【はじめに】
この記事では、【冬】の季語「阪神忌/関西震災忌」について、ウィキペディアなどを通じてまとめていきます。1995年1月17日午前5時46分に発生し、その後も毎年1月17日頃には「追悼行事」が行われますが、そういったニュースを見かけとき、そして関連した俳句作品などを見たときに、かの震災を振り返るキッカケとして頂ければ幸いです。
阪神・淡路大震災は1995年(平成7年)1月17日(火曜日)に発生した兵庫県南部地震により発生した災害を指す。
阪神・淡路大震災
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』( 以下省略 )
ウィキペディアで学ぶ「阪神・淡路大震災」
1995年(平成7年)1月17日5時46分52秒、兵庫県の淡路島北部(あるいは神戸市垂水区)沖の明石海峡(北緯34度35.9分、東経135度2.1分、深さ16km)を震源として、マグニチュード7.3の兵庫県南部地震が発生した。
近畿圏の広域が大きな被害を受けた。特に震源に近い神戸市の市街地(東灘区、灘区、中央区(三宮・元町・ポートアイランド)、兵庫区、長田区、須磨区)の被害は甚大で、近代都市での災害として日本国内のみならず、世界中に衝撃を与えた。犠牲者は6,434人にも達し、第二次世界大戦後に発生した地震災害としては東日本大震災に次ぐ被害規模であった。戦後に発生した自然災害全体でも、東日本大震災が発生するまでは最悪のものであった。
- 気象庁【地震そのもの】 : 兵庫県南部地震 (95/01/17 11時)
- 内閣府【災害への命名】 : 阪神・淡路大震災(95/02/14)
「忌」という字を使った季語について
さて、この記事のタイトルにも掲載している「関西震災忌」や「阪神忌」というのは、1995年に災害が発生した後に生まれた造語の季語であり、それが四半世紀を経て、紙の俳句歳時記などにも掲載されるようになってきています。
この「忌」という漢字を使った中で一般的なのは『文学忌(ぶんがくき)』と呼ばれるものでしょう。俳句歳時記では下記のとおり「忌日」のうち幾つかが季語として掲載されていますし、加えて言えば『忌日』という単独のカテゴリーを設けている大型の歳時記も珍しくありません。
文学忌(ぶんがくき)とは、作家の命日(例外あり)をその雅号やペンネーム、代表作などにちなんで、その文学的な業績を偲ぶ日としたものである。また、俳句においては、著名な俳人やその他の有名人の忌日を季語として用いる。
文学忌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
一方で、この「関西震災忌」や「阪神忌」は『人事・生活』や『行事』などに分類される季語でして、『文学忌』ではなく『生活』の季語ながら「忌」の字を使った季語は大変稀なのです。極端に言えば、
など、メジャーなところを集めても数えるぐらいしかありません。最新の俳句歳時記の中には「東日本大震災の日」を季語として掲載するものも出てきましたが、その一つ前の大震災とされる『阪神・淡路大震災』も、他の季語に比べればまだまだ季語としての歴史は始まったばかりなのです。
ちなみに補足しておくと、単に「震災忌」と言った場合には1923年9月1日に起きた『関東大震災』(現在の「防災の日」)のことを指します。それ以来70年あまり季語になるほどの大震災には見舞われてこなかったという見方もできる日本列島において、72年を経て季語となる様な衝撃的な地震災害となったのが1995年の『阪神・淡路大震災』だった訳です。
ネーミングに関しては上述のとおり、『阪神・淡路大震災』と政府が命名するまでに約1ヶ月がありましたが、それまでの間に「関西大震災」などの異なる名称で呼ばれてきた経緯もあってか、政府のつけたネーミングに近い『阪神忌』という5音の季語と共に、『関西震災忌』という9音の季語もメジャーとなっています。
歴史的な解釈をすれば、戦前に立てられた『震災忌』がまずあって、その次に関西で起きたものという区別から『関西震災忌』、そして3.11を『東北震災忌』とする一派がある一方で、やはり音数的には5音の方が使いやすく伝播しやすい背景もあるでしょうから、『阪神忌』や『東北忌』といった季語も愛用されているのだと思います。ただ、『阪神』は広く用いられる言葉ですから、この言葉が令和以降も『阪神・淡路大震災』を指す季語として効力を持ち続ける保証がないことも抑えておきましょう。
『結局どっちを使ったら良いの?』という質問に関しては、皆さんの披露する句座の派閥に相応しい季語があるならばそちらを採用し、そうでないなら句の調べや内容に合ったものを選ぶ。そういった認識でハズレは無いのではないかと思います。
俳句歳時記にみる「関西震災忌/阪神忌」の例句について
では最後に、俳句歳時記にみる「関西震災忌/阪神忌」の例句を見ていきましょう。旧版の角川俳句大歳時記の句を纏めてご紹介します。
私が2022年年末に選んだ「1日1句」という企画では、『1月17日』の段で5句目(野村さんのロザリオの句)を選ばせてもらっています。(↓)
『阪神・淡路大震災』をテーマとした作品は、巷に多く生み出されています。それは俳句にかぎらず、文学作品を始めとする創作物全般を指しているものです。
なのでここでは紹介しませんでしたが、毎年1月17日頃の新聞のコラム欄などには「阪神忌」を詠んだ俳句が掲載されることもあるでしょうし、それこそ有名俳人の詠んだ作品がネット上などでも紹介されているかと思います。興味があれば俳句誌などにも特集が組まれることもあるでしょう。
被災された方もそうでない方も、多くの市井の方々が当時を思い起こして今や「Twitter」などのSNSで発信を行っています。今回紹介したような季語で検索すれば、季語の現場に対峙することができるでしょう。初心者の方はTwitter検索をするのがオススメです。
いずれにしても、俳句という形に限らずですが、『風化させない』ためにも折に触れて思い起こすことが重要なフェーズを迎えている『阪神・淡路大震災』。この俳句という17音は、歴史的な空気感を時代を超えて伝えることに長けた文芸という見方もあります。どうぞ皆さんの思い思いの形で「1月17日」をお過ごし頂ければと思います。Rxでした、ではまた。
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