【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返りながら季節の移ろいを感じる「競馬歳時記」。今回は、「アルテミスS」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。
アルテミスステークスは、日本中央競馬会(JRA)が東京競馬場で施行する中央競馬の重賞競走(GIII)である。
競走名の「アルテミス(Artemis)」は、ギリシャ神話に登場する狩猟と純潔の女神。古代ギリシャでは、豊穣や多産の神として信仰されてきた。
アルテミスステークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2010年代:阪神JFの関東の前哨戦として新設
関東地区における阪神ジュベナイルフィリーズの前哨戦として、2012年に新設された2歳牝馬による重賞競走。
2013年までは格付取得に必要な2年間の競走実績を満たしていなかったため、格付表記は初年度が「新設重賞」、2013年は「重賞」と表記。
2014年に日本グレード格付け管理委員会の承認を受け、GIIIに格付けされた。
( 同上 )
創設当初、レースネーミングを含め少し違和感のあった「アルテミスステークス」ですが、東京競馬場のマイル重賞として、その出世レースぶりが期待かそれ以上に結果を出していくこととなります。
回数 | 施行日 | 優勝馬 | タイム | 補足 |
---|---|---|---|---|
第1回 | 2012年11月3日 | コレクターアイテム | 1:33.8 | 新設重賞 |
第2回 | 2013年11月2日 | マーブルカテドラル | 1:35.2 | 重賞 |
第3回 | 2014年11月1日 | ココロノアイ | 1:34.4 | G3格付け |
第4回 | 2015年10月31日 | デンコウアンジュ | 1:34.1 | |
第5回 | 2016年10月29日 | リスグラシュー | 1:35.5 | |
第6回 | 2017年10月28日 | ラッキーライラック | 1:34.9 | |
第7回 | 2018年10月27日 | シェーングランツ | 1:33.7 | |
第8回 | 2019年10月26日 | リアアメリア | 1:34.3 |
初回の新設重賞から1分33秒台のレコードタイムであると共に、2着に翌年の桜花賞馬【アユサン】を輩出。G3昇格後初回の2014年にはハナ差で1番人気2着だった【レッツゴードンキ】も桜花賞馬となっています。更に2015年は2着の【メジャーエンブレム】が翌年のNHKマイルCを制しています。
勝ち馬からG1馬を輩出したのは、2016年の【リスグラシュー】が最初で、G3になって初の1番人気の優勝でもありました。とはいえ、多くの馬がオープンクラスに戻れないことを考えると、勝ち馬の優秀さとは別に、着順後ろの方との力の差がはっきりとしたレースともいえると思います。
2020年代:白毛馬の史上初の芝重賞勝利
2010年代後半はかなりのハイレベルな勝ち馬が名を連ねています。シェーングランツが少し実績面では劣るかも知れませんが、2016年以降のレースレーティングでみると、押し並べてハイレベルです。
年 | レースR | 勝ち馬 |
---|---|---|
2016年10月29日 | 103.25 | リスグラシュー |
2017年10月28日 | 104.50 | ラッキーライラック |
2018年10月27日 | 105.75 | シェーングランツ |
2019年10月26日 | 104.50 | リアアメリア |
2020年10月31日 | 105.50 | ソダシ |
2021年10月30日 | 106.50 | サークルオブライフ |
2022年10月29日 |
G2の目安どころか、G1の目安すら平均で到達しそうな勢いです。長期的には、牡馬2歳G1のように、東西で牝馬限定G1級を作ることとなったら、間違いなく「アルテミスS」に白羽の矢が立つでしょう。
リスグラシュー、ラッキーライラック、ソダシの3頭だけでG1を2桁(4・4・3勝)しており、ただ早熟な馬だけでなく「古馬になっても活躍する馬」、東京マイルだけでなく「幅広いコース・距離でも活躍する馬」を輩出しており、まさに2歳牝馬屈指の出世レースとなっています。
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