旧震度「洲本」(洲本市小路谷 → 洲本市物部)

【はじめに】
この記事では、気象官署「洲本(洲本市小路谷:洲本特別地域気象観測所)」→ 洲本市立青雲中学校で観測された過去の強烈な揺れをまとめていきます。

気象官署「洲本」について

兵庫県淡路島には、1995年の「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)」以降、多くの震度観測点が設置されました。その中で、1919年から約100年間にわたって観測し続けていたのが、気象官署「洲本」の観測点です。(↓ 淡路島内の気象庁震度観測点一覧表の抜粋です)

兵庫県
淡路島
洲本市小路谷洲本市小路谷1272-2
(洲本特別地域気象観測所)
191901201711161200
兵庫県
淡路島
洲本市物部洲本市物部3-10-1
(洲本市立青雲中学校)
201711161200
兵庫県
淡路島
南あわじ市福良(旧)南あわじ市福良甲512199604011200201502251200
兵庫県
淡路島
南あわじ市福良南あわじ市福良乙1205
(南あわじ市立福良小学校)
201502251200
兵庫県
淡路島
淡路市中田淡路市中田1402ー1
(伊勢の森神社)
199703171400201403191200
兵庫県
淡路島
淡路市富島(旧)淡路市富島401199501191200201808091200
兵庫県
淡路島
淡路市長澤淡路市長澤727
(旧生穂第二小学校)
201403191200
兵庫県
淡路島
淡路市富島淡路市富島25-28
(淡路市北淡事務所)
201808091200
兵庫県
淡路島
淡路町岩屋(旧)津名郡淡路町岩屋1000199503300900199901071000
兵庫県
淡路島
津名郡一宮町郡家2津名郡一宮町郡家170-1199502171700199810151200
兵庫県
淡路島
兵庫東浦町久留麻(旧)津名郡東浦町久留麻239-1199503300900200412061200
(出典)気象庁 ホーム > 各種データ・資料 > 強震観測データ > 気象庁震度観測点一覧表 より

2017年11月16日をもって約99年の観測の歴史に幕を閉じ、気象庁としては青雲中学校内の「物部」の地点を実質的な後継としているようなので、今回は両者を原則区別せず語っていきます。

created by Rinker
¥11,000 (2024/10/06 13:49:57時点 楽天市場調べ-詳細)

「兵庫県南部地震」における気象官署としては、本州の『神戸』と、淡路島の『洲本』で、最大震度6(烈震)を観測しました。洲本市は淡路島の中部を斜めに貫くような形をしていて、淡路島北部から阪神地区にかけて断層が動いた阪神・淡路大震災の震源域からは少し離れています。

出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons) > File:Sumoto in Hyogo Prefecture Ja.svg

しかし、『洲本』に限らず、淡路島内で広く被害が出ました。当時の速報として出せる最大の震度6を(発表には2時間弱を要しましたが)早い段階で発表したことを覚えていらっしゃる方もいるかも知れません。では、他に『洲本』ではどんな強烈な揺れを観測してきたのか、一緒に見ていきましょう。

震度5弱以上:約100年で4回

気象庁の「震度データベース検索」で、『洲本』で震度5(弱)以上を観測した事例を調べてみました。こちらです。(↓)

地震の発生日時震央地名深さ最大震度「洲本」
1927/03/07 18:27:39.2京都府北部18 km7.3震度6震度5
1946/12/21 04:19:04.1和歌山県南方沖24 km8.0震度5震度5
1995/01/17 05:46:51.8大阪湾16 km7.3震度7震度6
2013/04/13 05:33:17.7淡路島付近15 km6.3震度6弱震度5弱
(出典)気象庁 > 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1919/01/01 00:00 ~ 2019/04/30 23:59
・観測された震度 : 洲本市小路谷 もしくは 洲本市物部 で 震度5弱以上 を観測
・検索結果地震数 : 4 地震 (「地震の発生日時の古い順」で検索)

震度6(烈震):1回【兵庫県南部地震】

「震度6(烈震)」を観測したのは1995年の「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)」のみです。当時の観測網は今に比べて密でなく、淡路島を代表するような観測点として『洲本』が存在していました。

(出典)気象庁 > 震度データベース検索 > 阪神・淡路大震災 より

計測震度の正式導入は1996年4月以降であり、当時の計測震度は速報のための試験導入段階で、計測された震度が状況と合わない、又は震度計が故障した場合は職員が震度を判定して修正した。例:洲本。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 > 兵庫県南部地震 > 注釈4.

当時の強震観測データは気象庁ホームページには見当たりませんでしたが、後述の2013年の「淡路島」を震源とする地震よりも強い揺れだったとしても全く驚きません。内陸直下型と言われることの多い「兵庫県南部地震」の大規模なエネルギーは、『洲本』の観測歴100年あまりで唯一の「烈震」をもたらしたのです。

震度5(強震):3回【昭和に2回、直近は2013年】

震度5は、全部で3回(うち2013年の事例は現在の震度階級で「震度5弱」)です。まず昭和時代にあった2例については、どちらも近畿地方とはいえ離れたところで起きた大地震による揺れです。

  • 1927/03/07「北丹後地震」 (Mj7.3)
  • 1946/12/21「昭和南海地震」(Mj8.0)
(出典)気象庁 > 震度データベース検索 > 北丹後地震 より

1例目は、京都府北部を震源とする「北丹後地震」で、家屋被害からすると震度7相当(当時の階級で豊岡・宮津で震度6を観測)でした。また、もう1例の「昭和南海地震」は、気象官署での最大震度は「5(強震)」でしたが、極めて広域で観測されており、その1地点が「洲本」でした。

(出典)気象庁 > 震度データベース検索 > 昭和南海地震 より

逆に言えば、前述の「兵庫県南部地震」まで、昭和時代は直下型の強い地震には見舞われてこなかったとも言えます。しかし、淡路島内(直下)で起きたのが、2013年の最大震度6弱の地震です。

2013年4月13日、15km、最大震度6弱、洲本:震度5弱

平成後半にもなると観測網の密っぷりに驚かされますが、淡路島内に複数ある観測点のうち「2地点」で最大震度「6弱」を観測しました。(公式には島内18年ぶりの震度6クラスとなった訳ですね。)

(出典)気象庁 > 震度データベース検索 より(https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#20130413053317

震度6弱を観測したのは、どちらも「淡路市」内の観測点であり、震度5強も淡路市と南あわじ市内の観測点。洲本市内の2地点はどちらも震度5弱でした。深さ15kmの浅い地震であったとしても、地盤や揺れ方によって震度階級が2階級ぐらい違ってくることが上の図からも明らかです。

(出典)気象庁 ホーム > 各種データ・資料 > 強震観測データ > 強震波形(淡路島付近の地震) より

気象庁による観測点の中では、計測震度が最も大きく「4.8(最大加速度3成分合成:254.6gal)」という数値も示されています。何より、淡路・洲本市内では建物被害が目立ちました。

震度4:約100年で13回(5弱以上含めると17回)

参考までに、震度4に限って表にしてみるとこんな感じです。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度「洲本」
1923/09/01 11:58:31.6神奈川県西部23 km7.9震度6震度4
1925/05/23 11:09:47.6兵庫県北部0 km6.8震度6震度4
1929/11/20 14:54:29.9和歌山県北部3 km5.8震度4震度4
1938/01/12 00:11:59.6和歌山県南方沖47 km6.8震度5震度4
1940/05/28 23:23:24.9徳島県南部39 km5.7震度4震度4
1943/09/10 17:36:53.5鳥取県東部0 km7.2震度6震度4
1944/12/07 13:35:40.0三重県南東沖40 km7.9震度6震度4
1948/04/18 01:11:30.6和歌山県南方沖24 km7.0震度4震度4
1948/06/15 20:44:43.8紀伊水道0 km6.7震度4震度4
1952/07/18 01:09:51.4奈良県61 km6.7震度4震度4
1962/01/04 13:35:41.3和歌山県南方沖45 km6.4震度4震度4
1995/02/18 21:37:33.8淡路島付近16 km5.0震度4震度4
2018/06/18 07:58:34.1大阪府北部13 km6.1震度6弱震度4
(出典)気象庁 > 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1919/01/01 00:00 ~ 2019/04/30 23:59
・観測された震度 : 洲本市小路谷 もしくは 洲本市物部 で 震度4 を観測

1923年の「関東大震災」を皮切りに、1952年までの約30年間で10回の「震度4(中震)」を観測しています。この時期はかなり大きなイベントが西日本中心に発生していた事が、これからも分かります。

一方、ここ1962年からの約60年間では、上述の震度6:1回、震度5弱:1回を含めても、4回だけと観測する頻度が大幅に低下していることが見て取れます。事実、2013年の淡路島の地震が18年ぶりの震度5弱以上でしたし、「震度4」も2013→2018年で約5年間発生していませんでした。

ただ他の記事でも言っているとおり、これらは過去のデータでしかなく、今後もこの傾向が続くという保証はどこにもありません。

事実、2013年の地震までは、「淡路島中南部」を震源とする地震で震度4以上を記録したことが(1919年以降に限れば)ありませんでしたが、最大震度6弱を観測する地震が起きています。

明治・大正時代に淡路島周辺で地震活動が活発だった記録が残っているように、必ずしも、手元にまとまっているデータが全てを表しているとも限りません。そこの点を良く理解した上で、備えをよろしくお願いします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました