風土記
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風土記(ふどき)とは、一般には地方の歴史や文物を記した地誌のことをさすが、狭義には、日本の奈良時代に地方の文化風土や地勢等を国ごとに記録編纂して、天皇に献上させた報告書をさす。正式名称ではなく、ほかの風土記と区別して「古風土記」ともいう。律令制度の各国別で記されたと考えられ、幾つかが写本として残されている。
古風土記
奈良時代初期の官撰の地誌。元明天皇の詔により各令制国の国庁が編纂し、主に漢文体で書かれた。律令制度を整備し、全国を統一した朝廷は、各国の事情を知る必要があったため、風土記を編纂させ、地方統治の指針とした。
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『続日本紀』の和銅6年5月甲子(ユリウス暦713年5月30日、先発グレゴリオ暦6月3日)の条が風土記編纂の官命であると見られている。ただし、この時点では風土記という名称は用いられておらず、律令制において下級の官司から上級の官司宛に提出される正式な公文書を意味する「解」(げ)と呼ばれていたようである。なお、記すべき内容として下記の五つが挙げられている。
- 国郡郷の名(好字を用いて)
- 産物
- 土地の肥沃の状態
- 地名の起源
- 伝えられている旧聞異事
現存するものは全て写本で、『出雲国風土記』がほぼ完本、『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した状態で残る。その他の国の風土記も存在したと考えられているが、現在は後世の書物に逸文として引用されるのみである。ただし、逸文とされるものの中にも、本当にオリジナルの風土記の記述であるか疑問が持たれているものも存在する。
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各国の風土記
- 常陸国風土記
現在、風土記は、常陸国、播磨国、肥前国、豊後国、出雲国の5冊のみ伝わっているが、いずれも原本ではない。他は逸文。 - 出雲国風土記
「国引き神話」を始めとして出雲に伝わる神話などが記載され、記紀神話とは異なる伝承が残されている。現存する風土記の中で唯一ほぼ完本の状態である。 - 播磨国風土記
- 豊後国風土記
- 肥前国風土記
関連項目
- 風土記の丘
風土記の丘(ふどきのおか)は、文化庁の風土記の丘設置構想に基づき、遺跡及び歴史資料の保存及び活用を目的として設置された史跡等の遺跡を中心とする野外博物館・公園である。……2007年現在では、全国16か所に風土記の丘が設けられている。
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