【春・生活】季語「ゴールデンウィーク」シリーズ(昭和の日/憲法記念日/みどりの日 ほか)

【はじめに】
この記事では、晩春から初夏にかけての「ゴールデンウィーク」の頃に関する季語を集めました。ぜひ皆さんのゴールデンウィークの俳句生活にお役立てください!

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ウィキペディアにみる「ゴールデンウィーク」

まずは全体を俯瞰する意味も込めて、「ゴールデンウィーク」について日本語版ウィキペディアで学習していきましょう。

「国民の祝日」に関しては、1949年に初めて適用された戦後の「祝日法」とその改正に基づく変化について下の表に纏めました。「祝日」と「国民の休日」に限定して表示していますが、実際にはこれに「日曜日 → 振替休日」が絡んでくることを抑えておいて下さい。

4/
29

30
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1

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3

4

5
1949天皇
誕生日
憲法
誕生日
こども
の日
1986国民の
休日
1989みどり
の日
2007昭和
の日
みどり
の日
2019
(特例)
国民の
休日
特例
祝日
国民の
休日
2020

そして、俳句歳時記に掲載されている「ゴールデンウィーク」の例句をご紹介していきましょう。

  • 『寝袋をかつぎ黄金週間へ』/滝沢伊代次
  • 『チーズケーキつるんと黄金週間』/松本翠
  • 『ゴールデンウィーク寝巻で屋根の上にゐる』/如月真菜

半分冗談で言われることの多い「黄金週間」という表現は、20世紀の俳句界隈には存外相性が良くて、結構作句例があります。ゴールデンウィークだと中七に余ってしまいますが、黄金週間だと何とか8音で自然な形で入れやすいことが影響しているのでしょうね。

晩春(立夏の前日まで)の季語

俳句歳時記では、太陽暦の二十四節気に基づいて季節感が構築されていて、「立夏」当日から後を夏とし、その前日までは春の範疇とされています。年によって5月5~6日に「立夏」となるため、ゴールデンウィークの最終盤を除いて春の範疇となるのです。

俳句歳時記で上記の「ゴールデンウィーク」を引くと、基本的に「春(晩春)」の季語となっているのは、このカレンダー的な意味合いが強いのです。

そこでここからは「春」と「夏」に分けて、この季節の季語をざっくり列挙していきたいと思います。一部は記事を別途書いているので、そちらを併せてご確認頂けるとありがたいです。

4月29日(昭和の日)

昭和の日(しょうわのひ)は、日本国民の祝日の一つである。日付は2006年平成18年)までみどりの日だった4月29日2007年1月1日施行改正祝日法で新設された。

昭和の日
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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4月30日(四月尽)

かつての太陰暦は旧暦3月の晦日のことを指した「弥生尽/三月尽」があり、これが春の終わりの日を指していました。新暦に変わって徐々に太陽暦基準での「四月尽」の作句例が登場するようになると、ゴールデンウィーク前半のイメージを持った作品が登場するようになります。

ただ、当初の季語の意味とは、時代の移ろいによって若干変化してしまっている点には注意が必要で、迂闊に使うと想定と違った意味にとられる可能性があることには配慮しましょう。

  • 『四月尽兄妹門にあそびけり』/安住敦
  • 『四月尽個室もつとも白きとき』/飯田龍太
  • 『三月尽人それぞれの旅鞄』/大橋通男

5月1日(メーデー)

5月1日が祝日となった事例は、2019年(令和元年)の特設の祝日が思い浮かびますが、昭和の頃から「メーデー」を国民の祝日とすることで大型連休とする案は検討され続けてきました。

メーデー: May Day、国際労働者の日 International Workers’ Day)は、5月1日に世界各地で行われる労働者祭典。労働者が権利を要求するために行進や集会などを行い、団結の威力を示す。本来は、ヨーロッパの伝統的な祝祭である五月祭を意味する。

メーデー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

令和のインフレに伴う賃上げ・春闘などが話題になりましたが、あまり「メーデー」の機運は高まりませんでした。ただ、プロレタリア文学の時代から戦後にかけて、メーデーの俳句も多く作られていて、歳時記に例句が幾つも掲載されています。

  • 『工員と隣るメーデーの夜の書肆に』/石田波郷
  • 『メーデーの主婦の群列逞しき』/和田博雄
  • 『主婦たたら踏むメーデーやヒロシマに』/沢木欣一
  • 『ねむき子を負ひメーデーの後尾ゆく』/佐藤鬼房
  • 『メーデーの容赦なく雨降ることよ』/牧野寥々

5月2日(五月来る/八十八夜)

5月(ごがつ)は、グレゴリオ暦の第5のに当たり、31日間ある。

呼称
日本では、旧暦5月皐月(さつき)と呼び、現在では新暦5月の別名としても用いる。「さつき」は、この月は田植えをする月であることから「早苗月(さなへつき)」と言っていたのが短くなったものである。また、「サ」という言葉自体に田植えの意味があるので、「さつき」だけで「田植の月」になるとする説もある。また、皐には神にささげる稲穂の意味もある。

日本書紀』などでは「五月」と書いて「さつき」と読ませており、「さつき」を皐月と書くようになったのは後のことである。「皐月」という表記は元来、漢籍に現れる陰暦五月の別名である。

なお、旧暦の五月は新暦では6月から7月に当たり、梅雨の季節である。五月雨(さみだれ)は梅雨の別名であり、五月晴れ(さつきばれ)は本来梅雨の晴れ間のことである。

五月
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

旧暦(太陰暦)との差には注意が必要ですが、いわゆる新暦の「五月」が来ると、ゴールデンウィーク本番といった感じを受けます。俳句歳時記には、五月の傍題に「五月来る」や「聖五月」があります。

  • 『うすうすと窓に日のさす五月かな』/正岡子規
  • 『子の髪の風に流るる五月来ぬ』/大野林火
  • 『少女二人五月の濡れし森に入る』/西東三鬼
  • 『青五月明治の時計よく似合ふ』/角川源義
  • 『五月来る夜空の色のインク壺』/成田千空
  • 『いくつもの扉あけ聖母に五月青し』/津田清子
  • 『子に五月手が花になり鳥になり』/岡本眸
  • 『嶺々の雲ばなれよき五月かな』/鷹羽狩行
  • 『遺品少なし牧師夫人の五月の死』/須佐薫子
  • 『声映すまで透きとおる五月の窓』/花谷和子
  • 『少年のうぶ毛輝く聖五月』/山内遊糸
  • 『風五月好きな一樹に会ひに行く』/西嶋あさ子
  • 『壱岐あをし海の中まで五月風』/岸原清行
  • 『地下街の列柱五月来たりけり』/奥坂まや
  • 『まつさをな水の惑星五月来る』/石田しづこ

なお、五月というと、「五月晴」や「五月雨」といった季語も広く知られていますが、本来の意味としては、旧暦5月のいわゆる「梅雨時期」を指すものと捉え、新暦のゴールデンウィークとは異なるものとして本記事では紹介を最小限に留めたく思います。


また、「立春」の日付によって1日程度前後しますが、「5月2日」頃に『八十八夜』を迎えます。

5月3日(憲法記念日)

憲法記念日(けんぽうきねんび、英語:Constitution Memorial Day)は、日本国民の祝日の一つ。日付は5月3日国民の祝日に関する法律(祝日法、昭和23年7月20日法律第178号)では「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」ことを趣旨としている。

1946年(昭和21年)11月3日大日本帝国憲法の改正により公布された日本国憲法が1947年(昭和22年)5月3日に施行されたことを記念して、1948年(昭和23年)に公布・施行された祝日法によって制定された。ゴールデンウィークを構成する日の一つでもある。

海上自衛隊では、基地・一般港湾等に停泊している自衛艦において満艦飾が行われる。

憲法改正論議が高まっていることにより、憲法記念日になると、改憲派護憲派がそれぞれ憲法改正に関する世論調査や講演会、集会・シンポジウムなどを行っている。

憲法記念日(日本)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

自由律俳句/無季俳句ならばまた違うでしょうが、有季定型をベースにした俳句だと「憲法記念日」に季節を色濃く持たせると共に、憲法に関する議論をサブに据えるというのは非常に難しいパワーバランスを作品の中に両立させなければなりません。なので、他の祝日よりも難易度が高そうです。

  • 『憲法記念日をひた走る快速車』/楠本憲吉
  • 『子供の記憶は正しい憲法記念の日』/鈴木明
  • 『憲法記念日狂言を観て帰る』/富谷浩

ちなみに世間一般には、5月3日が何の記念日で祝日になっているかの関心はあまり高くなく、むしろどんな年でも3連休が確定している昨今では、この3連休を中心としたイベントが各地で催されるために、そこ由来の季語も多く歳時記に記載されています。

例として5月3日に本祭が始まる「どんたく/博多どんたく」の記事のリンクを下に貼っておきます。

5月4日(みどりの日)

みどりの日は、日本国民の祝日の一つである。日付は5月4日である。1989年(平成元年)から2006年(平成18年)までは4月29日であった。国民の祝日に関する法律(祝日法、昭和23年7月20日法律第178号)第2条によれば、「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心を育む」ことを趣旨とする。ゴールデンウィークを構成する休日の一つである。

みどりの日
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

「みどりの日」が5月4日を指すようになって十数年が経ちましたが、制定当初は4月29日のことを指していました。平成の歳時記を引くと、「みどりの日」の例句は4月29日を詠んだものが中心となっています。

  • 『体内の水の流れやみどりの日』/和田悟朗
  • 『泡立てしクリームに角(つの)みどりの日』/和田順子
  • 『パンケーキほどよく焼けてみどりの日』/角川春樹
  • 『先帝に触れし記事なきみどりの日』/渋川優子

初夏(立夏の当日から)の季語

5月5日(こどもの日)

本来は旧暦5月5日(陽暦の6月頃)な「端午の節句」ですが、新暦5月5日に祝われるようになったのは、祝日法で「こどもの日」が新暦5月5日に設定されたからでしょう。

上の記事で詳しく解説していますが、「こどもの日/端午の節句」については多くの句が詠まれていますから、昔ながらの「こどもの日」の伝統に親しんで頂ければと思います。

もちろん、ご当地のニュースをみれば、「こどもの日」ならでは催しが各地で開催されているでしょうし、『菖蒲湯』や『五月人形』などを飾るご家庭もお有りでしょう。

そして、年によって「5月5日」か「5月6日」かは分かれますが、このあたりから徐々に「初夏」の陽気となっていきます。本州では広く「初夏の陽気」となりやすいゴールデンウィークの時期ですが、気温の変化にしっかりと対応して、5月病とならないよう気をつけつつ、素敵な連休をお過ごし下さいませ!

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