【はじめに】
この記事では、世界的にみても珍しく偉業である『連対率100%』の名馬を、地域と時代で区切ってご紹介していきたいと思います。2022年に『無敗馬(←これも連対率100%)』についてまとめた記事を書いたので、それの姉妹版としてお楽しみ下さい。(↓)
言い方を変えれば、『2着に負けたことのある連対率100%』に絞って記事を書き進めていきます。 なお基本的には日本語版ウィキペディアの『連対率100%の競走馬一覧』という記事を並べ替えた記事となります点、予め申し添えておきます。
日本競馬(中央・地方)
中央競馬(シンザン19連対ほか)
まずは、中央競馬における顕著な成績を挙げた馬をピックアップしました。回数で言えば、シンザンの19連対は恐らく金字塔となるでしょうが、ダイワスカーレットやエルコンドルパサー、そしてイクイノックスが各時代を代表する長期連対のまま現役を引退したことは記憶に残ります。
連対 | 勝 | 2着 | 生年 | 馬名 | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
19回 | 15勝 | 4回 | 1961 | シンザン | 五冠馬、JRA顕彰馬 |
13回 | 11勝 | 2回 | 1921 | バンザイ | 帝室御賞典、連合ニ哩 |
12回 | 9勝 | 3回 | 1983 | ヤマニンアピール | 障害に限った成績 |
12回 | 8勝 | 4回 | 2004 | ダイワスカーレット | 二冠牝馬、有馬記念 |
11回 | 8勝 | 3回 | 1995 | エルコンドルパサー | ジャパンC、凱旋門賞2着 |
10回 | 8勝 | 2回 | 2019 | イクイノックス | G1・6連勝 |
9回 | 5勝 | 4回 | 2012 | ドゥラメンテ | クラシック二冠 |
8回 | 7勝 | 1回 | 1989 | ミホノブルボン | 無敗二冠馬、菊花賞2着 |
なお、元の記事にかかれていないことが不服で思わず追加してしまったのが、大正時代を代表する名馬の【バンザイ】号。13戦して11勝2着2回、当時の大レース2つを制し、破格の日本レコードで活躍するさまはまるで100年前のイクイノックスのような存在だと思うのです。
以下、G1級競走で連対した馬をピックアップしました。アグネスフローラから、無敗のまま現役を引退したアグネスタキオン、そして倍の連対を記録したダイワスカーレットに繋がる血のロマン感じます。
連対 | 勝 | 2着 | 生年 | 馬名 | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
6回 | 5勝 | 1回 | 1987 | アグネスフローラ | 桜花賞 |
6回 | 5勝 | 1回 | 2002 | シーザリオ | 優駿牝馬、アメリカンオークス |
6回 | 5勝 | 1回 | 2013 | シンハライト | 優駿牝馬 |
6回 | 4勝 | 2回 | 1988 | リンドシェーバー | 朝日杯3歳S |
5回 | 2勝 | 3回 | 1998 | タガノテイオー | 朝日杯3歳S2着 |
4回 | 3勝 | 1回 | 1939 | ミナミホマレ | 日本ダービー、皐月賞2着 |
3回 | 2勝 | 1回 | 1986 | ホクトビーナス | 桜花賞2着 |
2回 | 1勝 | 1回 | 2005 | レーヴダムール | 阪神JF2着 |
地方競馬(ゴールドレツト23連対ほか)
恐らく、ウィキペディアの記事が『国内最大級の競馬情報データベース JBIS-サーチ』さんを出典としているため、データの網羅性には疑問がある部分もあるでしょうが、ひとまず2桁連対を決めている馬を挙げておきましょう。
連対 | 勝 | 2着 | 生年 | 馬名 | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
23回 | 20勝 | 3回 | 1979 | ゴールドレツト | サラ・名古屋 |
18回 | 17勝 | 1回 | 1996 | ペアーマッチ | アア・名古屋 |
17回 | 16勝 | 1回 | 1988 | ヨウメイワールド | アア・高崎 |
15回 | 11勝 | 4回 | 1993 | トチノプレジャー | サラ・栃木 |
15回 | 11勝 | 4回 | 1978 | トヨクラダイオー | サラ・北海道 |
13回 | 12勝 | 1回 | 1993 | スギノケーティング | サラ・大井 |
11回 | 10勝 | 1回 | 1979 | ホスピタリテイ | サラ・大井→美浦 |
10回 | 9勝 | 1回 | 2000 | ヨイチハヤテ | サラ・船橋 |
10回 | 7勝 | 3回 | 2002 | キングダムコーセイ | サラ・船橋 |
日本馬には無敗だった【ホスピタリテイ】は、中央競馬でセントライト記念を制した実績もある中で、こういった表に名を連ねている点で評価が高いでしょう。
海外競馬
21世紀(ゼニヤッタ20連対ほか)
まずは、最近21世紀に活躍した馬たちを纏めてみました。上位にはスタンダードブレッドの21連対が並び、そのすぐ下には、21世紀初頭のアメリカ競馬を代表する名牝・ゼニヤッタが続きます。
さらには、ベネズエラの名馬や世界各地で活躍したいピトンべがいて、更には上に示した日本の名馬もここに本来であれば名を連ねてくるのだと思います。
連対 | 勝 | 2着 | 生年 | 馬名 | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
21回 | 20勝 | 1回 | 2006 | Muscle Hill | スタンダードブレッド |
21回 | 20勝 | 1回 | 2005 | Somebeach somewhere | スタンダードブレッド |
21回 | 19勝 | 2回 | 1998 | Syrinx Hanover | スタンダードブレッド |
20回 | 19勝 | 1回 | 2004 | ゼニヤッタ | 米BCクラシック |
16回 | 15勝 | 1回 | 2003 | Queen Chemie | ベネズエラ |
14回 | 12勝 | 2回 | 1998 | イピトンベ | ジンバブエ、南ア、米 |
13回 | 9勝 | 4回 | 1997 | ジャイアンツコーズウェイ | 愛 |
12回 | 10勝 | 2回 | 2005 | El Gran Cesar | ベネズエラ |
12回 | 9勝 | 3回 | 1997 | Secret Sip | 米 |
11回 | 10勝 | 1回 | 2001 | Anglos Evgenis | ギリシャ |
11回 | 10勝 | 1回 | 2008 | Atlantic Jewel | 豪1000ギニー |
10回 | 8勝 | 2回 | 2009 | チェリーコレクト | 伊牝馬2冠 |
19世紀以前(ファション36連対など)
続いて、歴史的名馬とも言える時代の馬たちを揃えました。広く知られた中では、アメリカ競馬の初期の名馬・ファションの36連対があり、そこから英ダービー2着馬が並びます。
連対 | 勝 | 2着 | 生年 | 馬名 | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
36回 | 32勝 | 4回 | 1837 | ファション | 米 |
33回 | 30勝 | 3回 | 1783 | ミーティア | 英ダービー2着 |
27回 25回 | 25勝 23勝 | 2回 | 1780 | ダンガノン | 英ダービー2着 |
23回 | 21勝 | 2回 | 1883 | ザバード | 英ダービー2着 |
18回 | 16勝 | 2回 | 1882 | プレザンテリー | バーデン大賞 |
17回 | 15勝 | 2回 | 1873 | モリーマカーティ | カリフォルニアダービー |
17回 | 14勝 | 3回 | 1815 | レヴェラー | 英セントレジャー |
16回 | 15勝 | 1回 | 1846 | ザフライングダッチマン | クラシック二冠 |
16回 | 12勝 | 4回 | 1877 | ロバートザデヴィル | 英セントレジャー |
15回 | 13勝 | 2回 | 1813-14 | ティモレオン | 米 |
15回 | 11勝 | 4回 | 1833 | エリス | 英セントレジャー |
この表の中で現代においても血統表で話題によくのぼるのは、セントサイモンの父ガロピンのブルードメアサイアーにあたるザフライングダッチマンかも知れません。
20世紀(地域ごと)
20世紀の名馬については、大陸ごとに大別しておきたく思います。15回以上連対した馬は極力掲載し、後は日本国内でも著名な馬を何頭かピックアップしてあります。
ヨーロッパ
24回 | 21勝 | 3回 | 1971 | Tell Me Why | 伊(障害は14戦全勝) |
20回 | 18勝 | 2回 | 1903 | フェルス | 独ダービー |
20回 | 17勝 | 3回 | 1948 | Hurricane | スウェーデン |
19回 | 14勝 | 5回 | 1956 | プチトエトワール | 英 |
18回 | 17勝 | 1回 | 1968 | ブリガディアジェラード | 英 |
17回 | 15勝 | 2回 | 1963 | Moon Jet | 仏(障害10戦全勝) |
17回 | 14勝 | 3回 | 1946 | アバーナント | 英 |
16回 | 14勝 | 2回 | 1976 | クリス | 英 |
15回 | 12勝 | 3回 | 1938 | Niccolo Dell’Arca | 伊ダービー |
13回 | 11勝 | 2回 | 1967 | ニジンスキー | 英三冠馬 |
全体的に知名度が低い気もしますが、ブリガディアジェラードやニジンスキーは半世紀以上経った今でも語り草になっている伝説級の名馬です。北欧がこの表に入ってくるのも新鮮でした。
アメリカ大陸
22回 | 21勝 | 1回 | 1950 | ネイティヴダンサー | 米2冠、Kダービー2着 |
21回 | 20勝 | 1回 | 1917 | マンノウォー | 米2冠 |
19回 | 18勝 | 1回 | 1901 | オールドマン | アルゼンチン四冠馬 |
18回 | 17勝 | 1回 | 1914 | ボタフォゴ | アルゼンチン四冠馬 |
18回 | 13勝 | 5回 | 1980 | La Chaposa | ペルー |
17回 | 15勝 | 2回 | 1956 | ファーウェル | ブラジル |
17回 | 15勝 | 2回 | 1993 | Mr. McCartney | ブラジル |
16回 | 12勝 | 4回 | Senador | シモン・ボリバル国際大賞 | |
14回 | 9勝 | 5回 | 1986 | サンデーサイレンス | 米二冠馬 |
上2頭はアメリカ競馬の20世紀を代表する名馬たち。そして、ここにサンデーサイレンスの名もあります。その他は中南米が中心ですが、アルゼンチン競馬の歴史の長さもうかがえる結果となりました。
アジア・オセアニア
本来であればこの中に19回のシンザンなども入るアジア・オセアニア地区。インドやトルコといった、競馬が開催されていることは知っていても名を知ることはご当地名馬が名を連ねています。
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