【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返りながら季節の移ろいを感じる「競馬歳時記」。今回は「チャレンジC」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。
チャレンジカップは、日本中央競馬会 (JRA) が阪神競馬場で施行する中央競馬の重賞競走(GIII)である。
チャレンジカップ (中央競馬)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
昭和時代:1950年に創設された歴史ある重賞
1950年に、4歳(現3歳)以上の馬による重賞競走として「チャレンジカップ」の名称で創設。1953年に朝日新聞社からの賞寄贈を受けて「朝日チャレンジカップ(あさひチャレンジカップ)」と改称され、以来長らくこの名称で定着していたが、2014年より朝日杯フューチュリティステークスの施行場が中山競馬場から阪神競馬場へ移されたことに伴い、名称は創設時の「チャレンジカップ」に戻された。
距離は第2回まで芝2400mで行われたが、1952年より2000mに変更。負担重量や開催時期は幾度か変更され、2012年から2016年は芝1800mのハンデ戦で12月に行われているが、2017年より中距離競走体系の整備に伴い芝2000mに変更されるとともに別定戦となった。
回数 | 施行日 | 競馬場 | 距離 | 優勝馬 | 性齢 |
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第1回 | 1950年11月26日 | 阪神 | 2400m | タカクラヤマ | 牡3 |
第2回 | 1951年10月14日 | 阪神 | 2400m | サチホマレ | 牡3 |
第3回 | 1952年11月3日 | 阪神 | 2000m | ノーベル | 牡3 |
第4回 | 1953年11月1日 | 阪神 | 2000m | ダイニカツフジ | 牡3 |
第5回 | 1954年10月31日 | 阪神 | 2000m | ミスバンブトン | 牝4 |
第6回 | 1955年11月6日 | 阪神 | 2000m | ヤサカ | 牡3 |
第7回 | 1956年10月21日 | 阪神 | 2000m | フアイナルスコア | 牡6 |
第8回 | 1957年12月29日 | 阪神 | 2000m | サールス | 牝5 |
第9回 | 1958年12月28日 | 阪神 | 2000m | エータイム | 牡3 |
第10回 | 1959年12月27日 | 阪神 | 2000m | ミスイエリユウ | 牝4 |
第11回 | 1960年12月25日 | 阪神 | 2000m | シーザー | 牡3 |
第1回は1950年11月26日の開催で、戦後5年目というタイミングでした。当時の関西の競馬では古馬サラブレッドが出走できる最後の重賞という位置づけとなり、1ヶ月前の菊花賞を使った現3歳馬が、2400mという距離で古馬を交えて再戦という舞台になっていました。
第2回からは菊花賞の前に行われ、実質的に「菊花賞」の前哨戦的な位置づけとなったこともあってか現3歳馬が4連勝してスタートしました。
外要因として1953年から「朝日チャレンジカップ」に改名されたほか、距離は第3回に2000mに短縮され、時期は1957~60年の間は年末に移行するなど、試行錯誤が行われました。まだ当時は有馬記念の行われる関東へと遠征という選択肢を選ばない関西の強豪がこの舞台・この距離を選んで出走するという意味で年末開催に意義があったと見られます。
1961年に10月下旬の開催となり、1967年から9~10月上旬開催となると、菊花賞の前哨戦という位置づけも弱まり、関西の一ローカル重賞としての意味合いが強まっていきました。
第31回 | 1980年9月21日 | アグネスレディー | 牝4 |
第32回 | 1981年9月13日 | ラフオンテース | 牝4 |
第33回 | 1982年9月19日 | ヒカリデユール | 牡5 |
第34回 | 1983年9月18日 | ミスラディカル | 牝4 |
第35回 | 1984年9月16日 | ニホンピロウイナー | 牡4 |
第36回 | 1985年9月15日 | ワカオライデン | 牡4 |
第37回 | 1986年9月14日 | ドウカンヤシマ | 牡6 |
第38回 | 1987年9月20日 | プレジデントシチー | 牡4 |
第39回 | 1988年9月18日 | タニノスイセイ | 牡5 |
1980年代に入ると、4年で牝馬が3勝し、1984年にグレード制が導入され「G3」に格付けされた年には、短距離王【ニホンピロウイナー】が皐月賞で散った2000mに再挑戦し60kgを背負って優勝していました。1977年から10年以上、古馬が制しており、関西の秋の古馬戦線の開幕戦といった具合の中距離名物重賞として長らく愛されてきたのです。
平成時代:2012年から半世紀ぶりに12月へ
1990年代に入っても、ヌエボトウショウが1年ぶりの重賞制覇を果たしたり、現3歳のツルマルガールが重賞初制覇を果たしたり、シンザンの孫・マイシンザンがNHK杯以来2年ぶりの重賞優勝を遂げたりと話題に事欠かない舞台となっていましたが、
やはり1996年の【マーベラスサンデー】の連勝は記憶に残っています。5戦4勝(2連勝)でオープン入りを果たすと、エプソムC→札幌記念と重賞を連勝し、迎えた朝日チャレンジCも勝って通算5連勝。翌「京都大賞典」も制して6連勝で秋G1戦線に乗り込んでいきました。
第41回 | 1990年9月16日 | 中京 | 2000m | ファンドリポポ | 牝4 | 2:01.9 |
第42回 | 1991年9月15日 | 中京 | 2000m | ヌエボトウショウ | 牝4 | 1:59.1 |
第43回 | 1992年9月20日 | 阪神 | 2000m | レットイットビー | 牡4 | 2:03.7 |
第44回 | 1993年9月19日 | 阪神 | 2000m | ウィッシュドリーム | 牡4 | 2:04.3 |
第45回 | 1994年9月11日 | 中京 | 2000m | ツルマルガール | 牝3 | 1:58.7 |
第46回 | 1995年9月10日 | 京都 | 2000m | マイシンザン | 牡5 | 1:58.0 |
第47回 | 1996年9月8日 | 阪神 | 2000m | マーベラスサンデー | 牡4 | 1:59.5 |
第48回 | 1997年9月7日 | 阪神 | 2000m | シンカイウン | 牡5 | 1:59.3 |
第49回 | 1998年9月13日 | 阪神 | 2000m | ランフォザドリーム | 牝4 | 2:01.2 |
第50回 | 1999年9月12日 | 阪神 | 2000m | ツルマルツヨシ | 牡4 | 1:59.5 |
2000年代には、タップダンスシチーやスズカマンボ、ドリームジャーニーといったG1級の馬がこのレースを制するなど、秋の中距離路線の開幕を告げる重賞として半世紀近く歴史を積み重ねてきましたが、2012年に変革を遂げます。
1960年以来52年ぶりに12月開催となったのです。更に4年間は1800mに短縮されますが、2017年からは2000mに戻り、現在の形となっています。(↓)
第61回 | 2010年9月11日 | 2000m | キャプテントゥーレ | 牡5 |
第62回 | 2011年9月10日 | 2000m | ミッキードリーム | 牡4 |
第63回 | 2012年12月8日 | 1800m | ショウリュウムーン | 牝5 |
第64回 | 2013年12月7日 | 1800m | アルキメデス | 牡4 |
第65回 | 2014年12月13日 | 1800m | トーセンスターダム | 牡3 |
第66回 | 2015年12月12日 | 1800m | フルーキー | 牡5 |
第67回 | 2016年12月10日 | 1800m | マイネルハニー | 牡3 |
第68回 | 2017年12月2日 | 2000m | サトノクロニクル | 牡3 |
第69回 | 2018年12月1日 | 2000m | エアウィンザー | 牡4 |
そして、2014年に「朝日杯FS」が阪神開催となったことを受けて、「朝日チャレンジC」としての歴史が1953年以来60年以上を経て途切れ、1952年以来となる「チャレンジC」という名称に戻りました。
令和時代:レイパパレを輩出
2021年より、本競走の優勝馬にはサウジアラビアの国際招待競走ネオムターフカップへの優先出走権が与えられることになっている。
第67回 | 2016年12月10日 | 1800m | 107.00 | マイネルハニー | 牡3 |
第68回 | 2017年12月2日 | 2000m | 108.75 | サトノクロニクル | 牡3 |
第69回 | 2018年12月1日 | 2000m | 109.75 | エアウィンザー | 牡4 |
第70回 | 2019年11月30日 | 2000m | 109.00 | ロードマイウェイ | 牡3 |
第71回 | 2020年12月5日 | 2000m | 107.25 | レイパパレ | 牝3 |
第72回 | 2021年12月4日 | 2000m | 109.50 | ソーヴァリアント | 牡3 |
2016年以降のレースレーティングをみると、107~109ポンド台という非常に安定した値を取っています。まさにG3のど真ん中といったレーティングであり、秋G1路線が華やかな中で、その裏開催として独自の魅力をもったレースという印象です。ローカルでなく主要4場で開催されるのも特徴でしょう。
2020年にはデアリングタクトが無敗での牝馬三冠を達成する秋華賞の一つ前のレースである「大原S」を勝った【レイパパレ】が重賞初挑戦で何とか耐え勝った舞台もこのチャレンジCでした。
関西の主要・阪神競馬場で開催される中距離のG3として、3歳馬も勝つようになった12月開催の「チャレンジC」は、まさに古馬に挑む3歳馬にとって『チャレンジ』の舞台です。次はどんな馬がこの舞台から羽ばたくのでしょうか、今から楽しみです。
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