【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返りながら季節の移ろいを感じる「競馬歳時記」。今回は「中山牝馬ステークス」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。
BingAI
『中山牝馬ステークス』について教えて?
中山牝馬ステークスは、中山競馬場の芝1800mで行われる牝馬限定のG3重賞です1。ハンデ戦で、2023年は3月11日に開催されます2。
BingAI(2023/3/11)
昭和時代:創設半世紀、1983年に重賞に
昭和中期以降、主要競馬場を中心に現在の「◯◯牝馬S」に相当するレースが創設されていきます。ここ中山では、今から約半世紀前に「中山牝馬S」が創設されます。当初はオープン特別でした。
なお、ウィキペディアには1972年から掲載されていますが、netkeiba.comさんのデータベースで検索すると1971年に「中山牝馬特別」として開催されているため、そちらを補った表を作成しました。↓
施行日 | 距離 | 優勝馬 | 性齢 | タイム |
---|---|---|---|---|
1971年3月14日 | 1800m | ハーバーゲイム | 牝4 | 1:50.9 |
1972年5月28日 | 2000m | クリケント | 牝5 | 2:04.0 |
1973年3月18日 | 1800m | キョウエイグリーン | 牝4 | 1:51.1 |
1974年3月16日 | 1800m | ラファール | 牝4 | 1:50.9 |
1975年3月16日 | 1800m | カミノチドリ | 牝6 | 1:51.1 |
1976年3月21日 | 1800m | サクラセダン | 牝4 | 1:51.0 |
1977年3月20日 | 1800m | シュンセツ | 牝5 | 1:51.2 |
1978年3月19日 | 1800m | シュンセツ | 牝6 | 1:52.4 |
1979年3月18日 | 1800m | ヨドハナマス | 牝4 | 1:49.9 |
1980年3月15日 | 1800m | マイエルフ | 牝5 | 1:51.4 |
1981年3月15日 | 1800m | フジマドンナ | 牝5 | 1:53.7 |
1982年3月21日 | 1800m | フジマドンナ | 牝6 | 1:55.3 |
第2回を除き中山1800m・3月中旬に開催してて、かなり変化の少ないレースだったことが窺えます。
そして、第2・3回で連続2着となったモンテオーカンを始め、勝ち馬だけを見ても【シュンセツ】や【フジマドンナ】が連覇を達成しており、フジマドンナは現4歳時に3着、現7歳時に2着となっており、4年連続で複勝圏内となっていました。
この様に、創設当初から『リピーターの多い』レースだったことは特徴の一つと言えるでしょう。
1983年に重賞に昇格すると、その翌年から敷かれたグレード制で「G3」に格付けされて、早くもほぼ現在の条件が揃うこととなります。
回数 | 施行日 | 競馬場 | 距離 | 優勝馬 | 性齢 | タイム | 優勝騎手 | 管理調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第1回 | 1983年3月20日 | 中山 | 1800m | ダンシングファイタ | 牝5 | 1:51.3 | 中野栄治 | 元石孝昭 |
第2回 | 1984年2月26日 | 中山 | 1800m | メジロハイネ | 牝4 | 1:52.7 | 的場均 | 大久保洋吉 |
第3回 | 1985年2月24日 | 中山 | 1800m | シャダイコスモス | 牝7 | 1:48.8 | 加藤和宏 | 二本柳俊夫 |
第4回 | 1986年2月23日 | 中山 | 1800m | ユキノローズ | 牝4 | 1:49.6 | 郷原洋行 | 佐々木猛 |
第5回 | 1987年3月1日 | 中山 | 1800m | カツダイナミック | 牝4 | 1:48.8 | 大崎昭一 | 和田正道 |
第6回 | 1988年2月28日 | 東京 | 1800m | ソウシンホウジュ | 牝4 | 1:47.2 | 柴田善臣 | 古賀末喜 |
平成・令和時代:重賞路線常連の牝馬が続々
平成に入ってからも、競走馬としても後に繁殖牝馬としても活躍するような馬がこのレースを制しています。斤量などの関係で、バリバリの一線級が勝つことは珍しかったのですが、牝馬路線を盛り上げた重賞クラスの馬が名を連ねています。
と、1990年代付近だけを抜き取っても、懐かしい名前が並んでいます。
更に、2000年代に入ると、
このように2~3歳時にG1を制した馬が、古馬になって重賞制覇を飾れた舞台となっています。そういった意味で、直近で成績が振るわない馬が復活を目指す舞台としてのニーズは高いのかも知れません。
そして、2011年は、本来であれば3月の第2週の日曜日、すなわち2011年3月13日に中山競馬場で開催される予定でしたが、ご存知のとおりその2日前(3/11)に起きた東北地方太平洋沖地震によって、中山開催が中止され、「中山牝馬S」も延期となりました。
皐月賞を含めた春の中山開催は、中山GJを7月開催とした以外の重賞が全て阪神(皐月賞のみ東京)に移設されることとなり、創設以来「東京」での代替開催も1度のみだった「中山牝馬S」は関西・阪神で4月2日に開催されることとなりました。
この年に勝ったのが【レディアルバローザ】で、翌年中山開催に戻った「中山牝馬S」も勝って、開催場が関東と関西で分かれた重賞を連覇している稀有な例ともなっています。
第34回 | 2016年3月13日 | 109.75 | シュンドルボン | 牝5 | 1:50.3 |
第35回 | 2017年3月12日 | 109.00 | トーセンビクトリー | 牝5 | 1:49.4 |
第36回 | 2018年3月10日 | 106.50 | カワキタエンカ | 牝4 | 1:49.0 |
第37回 | 2019年3月9日 | 107.25 | フロンテアクイーン | 牝6 | 1:47.7 |
第38回 | 2020年3月14日 | 106.50 | フェアリーポルカ | 牝4 | 1:50.2 |
第39回 | 2021年3月13日 | 108.25 | ランブリングアレー | 牝5 | 1:54.8 |
第40回 | 2022年3月12日 | 107.25 | クリノプレミアム | 牝5 | 1:46.8 |
上の表には2016年以降のレーティングを牝馬限定戦の4ポンドを調整した値で掲載しています。「G3の基準:105ポンド」、「G2の基準:110ポンド」の間にキレイに収まっていて、ハンデG3らしい値となっています。
最近はG1級の馬が勝つことは殆ど見られず、G3のど真ん中といった結果となる年が多いようですね。今年は果たして。活躍馬が出ることを期待して。
コメント