お天気歳時記「雹(ひょう)/氷雨(ひさめ)」

【はじめに】
今日は、お天気歳時記と題して、夏の季語ともなっている天文現象「ひょう氷雨ひさめを取り上げます。

まず「ウィキペディア」を読んでみる

(ひょう)とは、積乱雲から降る直径5mm以上の粒。直径5mm未満の氷粒は(あられ)と呼ぶ。雹が降ることを降雹(こうひょう)、降雹による人体や農作物、建物への被害を雹害と表現する(後述)。


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

気象予報士試験どころか理科の授業でも聞いたことがあるかも知れない雑学として、「雹」と「霰」の違いは、その直径が「5mm以上/未満」によるものです。

現象自体は同じですが、大きさが変わることによって、落下時の威力、そして災害としての被害範囲、あるいは恐怖心というものは大きく違います。その点を踏まえておくと、俳句の鑑賞もすすみますね。

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雹は積乱雲の発生が多い夏季に多いが、地表付近の気温が高いと完全に融解して大粒のになってしまうので、盛夏にあたる8月前後よりも初夏の5 – 6月に起こりやすい。また日本海側では冬季にも季節風の吹き出しに伴って積乱雲が発生するので降雹がある。

日本の防災科学技術研究所によると、雹が形成されて地表まで落ちてくる大気気象地形の条件は解明されておらず、雹害のデータベース化などで研究を進めている。

( 同上 )

俳句歳時記を引くと夏の季語として出てきます。特にウィキペディアにもある通り「初夏」という印象が強い季語でもあります。

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雹が落下するときには、小さいものでもパタパタ、パラパラという音を立てる。大量に降った場合、雨の音と混じるなどして非常に大きな音を出し、周囲の音が聞こえないくらいの騒音となることもある。

( 同上 )

実際に音を聞いたことのある人だけでなく、最近はスマホなどの普及により「降雹の瞬間を動画がおさめられる機会」が増え、音と共に雹の恐怖を体感できるようになりました。俳句(後述の例句)においても、この音に焦点を絞った句も多くあります。

降雹による被害を雹害(ひょうがい)という。小さな雹が大量に降った場合、積雪のように堆積してビニールハウスなどを破損させたり、植物の葉を落としたりする。関東地方長野県などの農業地帯、山間部では雹の通り道として降雹が起きやすいと伝えられる地域があり、東京都あきる野市八王子市境の雹留山(ひょうどめやま)がその一例である。

直径が5cm以上もあるような巨大な雹は落下速度が100km/hを超え、単独でも甚大な被害を出す。自動車ボンネット窓ガラス家屋を破損させたり、農作物に大きな被害を与えたりする。大きな雹が人間や動物に当たると怪我をしたり、頭部に直撃した場合には脳震盪を起こしたりして、の危険性さえある。

( 同上 )

後ほどお見せする例句をみると初夏のいかにも雅な感覚に陥ってしまいますが、実際の「雹害」の恐怖は風流なんて言っていられないほど危機感を覚えるものです。平和を享受できている日本において上空から降ってきて直撃するものとしては最大級に危険な代物かと思います。
この記事を書いた2022年6月に北関東等で起きた雹害でも、上に書かれたような被害がみられました。

観測
日本では、天気を自動で判別する機械が導入され、目視観測を2019年2月から順次終了したことに伴い、「ひょう」の記録を終了した。機械による天気の自動判別では、落下する物体の大きさを判別することは難しいとされるためである。

( 同上 )

以上までの引用部分の多くは、2022年初夏に追記された内容にリニューアルしてあります。ぜひご参考になさってください。

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関連項目

  •  (あられ)
    雲から降る直径5mm未満の氷粒である。5mm以上のものは(ひょう)として区別されるが、違いは大きさだけである。落着時に、跳ねる。
  •  (みぞれ)
    雨と雪が混ざって降る気象現象である。
  • 氷雨(ひさめ)
    空から降ってくる氷の粒のこと。あるいは、冬季に降る冷たい雨のこと。気象学で定義された用語ではない。気象学では、氷の粒の直径が5mm以上のものを雹(ひょう)、5mm未満のものを霰(あられ)と呼ぶ。なお、俳句においては氷雨は夏の季語である。
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なお、字面からして「氷雨」は寒い季節の言葉のように感じられますが、古くからの歳時記を引くと、本来は夏の季語で「雹/霰」の別名とされています。昭和終盤の歌謡曲などのイメージから冬の霙などを雅に言おうとして作った例句もありますが、古くは誤用として厳格に区別されていたことを抑えると共に、あまり積極的に「雹/霰」でない意味で氷雨を使うのは避けるべきかなと個人的には思います。

俳句歳時記にみる「雹/氷雨」の名句

ここから、歳時記に掲載されていた例句から幾つか私が選びましたので一緒に鑑賞していきましょう。

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  • 『雹降りし桑の信濃に入りにけり』/吉岡禅寺洞「ホトトギス雑詠選集」
  • 『王滝村降り隠す雹飛べりけり』/水原秋桜子「残鐘」

王滝村は、1984年に「長野県西部地震」が起き大規模な土砂災害も起きた岐阜県境の村です。ウィキペディアにもあったとおり「長野県(信濃国)」は雹の著名地の一つかと思います。

  • 『魚降りし市の噂や夏の雹』/内藤鳴雪
  • 『村黙す二日続きの雹害に』/吉村ひさ志

2022年も2日連続での雹害が関東平野でみられました。こうして生活に密着した季語でもありますね。

  • 『荷の雹を払ひて発てり登山隊』/望月たかし(馬酔木)

「隊」とすることで単独ではなく複数名であることが想像されます。「雹」という季語が非常に活きた良句だと思うと共に、「雹」の持つ破壊力や恐ろしさを再確認する句だと感じました。皆さんも是非、句の鑑賞や作句にお役立てくださいませ~

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