で秋華賞を制しています。

その後は秋華賞に直結こそしなかったものの、2018年に【ノームコア】、2021年には【ファインルージュ】がこのレースを勝っており、GIIIながらハイレベルを維持している印象です。

レースR
2016110.50ビッシュ
2017109.50ディアドラ
2018110.75ノームコア
2019111.00パッシングスルー
2020112.25マルターズディオサ
2021110.75ファインルージュ
2022
(※)牝馬限定競走ということで、牡馬と揃えるべく「+4ポンド」の調整済み。実際の値は表より4ポンド減じた値。

上に重賞昇格以降のレースレーティングを掲載しましたが……国際的に「GIIの目安:110ポンド」とされていることに鑑みれば、とてもGIII(目安:105ポンド)の実績値ではないように思いますねww

そもそも日本のGIIIは国際的にみてもハイレートなのですが、その中でも「紫苑S」は、3歳戦・牝馬限定戦の中では最上位クラス、全レース中でもTop5入りするレベルの「スーパーG3」といえます(↑)

平年1800mで行われる『ローズS(GII)』と比べても、距離が同じであることはトライアルとして有意義であり、早い段階でGIIに昇格し、東西でGIIが揃うことを切に願っています。それだけの実績と期待値を兼ね備えた数少ないGIIIであると確信しています。今年は果たして? 注目していきましょう。

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