「東京都多摩東部」で起きた地震をまとめてみた

【はじめに】
今回は、「東京都多摩東部」を震源(震央)として起きた地震をまとめていきます。下に示した2021年12月29日公開の「note」の更新版となりますので、前回版は下のリンクからお確かめください。

「震央:東京都多摩東部」は年に1回から数回程度

細かい部分を置いといて、まずは気象庁の「震度データベース検索」で、『震央:東京都多摩東部』のマグニチュードが特定されている有感地震に限ってプロットしてみました。下の地図になります。

気象庁 震度データベース検索 >
・地震の発生日時 : 1919/01/01 00:00 ~ 2022/05/01 23:59
・地震の規模 : M 0.1 以上、M 9.9 以下
・震央地名 : 東京都多摩東部

殆どがオレンジ(深さ20km台)から翠(深さ100km台)に分布しています。一部ある焦げ茶色は深さが0km(特定できなかったもの)表示となっていますので、ごく浅い地震はあまり無い様に見えます。

そして、規模の大小こそあれ、色んなところで地震が発生していて、特定の場所にはあまり集中していないことも分かります。地震が起きていない市町村を探す方が難しいのではないかという感じですね。

ちなみに、震度計が沢山設置されるようになった2000年代以降で見ると、2000年代が10年間で11回、2010年代は10年間で16回。いずれも最大震度2以下ではありましたが、震度観測網の密度が高まったことで、単純な回数は2桁に達するようになりました。

M4.5以上の地震は2021年までの100年間で7回

それでは、2021年11月に起きた様な「M4.5」以上の地震はどれぐらい起きているのでしょうか。ここ約100年での発生状況を示した図がこちらです。気象庁「震度データベース」では全部で7回でした。

気象庁 震度データベース検索 >
・地震の発生日時 : 1919/01/01 00:00 ~ 2022/05/01 23:59
・地震の規模 : M 4.5 以上、M 9.9 以下
・震央地名 : 東京都多摩東部

それでは、過去の7例を軽く振り返っていきましょう。

大正時代:2例

1例目:1923/11/05 48km M6.3 中震

関東大震災の翌々月に起きた地震では、熊谷で「中震(震度4)」を観測しています。ただ、現在でいう東京都下でM6を超える地震となれば、もし現代に発生していれば大混乱に陥ったことでしょう。

https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#19231105054541

2021年10月に起きた千葉県北西部の地震は、これより規模は小さいM5台でしたが、帰宅困難者が多く生じ、生活に大きな支障をきたしたことは記憶に新しいかと思います。

2例目:1924/01/15 39km M4.5 軽震

上の事例の翌年にも、東京・横浜で震度2を観測する地震が起きています。この日の午前5時50分に、神奈川県西部を震源とする内陸大地震である「丹沢地震」(最大震度6、M7.3)が起きまして、下に示した地震はその約30分後(午前6時19分)に発生したものです。

https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#19240115061937

昭和時代:4回

3例目:1931/06/17 57km M6.3 強震

近畿地方から北日本まで有感となった1931年の地震は、1923年と並びM6.3という規模。1923年のものよりも遥かに揺れが大きく、東京では「強震(震度5)」、北西から南東方向に「中震(震度4)」を観測しました

https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#19310617210940

4例目:1931/06/30 61km M5.0 弱震

その半月後には、M5.0の中規模地震が起きています。一見すると震度分布は最大震度3ですけど、このクラスでも現代の東京は混乱に陥ることでしょう。

https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#19310630010846

5例目:1956/12/19 103km M5.2 弱震

過去に比べて西側を震源としており、八王子市のあたりが震央です。関東の内側で震度3、関東地方の周辺を含めて震度2に達しました。

https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#19561219061300

6例目:1981/11/25 140km M4.5 軽震

昭和、そして20世紀最後の事例は、深さ140kmというやや深い地震。体感の時代ではありますが、都心周辺では震度1に達さず、周辺(銚子や宇都宮で震度2など)に揺れが届いているのが特徴的な分布。

https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#19811125235345

平成時代:0回

1981年の地震を最後に、約40年間、M4.5以上の地震が「東京都多摩東部」では発生していませんでした。久々に起きたのが、下に示す2021年11月の事例でした。

令和時代:1回

7例目:2021/11/20 99km M4.6 震度3

そして平成以降で初めてとなるM4.5以上の地震は、2021年11月に発生。やや深めな「深さ99km」。過去の事例と同じく、震源に近い東京や横浜(気象官署では震度2)よりも、気象官署「熊谷」などで震度が大きくなりがち(震度3)な傾向が認められました。

https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#20211120085723

(8例目:2022/05/03 約130km M4.6 震度3)

速報値段階なので今回の例に該当するかは、暫定値を待ちたいと思いますが、前年と同様、規模はM4.6であり、震央より北側で震度3の地点が目立ちました。気象官署でいえば、今回は「宇都宮」が震度3となり、東京・横浜や熊谷などの南関東では震度2以下という分布となっています。

また、北限が宮城県南部であり、長野県や静岡県東部でも一部有感となっていることからも、震源の深さはやや今回の方が深いかも知れませんが、ほぼ同じ分布とみて良いかと思います。

きっとおそらく皆さん、去年にもほぼ同じ地震があったことなんてすっかり忘れて、SNSを騒がせている頃かと思いますが、しっかりと冷静に情報を見極めてゴールデンウィークをお過ごし頂ければと思います。

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