お天気歳時記「散る桜」系の季語をまとめてみた

【はじめに】
この記事では、晩春の季語として掲載されている、散る桜に関するものについて振り返っていきます。大判の歳時記を開くとそれなりの数の季語が載っていますが、今回は大きく4つ程度にカテゴライズをしてお送りしていきます。

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散る系(花散る、桜散る、散る桜 etc)

ものによるのかも知れませんが、昔からの歳時記では「桜」全般を『晩春』の季語としています。

『晩春』は立春からの約3ヶ月を3つに分けたうち最後(清明から立夏の前日まで:4月上旬からゴールデンウィークあたりまで)が当たるのですが、現代では3月のうちに桜前線が一気に北上する印象もあるため、「桜」の季節が少し早まっているように感じます。

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そして、満開を迎えて桜の花びらが散り始める季語(ここでは「散る系」などと括ります)も『晩春』の季語とされているのですが、実際には半月弱のタイムラグがあります。特に現代においては、3月の後半に咲いたソメイヨシノが3月末から4月上旬までに散ることも珍しくなくなりました。

ここからは大判の歳時記に掲載されている古今東西の例句に加えて、「プレバト!!」で夏井先生から高評価を得た作品も紹介していきます。

  • 『花散りてまた閑かなり園城寺』/鬼貫
  • 『静かさや散るにふれ合ふ花の音』/樗良
  • 『散る桜残る桜も散る桜』
  • 『土佐日記懐にあり散る桜』/高浜虚子
  • 『ちるさくら海あをければ海へちる』/高屋窓秋
  • 『谷へちる花のひとひらづつ夕日』/細見綾子
  • 『満開をみづからいとひ散るさくら』/遠藤若狭男
  • 『遠ざかる故郷の轍桜散る』/GACKT(78点・2014年)
  • 『尊徳像撤去の跡へ散るさくら』/東国原英夫(添削後)

様々な文脈で登場する『散る桜残る桜も散る桜』は、良寛の辞世の句と紹介されたり、戦後に鶴田浩二氏などが軍歌として歌ったり。フレーズとして印象に残りやすいからか広く知られています。

読み手がはっきりとしている江戸時代の作品も載せましたが、『散る花』を愛でる精神の歴史は非常に古く、それが現代にまで伝わっています。高屋窓秋の句などは個人的には強く印象に残っています。

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そして、「プレバト!!」では番組初期にGACKTさんが登場し、78点という高得点を叩き出しています。今と基準が異なるため単純比較はできませんが、浜田さんの出演する他局の番組を彷彿とさせる安定感と爆発力が光る作品でした。

飛花(ひか)、飛花落花(ひからっか)

『散る』とすると、儚げであったり、抗えない重力であったり、物憂げな印象となりますが、この『飛花(ひか)』という季語となると、春の風が生じ躍動感が一気に増します。

「プレバト!!」では、梅沢富美男名人が2018年の俳桜戦で2位となり、それから6年後の2024年の春光戦で再びダークホース的な存在となったKis-My-Ft2の千賀名人が、2句披露する新ルールで2句とも「飛花」という同じ言葉が含まれる俳句を披露し、5年ぶりのタイトル戦優勝を果たしました。

  • 『飛花落花などと別れは矢つぎばや』/清水径子
  • 『空のあお富士の蒼へと飛花落花』/梅沢富美男(2018年俳桜戦2位)
  • 『幽谷のロッジの夜明け白き飛花』/千賀健永(2024年春光戦3位)
  • 『出郷の車窓を叩く飛花落花』/千賀健永(2024年春光戦優勝)

「プレバト!!」の使用例をみると、5音の季語として揃える意味で、『飛花落花(ひからっか)』と、下の季語と組み合わせることも目立ちました。

落花(らっか)

現象としては1つ目の『散る桜』とほぼ同じなのでしょうが、『落花』とすると「落ちる」1字の持つ意味が強まります。『飛花落花(ひからっか)』ならば動きが三次元な印象になりますし。

  • 『千本が一時に落花する夜あらん』/正岡子規
  • 『みちばたの墓に落花す風のまま』/飯田蛇笏
  • 『厨子の前千年の落花くりかへす』/水原秋桜子
  • 『息とめて赤子は落花浴びてをり』/加藤楸邨
  • 『ポップコーンまじり遊園地の落花』/梅沢富美男
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花吹雪、桜吹雪

ここまでの季語は、花びらを少数に想像しがちですが、『吹雪』に例えられる季語(花吹雪や桜吹雪)ともなれば、やはり無数の多さを想像するようになります。

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  • 『空をゆく一かたまりの花吹雪』/高野素十
  • 『今頃は桜吹雪の夫の墓』/飯島晴子
  • 『しあはせに目のあけられず花吹雪』/鷹羽狩行
  • 『おさなごの永きいちにち花ふぶき』/池田澄子
  • 『花吹雪くるエルボーで迎え撃つ』/村上健志(添削後)

ひとひらでなく無数に降る点をうまく使ったのが、フルーツポンチ村上健志さんの『エルボー』の句ではないでしょうか。2017年の第1回・俳桜戦で5位となった特待生2級だったときの懐かしい作です。

皆さんはどの句がお好きでしたか? ぜひコメント欄にお寄せください。作句の際のヒントにもして下さいねー

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