【はじめに】
この記事では、中央競馬における「レーティング(ワールド・ベスト・レースホース・ランキング)」について、“通常の倍”にあたる6年間を対象期間として平均値を求める分析を行ってみました。今回は『スーパーG3』と呼ばれるレースに関する結果です。
2016年以降の6年間の平均で、最もレーティング平均が高かった「G3レース」は何だと思いますか?
※「スーパーG2」の時と比べて難しいかと思いますが、皆さんなりに想像をして記事をお読み下さい!
レーティング」に関する基本情報
レーティングに関するキホンについては、2022年当時の記事も参照て頂ければと思いますが、ウィキペディアの記載を借りれば、
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この様に定められています。基本となるのが、『3歳以上の牡馬・牝馬混合競走の基準が110ポンド』です。そして、2歳戦は5ポンド、牝馬限定戦では4ポンドを減じた値が基準となるのです。ただし、日本競馬の実態としてはこの基準を下回るレース自体が少なく、私の集計では「G3の平均値」は108ポンドあたりになるという計算結果が出ています。(↓)
ここまでを教科書とした上で、レースレーティングにみた時に『スーパーG3』はどれぐらいを指すのかについて検討していきます(もちろんレースレーティングで全てを語れる訳ではないのですが、参考程度にはなるのかなと感じています)。
集計方法の概略
JRAのホームページも、日本グレード格付け管理委員会も基本的には『直近3年間』を対象期間としています。ただ3年ではバラツキも大きいため、本記事では通常の倍の『6年分』を集計対象とします。具体的にいえば、2023年版の今回は『2017年から2022年』までの6年間を対象とするわけです。
また、昨年の記事で実質メインとしていた『(極端に低い年があるとそれに引っ張られてしまうため)最低年を除外』するという指標も算出はしていますが、今年は『6年間の単純平均』を軸に記事を書いていきたいと思います。
なお集計に際して、牝馬限定戦の4ポンド(いわゆるセックスアローワンス)に関しては予め4ポンドを加えた値、つまり全て牡馬・牝馬混合戦と同じ基準・目線で揃えてある点はご留意ください。仮に、牝馬限定戦で「115ポンド」と記事に出てきた場合、元の数字は「115-4=111ポンド」だったという意味になります。
オーバー110の「スーパーG3」群
早速、私(Rx)の作った一覧表から、2017年以降の平均値が110を超えたレースをピックアップしてみました。こちらです(↓)。
1位:112.15『東京新聞杯』
マイル重賞としては110ポンドを超えているG3は少なくないのですが、それでも国際的にG2の目安とされる110ポンドを2017年から連続で超え続けているのは異例です。全G3の中で現存では最長です。
第66回 | 2016年2月7日 | 109.75 | スマートレイアー | 牝6 | 1:34.1 |
第67回 | 2017年2月5日 | 111.13 | ブラックスピネル | 牡4 | 1:34.9 |
第68回 | 2018年2月4日 | 113.25 | リスグラシュー | 牝4 | 1:34.1 |
第69回 | 2019年2月3日 | 113.00 | インディチャンプ | 牡4 | 1:31.9 |
第70回 | 2020年2月9日 | 112.25 | プリモシーン | 牝5 | 1:33.0 |
第71回 | 2021年2月7日 | 112.75 | カラテ | 牡5 | 1:32.4 |
第72回 | 2022年2月6日 | 111.25 | イルーシヴパンサー | 牡4 | 1:32.3 |
2位:111.54『共同通信杯(トキノミノル記念)』
2019年からの3年平均では110ポンドを超える状態が続いており、特に2021年や2022年は「G1を目指すG2」としてもおかしくない程の高レートが連続しています。東京競馬場のレベルの高さが窺えます。
第50回 | 2016年2月14日 | 109.00 | ディーマジェスティ | 1:47.4 |
第51回 | 2017年2月12日 | 109.00 | スワーヴリチャード | 1:47.5 |
第52回 | 2018年2月11日 | 109.00 | オウケンムーン | 1:47.4 |
第53回 | 2019年2月10日 | 112.50 | ダノンキングリー | 1:46.8 |
第54回 | 2020年2月16日 | 108.25 | ダーリントンホール | 1:49.6 |
第55回 | 2021年2月14日 | 116.25 | エフフォーリア | 1:47.6 |
第56回 | 2022年2月13日 | 114.25 | ダノンベルーガ | 1:47.9 |
3位:111.21『鳴尾記念』
早いタイムでの決着だった2018年は110ポンドを下回っていますが、2016年からアベレージで110ポンドを超えており、2022年には115ポンドとG1の基準すら超えました。かつてG2だった「鳴尾記念」ですから、『スーパーG3』に準ずるのも理解できますね。
第69回 | 2016年6月4日 | 阪神 | 112.00 | サトノノブレス | 牡6 |
第70回 | 2017年6月3日 | 阪神 | 110.00 | ステイインシアトル | 牡6 |
第71回 | 2018年6月2日 | 阪神 | 109.25 | ストロングタイタン | 牡5 |
第72回 | 2019年6月1日 | 阪神 | 110.75 | メールドグラース | 牡4 |
第73回 | 2020年6月6日 | 阪神 | 110.75 | パフォーマプロミス | 牡8 |
第74回 | 2021年6月5日 | 中京 | 111.00 | ユニコーンライオン | 牡5 |
第75回 | 2022年6月4日 | 中京 | 115.50 | ヴェルトライゼンデ | 牡5 |
4位:111.00『クイーンC』
『東京新聞杯』と同じ条件で行われる3歳牝馬限定重賞の「クイーンC」も、牡馬混合戦と同じ基準(+4ポンド)すれば、6年を平均して111.00ポンドと非常に高い値を取っています。
第51回 | 2016年2月13日 | 108.38 | メジャーエンブレム | 1:32.5 | C.ルメール |
第52回 | 2017年2月11日 | 113.00 | アドマイヤミヤビ | 1:33.2 | C.ルメール |
第53回 | 2018年2月12日 | 107.00 | テトラドラクマ | 1:33.7 | 田辺裕信 |
第54回 | 2019年2月11日 | 115.25 | クロノジェネシス | 1:34.2 | 北村友一 |
第55回 | 2020年2月15日 | 109.75 | ミヤマザクラ | 1:34.0 | 福永祐一 |
第56回 | 2021年2月13日 | 113.50 | アカイトリノムスメ | 1:33.3 | 戸崎圭太 |
第57回 | 2022年2月12日 | 111.50 | プレサージュリフト | 1:34.1 | 戸崎圭太 |
2016年以降でも、勝ち馬にメジャーエンブレム、クロノジェネシス、アカイトリノムスメといった具合にG1級が並んでいて、東京マイルのポテンシャルの高さを感じます。加えて、2月開催ということで、桜花賞とのレース間隔でオフィシャルなトライアルよりも長く取れるのも大きいのでしょう。
4位:111.00『毎日杯』
年により乱高下していますが、活躍馬が出た年はレーティングが跳ね上がる傾向にあるのが「毎日杯」です。112以上の年が半数近くとなり、6年平均は111.00ポンドとなりました。
第63回 | 2016年3月26日 | 107.00 | スマートオーディン | 1:47.3 |
第64回 | 2017年3月25日 | 114.00 | アルアイン | 1:46.5 |
第65回 | 2018年3月24日 | 112.25 | ブラストワンピース | 1:46.5 |
第66回 | 2019年3月23日 | 110.00 | ランスオブプラーナ | 1:47.2 |
第67回 | 2020年3月28日 | 107.50 | サトノインプレッサ | 1:47.9 |
第68回 | 2021年3月27日 | 113.25 | シャフリヤール | 1:43.9 |
第69回 | 2022年3月26日 | 109.00 | ピースオブエイト | 1:47.5 |
アルアイン、ブラストワンピース、シャフリヤールと3歳時にG1を制し、古馬になっても活躍しているタイプの馬が優勝しています。ここまで111ポンドを超えているレースは、東京もしくは阪神競馬場のマイル~中距離だという点が共通しています。
6位以下:110ポンド台
以下、110ポンド台のレースを表で再確認しておきましょう。
なお、7位相当だった「紫苑S」は正式にG2に昇格しましたので、次回更新時にはこの表から外れるかと思いますが、そうしてみると、クイーンCがG3据え置きなのは、レースレーティングからすると少し不運にも感じます。
110ポンド台まで目線を下げると、古馬牝馬限定重賞の「クイーンS」、短距離路線の「阪急杯」、ダート路線の「平安S」、牡馬出走可能なマイル重賞「アーリントンC」など各路線の名物G3も出てきます。
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