震源「福島県沖」の大地震

【はじめに】
この記事では、「福島県沖」を震源とする大地震(マグニチュード7以上)をまとめていきます。

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「福島県沖」の海域について

さて、今回取り上げる「福島県沖」について基本情報から抑えていきましょう。皆さん、気象庁の地震情報などで「福島県沖」っていう震源が表示されるのを時折見かけると思います。では、どのぐらいの範囲を「福島県沖」って定めているかご存知ですか?

え? 「茨城県沖」とか「宮城県沖」があるみたいに、福島県の近くの海を指すんじゃないの?

と思った方、半分正解で半分不正解というか注意が必要な点があります。早速みていきましょう。

(出典)ホーム > 知識・解説 > 地震情報について > 地震情報で用いる震央地名(日本全体図) 一部分を加工し引用

こちらは、気象庁ホームページで公開されている「地震情報で用いる震央地名(日本全体図)」の一部を加工したものになります。中央部にあるのが今回話題にしている「福島県沖」の領域です。

確かに、福島県の東の海域を示しているのですが……なんか妙に細長くないですか? 「岩手県」や「宮城県」といった東北地方や、「茨城県」、「千葉県(東方)」といった海域に比べて、一つ沖合の方まで領域が横長になっている印象を受けます。実はこれ「プレート境界」と呼ばれるような遥か沖合の向こう側まで区別せず一つの領域として定められているのです。

確かにまあ「三陸(青森・岩手・宮城)」ではないですし、「関東」にも属していない福島県なので、上下の領域に加えることはネーミング的に難しいのかも知れません。しかし、他に比べて妙に細長いという点は、ややマニアックですが「不釣り合いな点」として頭の片隅に置いておいて下さい。

この注意点を抑えた上で、「福島県沖を震源とする大地震」を見ていくことにしましょう。

「福島県沖」を震源とするM7以上の大地震は計8回

まずは、気象庁の「震度データベース」で、「福島県沖」+「M7以上」を検索してみました。こちら。

(出典)気象庁 > 震度データベース検索 より検索結果画面

一番右の地震(2013年の事例)だけがプレート境界の東側で起きていますが、その他は全て「福島県」の陸地に近い部分で発生しています。直線距離でいえば、宮城県(牡鹿半島)などにも近い印象です。

ちなみに、「震源:福島県沖」で検索をしているためこのような結果になりますが、例えば、2011年の超巨大地震(東北地方太平洋沖地震)は、ご存知のとおり複数の県の沖合にまたがる広大な範囲を震源域としています。
複数の巨大地震が連動して発生して超巨大地震となった過程の中で、「福島県沖」全域を震源とするような地震活動も含まれていたかとは思いますが、今回は「気象庁・震度データベース」に基づくため、一旦除外して話しを進めさせていただきます。

上の地図の一覧に戻ると、時代ごとに固まっていますので、ここから時期で分けて解説していきます。

【昭和時代】2日間でM7.3以上が3連発

昭和時代の活動として最も特筆すべきものは、1938年(昭和13年)11月5~6日に3度発生をした「福島県沖地震」でしょう。「塩屋崎沖地震」という別名もある大きな群発地震です。

1938年11月5~6日:福島県東方沖地震

概要 [編集]
1938年11月5日17時43分にMj 7.5の地震が発生し、宮城県、福島県、茨城県で震度5を観測したほか、この地震により津波が発生し、宮城県花淵で113cm・鮎川で104cm・福島県小名浜で107cm等が観測された。その後11月5日19時50分にMj 7.3、11月6日にMj 7.4と、正断層型・逆断層型を取り混ぜて規模の大きな地震が連続して発生し、地震調査研究推進本部はこれらの地震を繰り返し発生する福島県沖地震として扱っている。

その後、群発地震活動となりM5からM6クラスの地震が多発した。一連の地震活動では11月中に有感地震を300回、12月に23回観測し、11月30日までに津波を7回観測している。これらの津波の波源域は重なりながらも徐々に南から北へ移動し、その全長は200kmにも及んだ。

被害
一連の地震で福島県で死者1名・負傷者9名。また、福島県で建物の全壊20棟・半壊71棟・崖崩れ4カ所などの被害があった。

日本語版ウィキペディア > 福島県東方沖地震

簡潔に書かれていますが、書かれている内容は極めて深刻です。いわば、2021・2022年に発生したような地震が2日のうちに3度発生し、更にその後、中規模地震が頻発したということなのです。

2021・2022年の地震では、津波の高さは数十センチ程度ですし、M5~6クラスの地震は数える程度で群発化まではしていません。津波を観測したのも1回ずつのみです。遥かにイベントとしてはこちらの方が深刻だったと言えるでしょう。

発生日時深さMjMw
1938/11/5 17:4343km7.57.8
1938/11/5 19:5030km7.37.7
1938/11/6 17:5310km7.47.7

それぞれの地震がM7中盤以上のかなり大きな地震ですし、深さも震源・波源域も微妙に異なるという点で、仮に現代に再現するか分かりませんが、こういった深刻な地震活動が起きたことがある領域だということを皆さんにも覚えておいて頂きたいです。

(参考)1987年2~4月:福島県沖地震#1987年

1987年2月6日21時23分にMw6.1、
同日22時16分にM6.7 (Mw6.5)、
4月7日9時40分にM6.6 (Mw6.6)、
4月23日5時13分にM6.5 (Mw6.6)
の地震がそれぞれ発生している。

日本語版ウィキペディア > 福島県沖地震#1987年

2ヶ月で2度ずつ、大きめな中規模地震が起きています。こういった活発な活動が昔から記録されてきた地域だということを認識するべきだという風に改めて感じますね。

【平成時代】震災後に津波を伴う大地震が3度

前述の通り、「東北地方太平洋沖地震」の震源域にあたる福島県沖の領域では、地震活動が極めて活発になりました。そうした中で、2010年代に入って3度、「福島県沖」を震源とする大地震が発生しています。3度とも犠牲者は出なかったものの、津波が発生しています。

2013年:56km、M7.1、最大震度4、津波:最大36cm

上の地図でいえば、日本海溝の東側(右)で起きた大地震です。正断層型のアウターライズ地震だったそうで、陸地から遠かったため最大震度4でしたが、東北地方で30cm前後の津波が観測されました。

2014年:33km、M7.0、最大震度4、津波:最大17cm

こちらも東北各県で10cm前後の津波(津波予報級)を観測した2014年の地震は、東北・関東の4県で最大震度4を広く観測しました。

2016年:25km、M7.4、最大震度5弱、津波:最大144cm

そして、2016年11月の地震は、その前の2例よりも、規模・震度・津波すべての面で上回るものでした。東日本大震災後、東北地方の地震で初めて「津波警報」が発表され、1mを超える津波が観測されました。詳細は日本語版ウィキペディアから該当部分を画像引用します。

日本語版ウィキペディア > 福島県沖地震_(2016年)#津波 より

【令和時代】最大震度6強の地震が2年連続発生

そして東日本大震災から10年近く経った令和の時代、2年連続で最大震度6強の大地震が発生します。

2021年:55km、M7.3、最大震度6強、津波:最大20cm

東日本大震災の翌月に宮城県沖で震度6強を観測する大地震がありましたが、福島県沖では(当時)震災後最大級の揺れを伴う地震となり、東北のみならず関東地方でも大きな揺れとなりました。

被害については、犠牲者3名が生じるとともに、家屋被害が甚大で、全壊123棟、半壊1,937棟、一部破損34,239棟に上っています(消防庁)。

(出典)気象庁 > 震度データベース > 2021年2~3月の「福島県沖」の有感地震を検索し画像引用

2022年:57km、M7.4、最大震度6強、津波:最大30cm

その翌年、2021年の地震をも上回って起きたのが2022年3月16日のM7.4の地震です。本震の2分前にM6.1の地震(前震)が発生したことで長い時間揺れが続き、徐々に大きくなる推移を取りました。

計測震度は「6.4」を2地点で数え、震度7に近い激しい揺れが観測されていたことも判明しています。ただし、現時点では、地震による家屋を損壊させる被害は前年のものよりも少なかったと見られます。

(出典)気象庁 > 震度データベース > 2022年3月1~19日の「福島県沖」の有感地震を検索し画像引用

上の地震の余震分布図と比較して頂ければ分かりますが、震源は前年とほぼ同じですが、2021年のものは南西方向、2022年のものは東北方向に分布している傾向が認められます。一部メディアはこれらの地震を「双子地震」と見做しているところもあるようです。

今回のものが「双子」なのかメカニズムは専門でないので分かりませんが、過去の地震をみると大規模な地震が群発的に集中して発生したケースがこの領域では認められていますので、今回の地震が最大だとか最後だと確信せず、今後も地震活動に警戒していただく必要があろうかと思います。

(参考)【旧震度】気象官署の震度で比べる

最後に、私の指標【旧震度】を使って、気象官署で「5(弱)」以上を観測した地震(+東北地方太平洋沖地震)の震度分布をまとめてみました。観測点は、東日本の太平洋側の任意の地点です。

気象
官署
’38①
M7.5
’38②
M7.3
’38③
M7.4
2011
M9.0
2016
M7.4
2021
M7.3
2022
M7.4
八戸
宮古5弱
盛岡5強
大船渡6弱5弱
仙台6弱5強5強
石巻6弱5弱5強
福島5強5強5強
白河5強5弱5弱
小名浜6弱5弱5弱5弱
水戸6弱
柿岡6弱
千葉5強
東京5強
横浜5強

この指標を使うと、2022年の地震と1938年の最初の地震の分布が近いことが分かります。

また細かく2021年と2022年の震度を比較すると、「大船渡」と「石巻」では階級が1つ上回っていることが分かります。故に私は、2021年よりも2022年の方が若干「規模が大きいのではないか」と仮説を立てていました。震度地点を“敢えて”減らすことで「大局的」に捉えることが出来るメリットもあるので、皆さんぜひこの手法を参考にして頂ければ幸いです。

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