競馬歳時記【3月4週】「マーチS」

【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返りながら季節の移ろいを感じる「競馬歳時記」。今回は「マーチS」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。

マーチステークスは、日本中央競馬会(JRA)が中山競馬場で施行する中央競馬重賞競走GIII)である。競走名の「マーチ(March)」は、3月を意味する英語。

マーチステークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

20世紀:

1968~1983年:東西の芝の条件戦時代

「マーチS」という名称は一般的なネーミングですから、今我々が想像するダート重賞の前にも、3月の英名である「マーチ」を冠したレースは古くから開催されてきました。

netkeiba.comさんのデータベースで検索をすると、1968年3月24日に「マーチS」という名前の500万下条件戦が芝2200m戦として行われています。これが同サイトで調べられる最古の記録であり、1970年には東京でダート2200mとして開催されています。そして1975年から再開されました。

もちろんこれらを前身としてはいないのですが、実に昭和中期から半世紀近く、3月の関東地方で「マーチ」を冠したレースが行われていたのは興味深い事実です。

さらに、1971年には阪神で「マーチH」というレースが関東に変わって開催され始め、1974年までは阪神のみで、1975年からは関東でも「マーチH」が開催されるようになり、東西で3月に条件戦が開催されるようになります。

1984~1992年:中山が芝のオープン特別に

1984年に初めて「オープン特別」として「マーチS」が開催されるようになり、1985年を最後に関西の「マーチH」は開催されなくなり、中山の「マーチS」に一本化されます。ただまだこの時は芝のレースであり、距離も2200mから1800mを経てマイル戦と安定していませんでした。

昭和最後のマーチSを勝ったのは【ランニングフリー】です。1986年に福島記念を勝つもその後は家賃が高くオープン特別だった「マーチS」で1年4か月ぶりの優勝を飾り、平成になってG2を連勝しています。

1994~1999年:条件戦から約四半世紀、ダート重賞として新設

1994年に行われた中央競馬のダート重賞路線整備で、ダート適性馬の目標となる競走を設置することを目的として創設された5歳(現4歳)以上の馬による重賞競走。

( 同上 )
回数施行日競馬場距離優勝馬性齢タイム
第1回1994年3月12日中山1800mバンブーゲネシス牡51:50.0
第2回1995年3月11日中山1800mトーヨーリファール牡51:50.5
第3回1996年3月9日中山1800mアミサイクロン牡61:53.3
第4回1997年3月8日中山1800mワイルドブラスター牡51:51.5
第5回1998年3月14日中山1800mワイルドブラスター牡61:51.9
第6回1999年3月13日中山1800mタヤスケーポイント牡41:51.3

開催時期は3月の前半で、「フェブラリーS」と時期も近く、距離も近いという面で、まだレース形態が整備されていなかったのかなとも感じてしまいます。レースレベルもやはり今ひとつで、1996年を勝ったアミサイクロンは14頭立ての最低人気(単勝100.6倍)でした。

第1・2回こそ1番人気が勝ちましたが、平成年間の26回で1番人気が4勝しかしないなど、むしろ人気サイドが勝つことが珍しいほどの「ハンデ戦」となっています。

21世紀:

21世紀になってからも、決してレースそのものが変わった訳ではないのですが、少しずつ「実力のある重いハンデの(ハンデで割り引かれてやや人気も落ちている)タイプの馬が目立つようになります。

第10回2003年3月30日中山スマートボーイ牡81:52.0
第11回2004年3月28日中山アンドゥオール牡51:53.0
第12回2005年3月27日中山クーリンガー牡61:52.0
第13回2006年3月26日中山ヒシアトラス牡61:51.4
第14回2007年3月25日中山クワイエットデイ牡71:51.4
第15回2008年3月30日中山ナナヨーヒマワリ牡71:51.6
第16回2009年3月29日中山エスポワールシチー牡41:51.9
第17回2010年3月28日中山マコトスパルビエロ牡61:51.9
第18回2011年4月10日阪神テスタマッタ牡51:50.0

ヒシアトラスは59kgでしたし、エスポワールシチーは4歳馬ながら57.5kgを背負っています。2011年に「東日本大震災」の影響で、4月・阪神と異例づくめの開催となった時も、58kgのテスタマッタが、第1回(1996年)以来の1分50秒フラットというタイムを記録しています(競馬場は違いますが)。

2016年以降のレースレーティングも併記しますと、このようになります(↓)。

第23回2016年3月27日104.50ショウナンアポロン牡61:52.7
第24回2017年3月26日108.00インカンテーション牡71:52.0
第25回2018年3月25日105.75センチュリオン牡61:52.1
第26回2019年3月24日106.25サトノティターン牡61:52.3
第27回2020年3月31日105.50スワーヴアラミス牡51:51.3
第28回2021年3月28日107.75レピアーウィット牡61:51.0
第29回2022年3月27日108.75メイショウハリオ牡51:50.2

ハンデ戦ということを加味しても、G3の全体の平均に殆ど届いていないのは厳しいと言わざるをえないでしょう。近々「川崎記念」も近く移ってくることを思うと、地方競馬との兼ね合いも見つつの必要が出てくるのでしょうね。

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