【秋・植物】「林檎(りんご)」

【はじめに】
この記事では、「林檎(りんご)」について、三部構成で纏めていきたいと思います。第1パートでは「林檎」についてウィキペディアでざっとおさらいし、第2パートでは「プレバト!!」や俳句歳時記にある林檎の俳句を鑑賞していき、最後に第3パートでは私のヒット指標にみる「りんご」ソングの楽曲(ミリオン以上)をみていきたいと思います。

ウィキペディアに学ぶ「林檎」

概要

リンゴ(林檎、学名:Malus domestica, Malus pumila)とは、バラ科リンゴ属の落葉高木、またはその果実のこと。植物学上ではセイヨウリンゴと呼ぶ。

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春、白または薄紅の花が咲く。人との関わりは古く、紀元前から栽培されていたと見られ、16世紀以降に欧米での生産が盛んになり、日本においても平安時代には書物に記述がみられる。

現在世界中で生産される品種は数千以上といわれ、栄養価の高い果実は生食されるほか、加工してリンゴ酒、ジャム、ジュース、菓子の材料などに利用されている。西洋美術、特に絵画ではモチーフとして昔からよく扱われる。

歴史

ワリンゴ
ワリンゴが日本へ最初に持ち込まれたのは中国からと推定されるが、西洋リンゴが西洋から持ち込まれると日本でも西洋リンゴの方が一般的になり、それまでの種は「和リンゴ」などと呼ばれて区別された。後に和リンゴの栽培・流通は極少数となったが、例えば長野県上水内郡飯綱町では、わずかな農家が栽培してその姿を伝えている。

セイヨウリンゴ
初めて西洋リンゴが栽培された例としては、文久2年(1862年)、越前福井藩主で幕府政事総裁職であった松平春嶽がアメリカ産のリンゴの苗木を入手し、それが江戸郊外巣鴨の福井藩下屋敷にて栽培されていたと残る記録が有名である。
またそれより先、安政元年(1854年)に、アメリカからもたらされた「アッフル」が加賀藩下屋敷(板橋宿)にて栽培され、翌年に実をつけたために食用とされたことが、当時の加賀藩士の記録に残っている。藩主(前田斉泰)から「小さな餅に塗って食べるように」と言われて近習らはそのようにしていることから、ジャムにして食したものと思われる。

明治4年(1871年)に明治政府の命を受けた北海道開拓使の次官黒田清隆と民部省の細川潤次郎は、アメリカから国光など75品種の苗木を持ち帰り渡島国亀田郡七重村(現・北海道七飯町)の七重官園に植栽した。
それが広がり出したのは明治7年(1874年)、内務省による配布が始まってからになる。現在の日本国内の主なリンゴ産地のほとんどは、七重官園にその起源を求めることができる。これらの生産がようやく軌道に乗ったのは明治20年代とされ、各産地でのその間の栽培定着の苦労を推測することができる。

品種

世界中では数千から1万以上の品種が存在するとみられている。日本の農林水産省に登録されている品種は177種で、うち品種登録が維持されているものは85種。多くの有名な品種は誕生年が古く、品種登録されていない。

ふじ
ふじ」は1962年に青森県藤崎町で誕生し、日本で最も一般的に栽培され、世界において最も生産高の高い品種である。日本国外にも盛んに輸出され、名前も日本語の発音と同じ「Fuji」の名で親しまれている。

主要品種と特徴(ウィキペディア記載の収穫時期別に再編)

前半から後半から
7月姫小町
8月つがる
9月レッドデリシャス
ゴールデンデリシャス
千秋、世界一、印度
ジョナゴールド
紅玉
アルプス乙女
秋映
ぐんま名月
10月ふじ王林
シナノスイート
シナノゴールド
陽光
国光

神話への登場

聖書
旧約聖書に登場するアダムとイヴが、蛇にそそのかされて食べた「善悪を知る果実」(禁断の果実)はリンゴだとされる。慌てて飲み込もうとしたアダムが善悪を知る果実をのどにつかえさせ、これがのどぼとけの始まりであるとの故事から、男性ののどぼとけは「アダムのリンゴ」ともいわれる。なお、食べたのがリンゴというのは後の時代に創作された俗説で、旧約聖書の舞台となったメソポタミア地方には当時リンゴは分布せず、またその時代のリンゴは食用に適していなかった。

ギリシャ神話
ギリシア神話には、「最も美しい女神に与えられる」といわれた黄金のリンゴを巡ってヘラアテナアフロディテの3女神が争い、遂にトロイア戦争に至るエピソードがある(パリスの審判)。また、ヘラクレスの12の冒険の中にもヘスペリデスの園から黄金のリンゴを取ってくる話がある。

リンゴに関する歴史的事件

ウィリアム・テル
ウィリアム・テルヘルマン・ゲスラーの帽子に頭を下げなかったために逮捕され、息子の頭の上の林檎をで射るか、それとも死ぬかを選択することになり、一発で見事に林檎を射抜いた、という逸話がある。後にテルがスイス独立運動において英雄とされたことから、この「矢の刺さったリンゴ」というのはスイス人の好きなモチーフの一つであり、イラストなどになって様々な場面で登場する。

万有力学の法則とりんご
近代理論科学の先駆者であるアイザック・ニュートンは、木から落ちるリンゴを見て万有引力の法則のアイディアを得た、という逸話がある。なお、この「ニュートンのリンゴ」は「フラワーオブケント」(Flower of Kent) という品種で、生食用ではなく料理用である。最初に「ニュートンのリンゴの木」と言われたものは既に枯れてしまったが、接木をして増やした2世代以降の木は世界各地で21世紀の現在も栽培されている。

リンゴを使った知財

アップル・レコード
英国のロックバンド ビートルズは1968年にレコード会社であるアップル・レコードを設立した。この会社のマークは、日本ではあまりポピュラーではない「グラニースミス・アップル」という品種がモデルである(形は丸ではなく若干横長の楕円形)。
アップル・レコード名義のレコードジャケットには一部を除いて、目立つ位置にリンゴマークが描かれており、一目でアップル・レコードと判る。このリンゴマークはポール・マッカートニーが所有するベルギーの画家、ルネ・マグリットの青リンゴの絵がヒントになっている。ちなみにアップル・レコードの影響を受けて、食べ物を題材にしたマークのレコードレーベルが日本にもいくつか設立されている。

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アップル(コンピュータメーカー)
コンピュータメーカーであるApple社 (Apple Inc.) は、リンゴを会社のロゴマークとしている(1997年頃までは6色、1999年以降はほとんど単色で用いられる)。
「バイト」と呼ばれる右上の囓られた様な跡は、元々「Apple」の社名ロゴが重なっていた部分である。また同社の主力製品であるパソコン「マッキントッシュ(Macintosh、マック)」もリンゴの品種名「McIntosh」(日本名:旭)から採られている。

リンゴにまつわる話

ことわざ
リンゴが赤くなると医者が青くなる – 英国ウェールズ由来の英語ので、
「一日一個のリンゴ、医者知らず」(英: An apple a day keeps the doctor away) である。
「リンゴをよく食べると健康に良い」という生活の知恵から諺が生まれた。まれにリンゴがトマトミカンに変わる。

関連項目

プレバトや俳句歳時記にみる「りんご」の例句

とても身近な植物・果実であるため、秋の季語としての「りんご(食用とする果実)」に関する俳句は数多く詠まれてきました。厳密にいえば、セイヨウリンゴの歴史は幕末・明治からであり、俳句歳時記が編まれた明治~戦前にとっては『西洋の果物』という認識だったかもしれませんが、『ワリンゴ』の時代を含めて古今東西の俳句をみていきましょう。

俳句歳時記にみる「りんご」の例句10句

やはり作句例も多く、秀句が多いので今回はたっぷり10句ご紹介したく思います。(↓)

  1. 『世の花の色に染めたるりんごかな』/炭太祇
  2. 『空は太初の青さ 妻より林檎うく』/中村草田男
  3. 林檎むく五重の塔に刃を向けて』/野見山朱鳥
  4. 『母の忌に掃くや林檎の木の下も』/飯田龍太
  5. 『あめつちや林檎の芯に蜜充たし』/武田伸一
  6. 林檎一つ投げ合ひ明日別るるか』/能村研三
  7. 『制服に林檎を磨き飽かぬかな』/林桂
  8. 『紐すこしゆるびてとどく林檎箱』/伊藤トキノ
  9. 『安曇野や手よりはみ出す林檎摘む』/勝山伸子
  10. 『熟れ林檎取る人もなき養老院』/孝子・フォン・ツェルセン

『リンゴの唄』ではないですが、真っ赤な林檎と対比されるのは秋の高く青い空だったり青春だったりするのだと思われます(2・6・7句目)。また、宗教的な背景なども含めて大胆な自然と取り合わせた句も多いです(1・2・5句目)。

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他方、極めて身近な植物であることから、生活感のある作品も多く(4・8・10句目)、加えて地名を読み込むとその土地柄と林檎の魅力がかけ合わさる効果も期待できます(3・9句目)。

「プレバト!!」で高評価だった作品5句

「プレバト!!」でも何度も「林檎」を詠んだ句が登場しています。代表的なものとしては千原ジュニアさんがタイトル戦初優勝を遂げた吾子俳句(2句目)かと思いますが、より生活に密着した作品が多いように思います。

  1. 『夜更かしの林檎や祖母と七並べ』/河合郁人
  2. 『痙攣の吾子の吐物に林檎の香』/千原ジュニア
  3. 『《首つりの家》には林檎は無いのか』/立川志らく
  4. 林檎のうさぎ雲梯を二段飛ばし』/東国原英夫
  5. 『紅白帽脱いで焼きたて林檎パイ』/小倉優子

現代となると、4・5句目のように「林檎」を秋の植物の季語としての力は弱まってきているのかもしれませんが、それを補うように「体育」や「スポーツ」との相乗効果を狙うのも手です。

また、祖母や吾子といった家族とも身近な果物であり、例えば体調不良や風邪、離乳食などとしても重用されていることが背景にはあると思います(1・2句目)。特に、千原名人の句は、「林檎」が美味しそうでは決してないにも拘らず、秋の季語としての存在感を見事に発揮している点が高評価でした。

そして、季語「林檎」としての赤色の存在感を際立たせる難しい技を使った立川志らくさんの作品も、林檎の西洋的な芸術・宗教的な歴史を踏まえて、東洋・日本の俳句という文芸に落とし込んだ点で非常に新鮮でした。

Rxヒット指標にみる歴代「りんご」ソング

文芸だけでなく音楽の分野でもこの「りんご」を題材にした楽曲は、日本でも多く歌われてきました。その中でも私のヒット指標でも大ヒットとなった100万pt以上の楽曲を1~4位まで集計して披露します。こちらです(↓)

発売累計pt
CD

DL

再生

カバー
曲名
1956年340270 30 40リンゴ村から/三橋美智也
1952年250140 10100リンゴ追分/美空ひばり
2016年24010230ペンパイナッポーアッポーペン/ピコ太郎
1946年150 30 60 60リンゴの唄/並木路子・霧島昇
集計方法や企画の主旨については、下の記事に纏めてありますので初見の方はぜひご覧ください(↓)

『PPAP』がアップルの歌かと言われると微妙かもしれませんがww『リンゴの唄』、『リンゴ追分』、『リンゴ村から』と戦後歌謡にはりんごが非常に身近にありました。

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ちなみに、この他にも、『年下の男の子』/キャンディーズや『林檎殺人事件』/郷ひろみ・樹木希林に『りんごのうた』/椎名林檎 などが続きます。そして、アニメ・声優ソングでは、

などが知られているでしょう。様々な文化に浸透している「りんご」について、秋の一日に楽しんでみては如何でしょう。皆さんはどんなものがお好きですか? コメント欄にお寄せください。

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