競馬歳時記【1月2週】「フェアリーS」

【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返りながら季節の移ろいを感じる「競馬歳時記」。今回は「フェアリーステークス」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。

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フェアリーステークスは、日本中央競馬会(JRA)が中山競馬場で施行する中央競馬重賞競走GIII)である。競走名の「フェアリー (Fairy)」は、妖精を意味する英語。

フェアリーステークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

昭和時代:12月の「テレビ東京賞」として創設

「フェアリーS」が創設されたのは、グレード制が導入された1984年。当時は12月に東西で牡馬も出走可能な重賞(朝日杯3歳Sと阪神3歳S)がG1に昇格し、それに伴って東西に「牝馬限定重賞(G3)」が新設されたタイミングでした。

西の重賞というのが「ラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークス」であり、東の重賞というのが当時の名称で「テレビ東京賞3歳牝馬ステークスでした。(3歳牝馬Sを「東」・「西」などと区別していた時期もありました。)ちなみに、この西の重賞は「ラジオたんぱ杯3歳S → 2歳S」を経て、今の『ホープフルS』の第1回にカウントされています。

第1回はいきなりの大波乱となりました。3戦3勝(牡馬を相手に重賞連勝中)だったダイナシュートが3着と敗れ、優勝したのは11番人気の【エルプス】。函館3歳Sの勝ち馬ながら前走のオープン特別で8着と敗れたこともあって伏兵扱いでした。しかし、翌年には桜花賞をいきなり勝って、新設重賞としては上々の滑り出しとなりました。

回数施行日優勝馬タイム
第1回1984年12月15日エルプス1:35.4
第2回1985年12月14日メジロラモーヌ1:34.9
第3回1986年12月13日コーセイ1:35.7
第4回1987年12月19日シノクロス1:36.3
第5回1988年12月17日カッティングエッジ1:35.3

そして、第2回には早くも史上初の三冠牝馬を輩出しています。条件戦を勝って挑んだ【メジロラモーヌ】です。こちらはダイナフェアリーに3馬身半の圧勝となり、翌年の飛躍に繋がりました。こういった馬達も、少し前ならば牡馬を相手に年内を終えなければならなかったことを思うと、こうした牝馬限定の重賞が持つ意義は大きかったと言えるでしょう。

平成時代:距離変更、1月開催、改称

昭和時代は、今の「フェアリーS」と全く様相の異なるレースでした。今の条件となっていたのは平成に入ってからです。中山競馬場での開催という点においては変わりませんでしたが、

  • 名称:第11回(1994年) 現在の「フェアリーS」へ
  • 距離:第8回(1991年) 1600m → 1200m
       第25回(2008年) 1200m → 1600m
  • 時期:第25回(2008年) 12月開催 → 1月開催

距離は平成中盤まで短距離戦となり、2008年になって1月のマイル重賞に生まれ変わっています。重賞が集中してしまう季節や距離も目立つため、多様性といった意味でも、その時期に即した条件での開催を目指してきたということだとは思います。

短距離時代には、テンシノキセキサーガノヴェル(勝ちタイム:1.07.8)といったスプリンターが勝つこともありましたが、マイルに戻ってからはやはりマイラーが主体の重賞に戻ってきています。

令和時代:G1好走馬を毎年のように輩出

令和に入ってからは、スマイルカナ、ファインルージュ、ライラックが優勝しています。いずれもG1で2~3着に入るなど実績を残しています。

第32回2016年1月11日100.50ビービーバーレル1:34.3牝3
第33回2017年1月8日104.25ライジングリーズン1:34.7牝3
第34回2018年1月7日101.75プリモシーン1:34.6牝3
第35回2019年1月12日101.25フィリアプーラ1:36.0牝3
第36回2020年1月13日104.25スマイルカナ1:34.0牝3
第37回2021年1月11日103.50ファインルージュ1:34.4牝3
第38回2022年1月10日ライラック1:35.2牝3

レースレーティングをみると、3歳牝馬G3の目安:100ポンドを何とか超え続けていますが、しばらく勝ち馬からのG1馬輩出がないことを思うと、やはり大事になってくるのが同週に続いて行われる『シンザン記念』のような名牝の輩出です。

初代三冠牝馬の【メジロラモーヌ】を輩出しており、牝馬限定重賞としては伝統のある「フェアリーS」ですから、新たな時代の活躍を期待したいところです。

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