【プレバト!! 俳人列伝】伊集院光さん

【はじめに】
この記事では、「三遊亭円楽」師匠のご存命の際に出演して絶賛された“伊集院光”さんの「プレバト!!」俳句査定でのこれまでの結果を振り返っていきます。

ちなみに、伊集院光さんは、2016年から2022年まで放送された自身のラジオ(伊集院光とらじおと)発信で『自由律俳句の本』が発売され、多くの方に読まれてもいるようです。(↑)

2021年:『濡れ鼠せめてどこぞの喜雨であれ』

伊集院光さんが三遊亭楽大として弟子入りしていたのが今から約40年前。それから35年あまり経って、「プレバト!!」で師匠と弟子の共演が叶い、当時からちょっとした話題となっていました。

円楽さんは2021年6月10日の放送日時点で「特待生1級」での足踏みが2年半続いており、悲願の名人に届かない上に病気で出演回数も制限されるという状況下だったことも思い起こされます。

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結果発表までは半信半疑だった周囲を唸らせる初挑戦1位を獲得した俳句がこちらでした(↓)。

1位70点『濡れ鼠せめてどこぞの喜雨であれ』

季語の「喜雨」の記事で俳句について詳細を書きましたが、口語俳句の中に『優しさ』も垣間見えるということで、夏井先生からも、師匠からも褒められて驚きの表情を見せる伊集院さんでした。

これが結果的に、師匠と一緒に「プレバト!!」という番組で共演した最初で最後の事例となりました。

2022年:『在りし夏選ばなかったフレイバー』

初挑戦で華々しいデビューを飾った伊集院さん。2回目の出演でも才能アリを獲得し、2位に落ちましたが、それでも得点は前回を超え71点に。僅か2回で師匠を追う「特待生」候補と目されるような存在となっていきました。

2位71点『在りし夏選ばなかったフレイバー』
↓
    『あの夏の選ばなかったフレイバー』

添削は「在りし夏」といった思わせぶりな表現でなく、「あの夏の」とシンプルにし余白を広げることを目指します。もちろん兼題的には選ばなかった「アイスの味」なのでしょうが、そこから生まれたフレーズを、読者にどう深読みさせるかが鍵になりそうなタイプの俳句。

そしてこの時も1回目と同じく、中七~下五の12音のフレーズが口語的で口にして心地よく、そこらへんもラジオや落語で言葉を磨いてきた伊集院さんならではだなと感じました。

※この回で2回目の才能アリを獲得した直後、三遊亭円楽師匠の訃報が届きます。

2023年:初の挫折を経験するも……?

2回連続才能アリとなれば、昨今であれば「特待生」にリーチといった存在となった伊集院さん。上記のフレイバーの句が『年間優秀句15句』に選ばれ、2023年1月に行われた冬麗戦でタイトル戦初出場を果たします。

しかしその冬麗戦は、年下なのに敬語を使っていた立川志らくさんにこそ勝てたものの、15位 vs 13位という低レベルな争いとなってしまい、初の挫折を経験します。

さらに、2023年6月1日の放送回は、初挑戦から2年でほぼ同じ時期と得意なパターンでストレート・特待生が期待されましたが、まさかの最下位(4位35点)。誰しも、この才能ナシで特待生候補は振り出し……かと思われましたが!?

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2023年8月の「炎帝戦」で2度目のタイトル戦出場を決めると、前回は13位とTop10圏外で句が発表されませんでしたが、今回は先に発表された“かたせ梨乃”さんの3位に続き、伊集院光さんも名人らを抑えて5位入賞を果たし、本人も驚く落語家最上位となります。

炎帝戦5位『土用鰻大将すまん小ジョッキ』

「土用の丑の日」や「鰻」は季語ですが、こうして『土用鰻』といった単語も季語として使われることがあります。歳時記を引いてそこを抑えているあたりもさすが伊集院さんです。そして、こちらも他の名人たちとは異なりテクニックを多用せず、(かたせさんもそうでしたが)喋り言葉をベースにシンプルに詠んでいるあたりが良かったのだと思います。

「小ジョッキ」で手間を取らせないから……という大将への気遣いが他の読者には違って読まれるかも知れませんが、ここで「大」じゃなく「小」とした意味の謎解きも相俟って、一般参加者以外としては大健闘の5位という結果に繋がったようです。

※志らくさんからは「大ジョッキの方がお店としては嬉しいんじゃ」などと言われていましたが、結果的には“志らく君”が9位、昇吉君が10位と大きな差を付けての最上位に、年長者の伊集院さんは笑み。師匠のような軽快な後輩との掛け合いを楽しく見ることが出来ました。

しかしここからいよいよ本格的に「特待生」候補としての査定に向かっていくこととなります。

(To Be Continued…)

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