お天気歳時記「七夕」 ~太陽暦・月遅れ・太陰暦の「天気と気温」をまとめてみた~

【はじめに】
この記事では、「七夕」の日の天気と気温について、3種類の日付(太陽暦・月遅れ・太陰暦)ごとに2010年以降の各都市の過去データと共に振り返っていきます。

オリジナリティとリアリティを確保するには、やはり想像だけでなく実際のデータに基づく取材というのが欠かせませんし、若い方では特に、現代のカレンダーである太陽暦「7月7日」しか『七夕』ではないと思っている節があるかも知れません。

しかし、「七夕」という千数百年という歴史の中で、今の「七夕」が最も季節的には早く、しかも歴史が浅いことは抑えておく必要があろうかと思います。いわゆる『伝統的七夕』がどういった天候だったのか一緒に学んでいきましょう!

「七夕」についての基本事項

そもそも「七夕」についての解説をしたいと思うのですが、実は先ごろ(2022年11月)、日本語版ウィキペディアに「七夕(日本)」という日本に特化した七夕の解説ページが分割されて新設されましたので、そちらを引用していこうと思います。

七夕(たなばた)は、中国の七夕に端を発する日本のお祭り。織姫と彦星(それぞれこと座の「ベガ」とわし座の「アルタイル」)の出会いを祝う。伝説によると、天の川はこれらの恋人たちを引き離し、彼らは年に一度、太陰太陽暦の7太陰月の7日だけ会うことが許されている。お祝いは7月から8月までのさまざまな日に開催される。

元来、旧暦7月7日の夜のことで、日本ではお盆(旧暦7月15日前後)との関連がある年中行事であったが、明治改暦(日本におけるグレゴリオ暦導入)以降、お盆が新暦月遅れの8月15日前後を主に行われるようになったため関連性が薄れた。

日本の七夕祭りは、新暦7月7日や、その前後の時期に開催されている。

七夕 (日本)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

《 日本では「五節句」の一つとして定着 》
ちなみに、歴史的背景として、元々は中国に始まり、日本では「桃の節句」や「端午の節句」に続く、7月7日の五節句の一つに数えられるものとして庶民にも定着していきました(↓)。

現代でもアジア圏を中心に「七夕」を祝う風習はありますが、中国を始め多くの国では、他の行事と同様に、日用使いの暦が太陽暦になっても「陰暦」で祝う伝統を守っている方が多いです。日本のように陰暦7月7日でない日に催す地域ばかりではないことは抑えておきたいところです。

《 Wikipediaの独自研究な記事を参考に 》
過去に私のnoteで引用記事を書いたことがあるものとして、日本語版ウィキペディアの「独自研究」な『日本の年中行事・記念日の分類』というページを引用します。

独自研究で要出典な感じはあるものの、初学者には非常に明快に説明されている印象があるので、画像引用しておきましょう(↓)。

「七夕」に関する行事は全国各地で行われますが、各地でその日付が地域によってバラバラです。おおよそ7~8月に集中している一方で、そうして季節が分かれたのには、明治の改暦が影響しています。

《 3種類の「七夕」の暦 》
ご存知の方も多いでしょうが、「七夕」の日付については大きく3つに分けられます。すなわち、

種類太陽暦太陰暦通称
新 暦7月7日5~6月
月遅れ8月7日6~7月「月遅れの七夕」
旧 暦大体8月7月7日「伝統的七夕」

の3つです。文字で補足すると、

  1. もともとの「旧暦(=太陽太陰暦)7月7日」を、今では『伝統的七夕』などとして区別するようになった(レトロニム)
  2. 「7月7日」という日付に意味があると見做して、従来の季節感は無視して、「新暦(=太陽暦)7月7日」を七夕とする(今やこれが主流)
  3. 日付は現行の太陽暦ベースなものの、季節も考慮して1ヶ月遅らせた(月遅れ)「新暦8月7日」を七夕とする(「仙台七夕まつり」など)

こういった形で、この3種を区別してここからお話ししていこうと思います。というか、これらを区別せずに日常を過ごしていると、なかなか「七夕」の季節的・気象的な部分をつかめないのではないかと考えたからですが。

新暦7月7日は、まさに梅雨の末期

よく言われることですが、新暦7月7日というのは天体ショーを見るには全くもって不向きです。湿気も多くジメジメとしている上に、仮に晴れていたとしても「晩夏」の熱気が夜まで残るからです。

加えて、これは天気予報などでもよく言われることですが、7月7日といえば、本州の広い範囲で梅雨の真っ只中(どころか梅雨末期の大雨シーズン)です。コンビニなどの商業ベースでは様々な商品やキャンペーンが行われますが、本来の「七夕」とはかけ離れてしまった部分もあるように感じます。

ではここからは、気象庁の「過去の気象データ検索」で、全国各都市の7月7日夜の天気を見ていきます。あくまでもざっくりとしたイメージとして参照いただければと思います。

日付札
幌
仙
台
東
京
名
古
屋
大
阪
広
島
福
岡
鹿
児
島
那
覇
2010
7/07
◎
21
雷
24
●
24
◎
23
○
24
○
27
○
26
○
25
◎
27
2011
7/07
◎
24
◎
23
◎
27
●
24
●
25
薄
25
◎
30
◎
27
●
26
2012
7/07
○
20
●
19
◎
21
○
23
○
23
○
23
○
23
薄
24
○
28
2013
7/07
○
21
○
26
○
26
○
30
○
28
○
27
○
29
○
28
○
29
2014
7/07
◎
20
◎
22
●
24
◎
24
◎
26
◎
23
○
23
○
29
◎
29
2015
7/07
◎
15
薄
22
◎
21
◎
21
◎
23
●
24
◎
24
◎
26
◯
29
2016
7/07
○
17
◎
19
◎
23
○
30
○
28
薄
29
薄
27
●
27
◎
28
2017
7/07
○
24
○
25
○
26
○
28
○
27
◎
25
◎
28
◎
27
○
29
2018
7/07
◎
15
◎
20
薄
26
●
24
●
23
●
24
●
21
◎
25
◎
27
2019
7/07
◎
19
◎
17
●
18
◎
26
◎
26
○
27
◎
23
薄
27
◎
25
2020
7/07
●
21
●
23
●
27
●
25
●
24
●
22
●
22
◎
29
薄
29
2021
7/07
◎
19
●
21
◎
25
●
24
◎
24
●
26
◎
30
○
29
○
28
2022
7/07
○
23
◎
23
○
24
◎
27
○
28
○
29
○
29
薄
28
○
29

21時時点の・・・ 上段:天気(●:雨 、 ◎:曇 、 薄:薄曇 、 ○:快晴 ~ 晴れ)、下段:気温

※日本式天気記号の「晴れ」が出せなかったので、快晴と同じ「○」にしてしまいましたが、実際には雲量がそれなりに多く満天の夜空を楽しめない日も多いことにはご注意ください。

さて表を見ると、2018年の「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」や2020年の「令和2年7月豪雨」のように、大雨特別警報が出されるような豪雨災害に見舞われた年もあります。まさに西日本を中心として梅雨末期の豪雨の真っ只中といった感じの年も近年見られます。

ただ、新暦7月7日というイメージで思うほどには「●:はっきりとした雨天」は多くなく、曇りがちな天候の日が目立ち、晴れ間の覗く日も半数弱にのぼることが全国的な傾向として窺えます。

下段の気温に関しては、東日本までは涼しい日もありますが、西日本では熱帯夜となっている日も多くて、まさに蒸し暑い梅雨の夜といった感じを受けそうなのが「7月7日」だと改めて分かります。

月遅れ8月7日は、現実には夏の盛り

では「梅雨明け」を期待する「月遅れ8月7日」はどうでしょう? 同じく表にしてみました(↓)。

日付札
幌
仙
台
東
京
名
古
屋
大
阪
広
島
福
岡
鹿
児
島
那
覇
2010
8/07
◎
25
○
29
薄
29
○
28
○
28
○
29
○
28
○
28
○
29
2011
8/07
○
24
◎
25
●
27
◎
29
○
29
薄
29
◎
31
◎
28
◎
27
2012
8/07
○
19
◎
24
○
28
○
29
○
28
◎
31
薄
28
薄
28
薄
28
2013
8/07
◎
24
○
26
○
30
○
30
○
31
薄
31
○
31
○
29
薄
30
2014
8/07
●
21
◎
25
◎
28
◎
28
薄
28
○
29
◎
27
◎
28
◎
29
2015
8/07
○
22
◎
25
○
30
薄
29
○
31
○
30
薄
31
○
30
◎
29
2016
8/07
○
26
○
26
○
27
◎
28
○
29
薄
30
◎
31
○
29
◎
27
2017
8/07
○
21
◎
25
◎
27
●
27
●
26
○
29
◎
29
○
29
薄
29
2018
8/07
◎
18
●
19
●
22
○
29
○
27
○
30
○
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◎
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○
29
2019
8/07
○
24
◎
26
○
28
○
29
○
29
○
30
◎
27
○
29
◎
29
2020
8/07
○
19
◎
26
◎
28
◎
26
薄
29
◎
29
薄
30
○
29
○
30
2021
8/07
○
27
○
27
薄
28
○
30
○
30
○
29
○
30
○
27
◎
29
2022
8/07
○
22
◎
25
○
27
○
29
◎
30
○
30
○
31
薄
30
○
29

21時時点の・・・ 上段:天気(●:雨 、 ◎:曇 、 薄:薄曇 、 ○:快晴 ~ 晴れ)、下段:気温

まずもって明らかなのが、1ヶ月前と違って「●:雨」が殆ど見られないことです。ところどころありますが、日本列島全体でみれば局所的なもので、太平洋高気圧に覆われるエリアも広いことから、曇や薄曇のところもありますが、晴れ間が覗くエリアが梅雨時期とは全く違います。

それでも曇りがちな地域も少なくないため、月遅れによるメリットは「雨」が少なくなり、雨天中止という可能性が減る点ぐらいかも知れません。実際に天の川やベガ・アルタイルを鑑賞するには、やはり雲が目立つ夏空ですので、なかなか「月遅れで万事解決」とは行かなそうです。

そして何より気になるのが気温。21時の段階で「真夏日」ラインの30度超えが中部以西は当たり前となっており、都市部ではヒートアイランド現象もあるのかも知れませんが、天体観測には厳しい気温かも知れません。だからこそ山間部へ登山もかねて観測に行くのが喜ばれるのでしょうね。

暦の上ではちょうど「立秋」と重なる月遅れの七夕ですが、やはりこの文脈で言わざるを得ません。「暦の上では秋ですが、真夏の盛り」でしょう。少なくとも「秋の季語」という印象は抱けません。

伝統的七夕(旧暦7月7日)

「月遅れ七夕」が8月7日と新暦で固定されているのに対し、「伝統的七夕」は太陰暦(月の満ち欠け)を軸にしているため、新暦では日付が定まりません。但し、ここ前後十年単位では8月の中を前後するようです。

そして、8月7日頃にある「立秋」より先に来ることもありますが、基本的には「立秋」の後に「伝統的七夕」が来るため、俳句歳時記の分類としては「秋の季語」となるのです。

ここらへんはよく混同をされますが、「旧暦」と呼ばれる太陰暦(月の満ち欠け)と「新暦8月7日頃の『立秋』」の基準となる太陽暦は、元来別の仕組みで成り立っているものなので、混ぜると正確性が欠けてしまうのですが、どうも現代人はそのあたりの鋭敏さがなくなってしまった関係で、間違った解釈をしてしまいかねない点は注意が必要です。

さて、左の「日付」欄も見つつ、同じ形の表を作りました。これが「伝統的七夕」の過去実績です。

日付札
幌
仙
台
東
京
名
古
屋
大
阪
広
島
福
岡
鹿
児
島
那
覇
2010
8/16
○
25
◎
28
薄
32
薄
31
◎
31
○
30
○
30
○
29
○
29
2011
8/06
○
24
○
25
◎
29
薄
29
○
29
○
29
◎
29
●
28
◎
27
2012
8/24
◎
23
◎
26
○
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◎
28
○
29
薄
30
○
29
薄
29
○
29
2013
8/13
薄
23
○
25
薄
29
○
29
○
31
○
32
薄
30
○
29
薄
29
2014
8/02
○
24
○
27
○
32
●
27
●
25
●
25
●
27
◎
28
◎
29
2015
8/20
○
20
◎
23
●
26
◎
27
◎
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◎
25
◎
26
○
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○
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2016
8/09
○
23
○
27
○
32
○
28
○
29
○
30
○
29
◎
30
◎
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2017
8/28
◎
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◎
24
◎
27
◎
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◎
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○
29
○
28
○
28
○
30
2018
8/17
○
15
○
20
○
24
薄
25
○
23
○
25
○
27
薄
28
○
28
2019
8/07
○
24
◎
26
○
28
○
29
○
29
○
30
○
27
○
30
◎
29
2020
8/25
◎
23
○
25
○
27
○
29
○
29
◎
31
○
32
○
29
◎
29
2021
8/14
◎
19
●
18
●
21
●
26
●
27
●
22
●
23
●
29
○
28
2022
8/04
◎
26
○
28
○
28
○
29
○
29
○
31
○
31
○
30
●
27
2023
8/22

21時時点の・・・ 上段:天気(●:雨 、 ◎:曇 、 薄:薄曇 、 ○:快晴 ~ 晴れ)、下段:気温

2021年8月14日は、九州北部に大雨特別警報が出された「令和3年8月の大雨」であったため例外かも知れませんが、その他の年をみると、かなり「晴れ」マークの割合が多くなったように感じます。

そして、気温についても8月7日に比べるとやはり半月ぐらい遅れたこともあってか、21時の段階で「真夏日」となっている日は減っていることも分かります。

そもそも、中国に由来する行事であるため日本の季節は関係ないのでしょうが、ひとまず「旧暦7月7日」がこれまで見てきた中では最も穏やかな天候になりそうな感じがしました。せっかくの「七夕」であるならば、やはりぐずついた天候よりかは夜空が晴れていて欲しいですし、できれば織姫・彦星、そして天の川が見られた方が嬉しいでしょう。

そして、令和の時代にも、「伝統的七夕」が注目されるタイミングは珍しくなく、そちらを愛好する人も一定数います。時と場合によって使い分ける必要はあるかも知れませんが、『七夕』という行事としてのそれぞれの特色を抑えると、より楽しめるはずです。

単純に「七夕は7月なのに『秋』の季語」と覚えさせるのではなく、こういった背景から生まれたものだということを、皆さんの印象に植え付けることができていれば幸いです。

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