競馬歳時記【6月2週】「エプソムC」

【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返る「競馬歳時記」。今回は「エプソムC」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。

エプソムカップは、日本中央競馬会 (JRA) が東京競馬場で施行する中央競馬重賞競走GIII)である。

エプソムカップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』( 以下省略 )

概要

寄贈賞を提供するエプソム競馬場(Epsom Race Course)はロンドンから南に約27kmのサリー州エプソムダウンズに位置する競馬場で、1661年に最初のレースが行われた記録が残っている。同競馬場では英国ダービーのほか、英国オークスコロネーションカップといったG1レースが行われる。

(出典)File:Epsom Downs finish line.jpg
From Wikimedia Commons, the free media repository
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Epsom_Downs_finish_line.jpg

1980年代:日本ダービー50回の交流を機に創設

1983年に東京優駿(日本ダービー)が50回を迎えたのを機に、東京競馬場と英国ダービーを開催するエプソム競馬場が姉妹競馬場として提携した際に記念植樹(東京競馬場からは桜が、エプソム競馬場からは柏が贈られた)とカップの交換を行い、1984年から東京競馬場で「エプソムカップ」を、エプソム競馬場では「The JRA Condition Stakes」が行われるようになり、両競馬場およびJRAと英国ジョッキークラブの親善が図られている。

施行場・距離は創設時より東京競馬場の芝1800mで定着。

エプソムカップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日本ダービーの直後に行われる「エプソムC」は、安田記念と宝塚記念のちょうど中間といった具合のタイミングで行われ、GIには手が届かない下級重賞クラスの馬たちが名を連ねる立地は変わりません。

初回(1984年)は、日本ダービー馬・サクラショウリの弟であったサクラシンボリが唯一の重賞制覇。第2回は、シンボリルドルフとクラシックを戦った【スズマッハ】が条件戦以来1年半ぶりの3勝目を挙げ、第4回は、牝馬【ダイナフェアリー】が京成杯となる牡馬混合重賞戦での勝利を収め、秋にかけて5戦連続重賞連対を果たしています。

しかし見方を変えれば、本レースを最後に重賞を勝てていない馬が多いように、レースのレベルとしては決して高いとはいえず、GIII相当といった存在感が初回から定着していました。

1990年代:後のGI馬2頭が重賞初勝利

1990年代に入ると1500万下条件戦を勝ったばかりの馬が「エプソムC」で重賞初勝利を果たし、秋以降にGIを制する馬が2頭現れます。1991年の【プレクラスニー】と1996年の【マーベラスサンデー】。

【プレクラスニー】は、晩春S(東京・1500万下条件戦)→ エプソムC → 毎日王冠と、東京競馬場で条件戦から3連勝を決め、1991年の「天皇賞(秋)」は2位入線 → メジロマックイーンの18着降着により繰り上がりで天皇賞馬に輝きました。

そして、1996年の【マーベラスサンデー】も、1500万下条件戦を勝った後に、「エプソムC」で初重賞制覇。そして、翌年の「宝塚記念」では“悲願の初GI制覇”と果たせる程の一流馬となりました。

マーベラスサンデー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2000年代:2頭が連覇、宝塚記念馬も輩出

1999~2000年の【アメリカンボス】と、2003~04年の【マイネルアムンゼン】は、エプソムCを連覇しています。連覇は歴史上2頭しかいません。

そして、2007年には【エイシンデピュティ】がこのレースを3連勝で初重賞制覇。翌年には宝塚記念を制しており、マーベラスサンデー以来の宝塚記念ホース輩出を果たしています。

2010年代:世界1位レーティングのあの馬が初重賞制覇

2010年代に入ると4歳馬が8勝(5歳馬が2勝)を果たすなど、期待の素質馬が(久々を含め)待望の重賞制覇を果たす機会が増えます。

2010年の【セイウンワンダー】は朝日杯以来1年半ぶり、2011年の【ダークシャドウ】は1000万下を勝ったのと同じ東京競馬場で初重賞制覇。勝ち→負けがヌケヌケ(○●○●)になっていた2012年の【トーセンレーヴ】が唯一の重賞制覇を果たしたのもこのエプソムCでした。

中長距離重賞路線を戦い続ける馬が勝ち馬に名を連ねる「エプソムC」ですが、2015・16年にかけてはGI級の馬がこの舞台で大きな重賞制覇を果たしています。

エイシンヒカリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2010年代を代表するネタ馬(戦績的な意味で)……な【エイシンヒカリ】は、5連勝でアイルランドTを制した際のパフォーマンスで大きく注目されましたが、6連勝を目指したチャレンジCは大敗。OP戦を挟んで迎えた「エプソムC」で7戦6勝での重賞初制覇を果たしました。

秋には毎日王冠を制するも天皇賞(秋)では9着と敗戦。しかしそこから、香港C → イスパーン賞圧勝という衝撃的な結果を残すも人気を集めた3戦では大敗しています。こうしてみると、注目の4歳馬が初重賞制覇を果たすことが多い舞台だということが分かります。

もう1頭は、2016年の牝馬【ルージュバック】。3連勝で「きさらぎ賞」を制すると、オークスで2着とGIに後一歩届かず。約1年半ぶりの重賞制覇となったのがこの「エプソムC」でした。

ルージュバック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

現役成績を振り返ると、重賞4勝が全て牡馬混合戦であり、そのうち3勝が牝馬ながら1番人気に支持されてのものだったことが強さの証かと思います。

レースR勝ち馬
2016110.25ルージュバック
2017108.00ダッシングブレイズ
2018107.50サトノアーサー
2019110.00レイエンダ
2020108.25ダイワキャグニー
2021107.75ザダル
2022

レースレーティング(年末値)では、2016年が「110.25」、2019年にも「110」を上回っています。国際的には「GIIの目安:110」とされていることから、GIIIではあるものの、「GIIIの目安:105」を大きく上回っていることが数字からも見て取れます。

この舞台で初重賞制覇を果たす馬、あるいは久々を含めた重賞制覇を果たす馬。いずれにしても秋以降の飛躍、ひいてはグランプリなどのGI馬となることを期待できるレースです。本場イギリスのダービーを開催する「エプソム」の名を冠したレースに、日本ダービー後の余韻と共に楽しんで参りましょう。

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