【はじめに】
この記事では、気象官署「深浦測候所(現・深浦特別地域気象観測所)」で観測された過去の強烈な揺れをまとめていきます。
「深浦測候所」について
1939年(昭和14年)1月1日 – 深浦測候所開設。当時は「国立深浦測候所」として開設され、1950年(昭和25年)6月1日、深浦測候所に昇格。
青森地方気象台
2004年(平成16年) – 深浦測候所が特別地域気象観測所に変更。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
測候所としては昭和14年に創設されたそうで、震度観測点としては、1940年に観測が始まったという風に気象庁ホームページには記載があります。
青森県津軽南部 | 深浦町深浦 | 西津軽郡深浦町大字深浦字岡町210-3 (深浦特別地域気象観測所) | 1940 |
青森県津軽南部 | 深浦町深浦岡町 | 西津軽郡深浦町大字深浦字岡町210-3 (深浦特別地域気象観測所) | 200712051900 |
青森県津軽南部 | 深浦町長慶平 | 西津軽郡深浦町大字長慶平字仁瀬4-1 | 199407151200 |
https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/kyoshin/jma-shindo.html#tohoku
以下、観測点の名称が「深浦町深浦」と「深浦町深浦岡町」と区別されていますが、気象官署「深浦」と本記事内で表記する時は基本的に区別しないものとします。
震度1以上(有感地震)は10年で数十回程度
震度データベース検索の「年代別回数」で、データが完備されている1940年代以降を表としてみます。
期間 | 震度1 | 震度2 | 震度3 | 震度4 | 震度5 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
1940年代 | 10 | 3 | 3 | 16 | ||
1950年代 | 5 | 12 | 2 | 19 | ||
1960年代 | 43 | 29 | 13 | 1 | 86 | |
1970年代 | 91 | 30 | 16 | 1 | 138 | |
1980年代 | 254 | 94 | 19 | 2 | 1 | 370 |
1990年代 | 64 | 12 | 7 | 0 | 1 | 84 |
2000年代 | 48 | 8 | 1 | 1 | 58 | |
2010年代 | 59 | 21 | 2 | 1 | 83 | |
合計 | 574 | 209 | 63 | 6 | 2 | 854 |
・地震の発生日時 : 1940/01/01 00:00 ~ 2019/12/31 23:59
・地震の規模 : M 0.1 以上、M 9.9 以下
・観測された震度 : 深浦町深浦 もしくは 深浦町深浦岡町 で 震度1以上 を観測
・地震回数の集計 : 年代別回数
昭和の中頃までは有感地震が10回台となっていますが、恐らく実際はもう少し多かったかと思います。1960年代以降は、10年での中央値が「80回台」となっていますから、それぐらいが実態としての平均だという風にみています。
1970年代は「138回」の有感地震となっていますが、これは、1978年頃から極小規模な「群発地震」が観測されたことによるものです。「詳細不明」な有感地震が100回弱含まれていて、M0.1以上(規模が特定されている)地震に限定すると、1970年代は『45回』まで減少します。そちらの表も掲載しておきます。
期間 | 震度1 | 震度2 | 震度3 | 震度4 | 震度5 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
1940年代 | 7 | 3 | 2 | 12 | ||
1950年代 | 3 | 7 | 1 | 11 | ||
1960年代 | 34 | 18 | 11 | 1 | 64 | |
1970年代 | 16 | 14 | 14 | 1 | 45 | |
1980年代 | 194 | 83 | 17 | 2 | 1 | 297 |
1990年代 | 63 | 12 | 7 | 0 | 1 | 83 |
2000年代 | 48 | 8 | 1 | 1 | 58 | |
2010年代 | 59 | 21 | 2 | 1 | 83 | |
合計 | 424 | 166 | 55 | 6 | 2 | 653 |
・地震の発生日時 : 1940/01/01 00:00 ~ 2019/12/31 23:59
・観測された震度 : 深浦町深浦 もしくは 深浦町深浦岡町 で 震度1以上 を観測
・地震回数の集計 : 年代別回数
こうしてみると、実態は若干少なく「50~60回」というあたりなのかも知れません。いずれにしても、最も多かったのは、1980年代で、300回近い有感地震が観測されました。後述します。
震度4以上:2011年までの半世紀で8回
「深浦」の「震度4以上」となると、1964年の秋田県沖の地震を皮切りに、2011年の秋田県沖の地震(東日本大震災の翌朝に起きた地震)までで全部で8回観測されています。下図のとおりです。
地震の発生日時 | 震央地名 | 深さ | M | 最大震度 | 「深浦」 |
---|---|---|---|---|---|
1964/05/07 16:58:08.1 | 秋田県沖 | 24 km | 6.9 | 震度4 | 震度4 |
1978/09/29 06:12:45.3 | 青森県西方沖 | 20 km | 4.2 | 震度4 | 震度4 |
1983/05/26 11:59:57.5 | 秋田県沖 | 14 km | 7.7 | 震度5 | 震度5 |
1983/06/21 15:25:25.0 | 青森県西方沖 | 6 km | 7.1 | 震度4 | 震度4 |
1985/12/02 16:14:37.7 | 青森県西方沖 | 31 km | 5.7 | 震度4 | 震度4 |
1993/07/12 22:17:11.7 | 北海道南西沖 | 35 km | 7.8 | 震度5 | 震度5 |
2008/06/14 08:43:45.3 | 岩手県内陸南部 | 8 km | 7.2 | 震度6強 | 震度4 |
2011/03/12 04:46:46.1 | 秋田県沖 | 4 km | 6.4 | 震度4 | 震度4 |
・観測された震度 : 深浦町深浦 もしくは 深浦町深浦岡町 で 震度4以上 を観測
2008年の「岩手・宮城内陸地震」以外は、いずれも日本海側を震源とする地震です。その中でも、特に「震度5(強震)」を観測した地震は、日本海側で起きた地震としては20世紀でも特筆すべき大きさのものでした。
震度5(強震)は、昭和・平成で1例ずつ
昭和58年(1983年)「日本海中部地震」
日本海中部地震は、1983年(昭和58年)5月26日11時59分57.5秒に、秋田県の能代市西方沖80 kmの地点で発生した逆断層型の地震である。地震の規模はM7.7(Mw7.7-7.9)。
当時日本海側で発生した最大級の地震であり、秋田県・青森県・山形県の日本海側で10 mを超える津波による被害が出た。日本での死者は104人に上り、そのうち100人が津波による犠牲者であった。家屋の全半壊3049棟、船舶沈没または流失706隻、被害総額は約518億円にのぼった。
当時のシステムで津波警報が発表されたのは地震発生から14分後であったことと、日本海側に津波は来ないという俗説がまかり通っていたことが人的被害を大きくした。到達が最も早かった青森県の西津軽郡深浦町では地震発生約7分後に引き波として到達し、8分後第1波として到達している。最大潮位は65 cmであった。
日本海中部地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
青森県内では、津波による犠牲者が発生したほか、地震による被害も確認され、戦後の東北日本海側の地震としては最大級の被害となりました。
平成5年(1993年)「北海道南西沖地震」
北海道南西沖地震は、日本標準時1993年(平成5年)7月12日午後10時17分11.7秒に、北海道奥尻郡奥尻町北方沖の日本海海底で発生した地震である。マグニチュードは7.8(Mw7.7 – 7.8)、推定震度6(烈震)で、日本海側で発生した地震としては近代以降最大規模。震源に近い奥尻島を中心に、火災や津波で大きな被害を出し、死者202人、行方不明者28人を出した(このため、奥尻島地震とも呼ばれる)。
北海道南西沖地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
本州では唯一の震度5となった「深浦」。深浦での直近の震度5(強震)がこの「奥尻島地震」によるものとなっています。震度計での観測となってからは、震度4が最大となっています。
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